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小声コラム#42 紙袋から転がり落ちたチョコレート

2月14日 23時ごろのこと。
武蔵野館で映画を観たあとの帰り道、電車に揺られながら向かいに座っている人たちをぼんやりと見ていました。

初老の男性がうとうとしていて、ショルダーバッグを落としたり、隣の人にもたれそうになったり。

周りの人たちの迷惑そうな目を見るのが苦手だなと思いながら続けて見ていたら、男性は手に持っていたキオスクの紙袋を落としました。

その紙袋からは、箱入りのガーナブラックチョコレートが転がり落ちた。

そうか、今日はバレンタインデーだったから、部下か誰からもらったのかなって、疲れて起きていられない男性を見て思いました。


なんというか、それがとんでもなく、
侘しい?寂しい?淋しい..?
に近い何かだとは思うものの、うまく言葉にできませんでした。

想像のなかでは、あまりよくない言葉が並んでいて、
定型、ないがしろ、仕方なく、老い とか。

一方で、はい義理チョコやるよ。みたいな長い長い付き合いの同僚がくれたのかもしれないなとか、思ったり。

そういうのを、無意識に想像していたのだろうか。そのまま書いて、頭のなかを整理してみようとしてみたのが今回のコラムです。でした。
そういうつもりでしたが、わからないままです。

なんだか言葉にならない物事ってけっこうある。
そういうのは言葉にならないまま、保存しておくのも大事なのかもしれません。人間の特権。

と言葉にならないまま、文章にするのはちょっとズルした気分。

#42 紙袋から転がり落ちたチョコレート

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