マキフミヤ

物書き/写真/編集 1994年 京都生まれ。東京で生活しています。 日常を記録するコラ…

マキフミヤ

物書き/写真/編集 1994年 京都生まれ。東京で生活しています。 日常を記録するコラム『#小声で発狂』連載中。 散歩と猫と珈琲が好きです。直毛です。 写真もみてもらえると嬉しいです。 https://www.instagram.com/makifumi_/

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  • 『小声で発狂』

    日常にある取っ掛かりに対して声を小にして発狂する noteコラムというテイのマガジン funnyでpopな1000文字程度のエッセイを月2本ペースをあくまで目安として 投稿していきます。 タイトルロゴ作成中(募集中)

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最近の記事

小声で発狂#48 今だからこそ、力を抜いて

随分あたたかくなってきましたが、みなさまどのようにお過ごしだろうか。 僕は今、ツヤツヤのお米が炊きあがるのを待ちながらこの文章を書いている。クツクツと土鍋から音がしているのを聞きながら、キーボードをカタカタとしている。 お米が炊きあがるまでの時間で文章を書こうと思ったのは、自分にとってはわりと調子がよい証拠であるように思う。 なぜなら、文章を書くことは少なからず自分と向き合う行為であり、自分と向き合うことをはエネルギーを要することであるからだ。 向き合うことのエネルギー消費

    • 小声で発狂#47 自分の成長が楽しみで仕方がない

      『人生は自分を発見する旅である。』 これはゲーテが述べた言葉だと言われている。 この言葉を聞いてどのように思うだろうか? 単純な頭を搭載している僕は、まさにその通りだ!と激しく同意する。 僕にとってこの世界は、不思議なことで満ち溢れている。 たとえばそれは、毎日太陽が昇っては沈んでを繰り返していることだったり、目に見えない電脳世界が存在していることだったり、人が涙を流すことだったりする。列挙しだすとキリがない。 さらに不思議なのは、おそらく僕はこの不思議を真に理解するこ

      • 小声コラム#46 捨てられたピンクグレープフルーツストロング酎ハイの空き缶に僕がいた

        僕はいろんなものに興味が湧かない。それが悩みである。 アイドル沼ハマっているオタクに憧れすら抱いている。 ある冬の日、渋谷を歩いていた。渋谷の街を歩いていると処理できないくらいの興味喚起の情報が脳に入り込んでくる。僕は喚起されない興味にげんなりしてしまう。 俯き加減でコンクリートジャングルを進み、宮益坂を進んだ三叉路に架かる歩道橋を登っていると、ピンクグレープフルーツのストロング酎ハイの空き缶が、真ん中を潰された形で階段に落ちていた。 ゴミかと思い階段を登っていると、また

        • 小声コラム#45 君は

          君はすぐに君を見落としてしまう やさしさも、悲しみも、怒りも、憎しみも いつも見落としてからそれに気づいては 悔やんで泣いてを繰り返す どうして何もないんだって 君はいつでも空っぽで その空洞を埋めようともがくほど溺れて 苦しみにも飽きるほど深く沈んだら 空っぽすらも忘れてしまい またぼんやりとただ足を動かす それでも それでも 君は歌を口ずさむ 君はたまに笑う 君は君だから 君の全部で息をしていく #45 君は

        小声で発狂#48 今だからこそ、力を抜いて

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          小声コラム#44 使えない言葉がある余白

          大人になってから初めて知る言葉はたくさんある。 曲いなりにも言葉を扱う仕事をしているので、言葉を知る機会は多いのだけれども、大人になって知る言葉のほとんどが覚えられないし、すぐ忘れてしまいがち。 たとえば最近知ったのは「馥郁」「宏観」など。 (そもそも使いどころはあまりないけど) もちろん意識的にその言葉を覚えようと毎日反復すれば覚えられる。けど、試験でもない限りはそんなことはしない。 そこでふと思うのは、自分が使える言葉の数には限りがあるのではないかということ。 話

          小声コラム#44 使えない言葉がある余白

          小声コラム#43 日曜の昼下がり

          ぜんぶまっさらにしたような空の色 やすみの歩き方をした朗らかな人々を見て ただ見ていただけで、泣き出しそうな気配がした。 それまでずっと何かを待っていたような、 小さな部屋から眺めては、何かを探していたような。 街を見渡せば、そこにあった気がした。 さっき読んだエッセイの言葉に太陽が反射して、 ここにいたよと光っているせいだろうか。 もうずいぶん昔のようで、心から消えていたみたい 好きな人がいたこと。 大切な場所があったこと。 もう二度とってこともたくさんあっただ

          小声コラム#43 日曜の昼下がり

          500字短篇:『高三の淡い夏』

          高校三年生の夏。部活を引退した多くの学生は、大学受験に備えて勉強に本腰を入れる。塾の夏期講習、模擬試験、図書館に籠もって赤本で対策。毎日7時間以上勉強する。それでも時間は足りないくらいで、常に学生は焦燥感に駆られている。 そんなか、僕はプールの排水口に吸い込まれている。 流れるプールで流されるままに流されていただけなのに、いまとなっては下半身のほとんどが排水溝に吸い込まれている。 そろそろ息が続かない。死ぬ。僕は抵抗するのをやめた。すると海に揺られるワカメのごとく、ふにゃ

          500字短篇:『高三の淡い夏』

          小声コラム#42 紙袋から転がり落ちたチョコレート

          2月14日 23時ごろのこと。 武蔵野館で映画を観たあとの帰り道、電車に揺られながら向かいに座っている人たちをぼんやりと見ていました。 初老の男性がうとうとしていて、ショルダーバッグを落としたり、隣の人にもたれそうになったり。 周りの人たちの迷惑そうな目を見るのが苦手だなと思いながら続けて見ていたら、男性は手に持っていたキオスクの紙袋を落としました。 その紙袋からは、箱入りのガーナブラックチョコレートが転がり落ちた。 そうか、今日はバレンタインデーだったから、部下か誰

          小声コラム#42 紙袋から転がり落ちたチョコレート

          小声コラム#41 寒いね。

          今朝目が覚めると、窓の外は雪景色。 もういい大人なんだからって歳になったけれども、雪がたくさん降ると心は小躍りするものですね。 それにしても、よく降る。 辺りは真っ白になるくらい降る。 スマホの通知には大雪警報のニュース。 今ごろ都心は右往左往してるんちゃうのと 在宅ワークによるマウントを取るかのように 東京駅のライブカメラを確認しました。 全然、雪降ってませんでした。 電車で30分程度なのに、一方では大雪 一方では雨がチラチラ程度。 ドーナツ化現象さながら、都心を

          小声コラム#41 寒いね。

          小声コラム#40 『赤本』と受験生

          そういえば、受験シーズン真っ只中なのだと気がついた。 普段は在宅ワークをしていて、人と関わることがほとんどないうえに、ニュースを見ることはおろか、SNSすらあまり見ないこともあります。 そうすると、もう世間から断絶されてしまって、オートマチック浮世離れ状態。過去自分がそうだったにも関わらず、受験生がいることすら頭から抜け落ちていました。 なぜ気づいたのかというと、書き物をしようと入った国道沿いのマクドナルドで、若者が広げていた『赤本』のおかげ。 過去自分もお世話になった

          小声コラム#40 『赤本』と受験生

          小声コラム #00 逃げましょう。全力疾走で

          しばらくnoteを書いていないとは思っていたけれど、もう2つの季節を通り過ぎて書いていませんでした。 書けなかったし、書きたくなかったんだと思います。 人に迷惑をかけたり、人の尊厳を落とすようなことをしたりといった出来事が、身近にも遠くにも起きて、なぜそんなことをするのかわからない、理解できないことにひどく落ち込みました。 そういった状況で、自分は正しくありたいと思いながらも、正しさは曖昧で、悪意は明確に生まれ憎しみになり、憎しみは沼のように広がってゆく。 それを抑えよ

          小声コラム #00 逃げましょう。全力疾走で

          小声コラム#39 春色の風景

          朝起きたら春のせいで、 中学の桜の景色がよく甦ってくる。 たしか中学3年、 新しい1年生になる子たちの入学式の日 (そういえば弟がそうだった) バスケ部だったけど駅伝部にも属していたので、 入学式で部活はなかったけど、駅伝の練習はあった。 練習おわり運動場にある桜の木の下に寝そべって ダラダラとみんなでストレッチをしていた。 同級生5人くらい、仲が良くてずっと笑っている。 陸上部を担当する新任の先生を呼びとめて、 しょうもない話をえんえんとした。 彼氏はいるのか(いら

          小声コラム#39 春色の風景

          小声コラム#38 破壊の過去と縁

          どうしようもない環境を変えるために、 ぶつかるように新しいことに 取り組んでいた時期があります。 広告クリエイティブの講座やデザインの専門学校 地域活性化のための企画、脚本を書く学校 モチベーションは、なんとか現状を壊すことで 焦りや不安をエネルギーに変えていたんだと思います。 でも、どれもやり切った感触はなくて 何にも変えられないなんだなと、 たくさん失望ました。 なんだか最近は、 鬱屈としたものは相変わらずとしても そういった爆発的な感情は落ち着いていました。

          小声コラム#38 破壊の過去と縁

          小声コラム#37 窓際に夏

          金持ちが住んでいるであろう白くて新しい住宅の隙間から、青が突き抜ける空を覗く。 まだ蝉は鳴かないかわりに、名前を知らない数匹の鳥がいかにも朝を思わせる音を鳴らしている。 これから昼にかけて気温が上がって、大きな入道雲が浮かびだす。そのなかには地球の水も、生き物の血も平等に雨になるのだ。なんて、知った風な偉そうな頭。 少し早く起きた日は、ラジオ体操へ向かう気怠い思い出が香りになって鼻をくすぐる。今の景色に朝顔は咲かない。窓際に沿って足を伸ばして、背中を壁に預ける。扇風機の

          小声コラム#37 窓際に夏

          小声コラム#36 みんな、がんばれ!

          もうすぐ東京オリンピックが開催される らしい。 全世界が待ち望む4年に1度のスポーツの祭典が、僕にとってはそれくらいの感覚になっている。 ニュースを見るのが得意ではないので、世間がいまオリンピックにどれだけ期待しているのか、楽しみにしているのかわからない。けれど、東京が緊急事態宣言下であることや、無観客での開催の話を聞くと、日本はお祭りムードではないのだろうなと、なんとなく感じる。(海外はどうなんだろう?) もう開催がそこまで迫っているなかで、開会式のプロデューサー入れ替え

          小声コラム#36 みんな、がんばれ!

          小声コラム#35 『明日のたりないふたり』

          本当に好きだと信じていることほど、人に教えたくなかったり、うまく言葉にできなったりします。秘めておきたい好きなモノ・コトって、誰しも1つや2つはあって、ただ、本当に好きだからこそ誰かに(あるいは自分に)伝えて分かち合いたいとも思う矛盾があるのではないかと思います。 けれどやっぱり、伝えたくて言葉を探して文章にしようとすると、心や感情の色や形や温度とは程遠くて、言葉にするのが勿体ないと感じることが多い。それどころか、文章を書くことの不自由さや技量のなさに落胆を感じることもしばし

          小声コラム#35 『明日のたりないふたり』