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【朗読】石川啄木「火星の芝居」(短編小説/青空文庫)

石川啄木「火星の芝居」の朗読です。
2011年に、啄木が主人公のお芝居を2本観劇しました。
その時の感想を抜粋します。


ろくでなし啄木(三谷幸喜氏作・藤原竜也さん主演)

銀河劇場で観た『ろくでなし啄木』は、26歳で夭逝した歌人石川啄木の、実は女好きで金銭にもルーズだったという一面が前面に出ている作品。
恋と友情、だましだまされる人間関係が、小気味よいテンポで描かれています。
才能はあるけれど、病弱で貧しい啄木を藤原竜也さんが、啄木の恋人を吹石一恵さんが、啄木の恋人に心を寄せながらも、啄木を支える、友情厚い男を中村勘太郎さんが演じる、若さあふれる三人芝居。
汗まみれで舞台を動き回っている勘太郎さんがすてきでした。

泣き虫なまいき石川啄木(作・井上ひさし氏 演出・段田安則さん)

『泣き虫なまいき石川啄木』を新宿の紀伊国屋サザンシアターで観劇。
主演の啄木こと、石川一(はじめ)役は稲垣吾郎さん。
物語は、石川節子(啄木の妻。貫地谷しおりさんが演じています)が海岸に療養にきている場面から始まります。
啄木はもう、遠い世界に旅立ってしまったあと……享年26でした。
啄木の二人目の子を宿した、おなかの大きい妻は、啄木が遺した日記を読みふけります。
「日記は焼却してくれ」啄木はそう遺言したのですが……。

場面はかわり、その3年前、明治42年。
本郷の床屋の2階の六畳二間に、一(啄木)と家族が暮らしています。
妻の節子、そして一の母カツ(渡辺えりさん)、妻の妹の光子(西尾まりさん)も夏休みで上京してきていました。
一は新聞社の校正係をしていましたが、小説家として成功したいと願っています。
一の親友、金田一京助(鈴木浩介さん)は、一の才能を信じ、生活苦の一を金銭的に助けてくれるのでした。

石川家の暮らしは、心地よいとは決して言えないものでした。
嫁節子と姑カツの軋轢だけでも重苦しいところへもってきて、一の父(段田さん)が上京してきます。禅僧気取りで、口ばかり達者で生活力のない父が加わったことで、一家の生活は一層、困窮を極めます。節子の家出、浮気疑惑。そしてやがて、病のベールが、家族を包んでゆくのでした……。

えらくおもしろくて、ずしんと悲しいお芝居でした。
いまさらですが、井上ひさしさんてほんとにうまかったんだなあ、と思いました。お芝居を観ていて、「人間の業の肯定」という、立川談志師匠がよく言ってらしたフレーズが頭のなかに浮かんできて、ぐるぐると渦巻いていました。
もちろん、段田さんの演出もすばらしいのでしょう。そういえば吾郎ちゃん、段田さんとは『ヴァージニアウルフなんかこわくない?』でも共演していましたね。