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変わりたいのに変われない理由

昨日読み終えた本の余韻が消えないうちに、印象的だった事を書き留めて置きたい。

Help Me」と言う強烈なタイトルが目にとまり手にしたこの本は、イギリスのジャーナリスト、マリアン・パワーさんが、毎月1冊の自己啓発本を選び、書かれている事を実践して過ごした1年の記録だ。

仕事は順調ながらも自分に満足できずに居た著者は、20代の頃からの「自己啓発本ジャンキー」。ある日、本棚には理想の人生に導いてくれるはずの自己啓発本が沢山並んでいるのに、理想と現実の乖離にハッとする。そして、ある決心をする。毎月1冊の自己啓発本を選び、その内容を実践して1年過ごし、なりたい自分、理想とする人生を手に入れよう、と。

彼女が選んだ自己啓発本は、「とにかくやってみよう ─ 不安や迷いが自信と行動に変わる思考法」、「ザ・シークレット」、「7つの習慣」などの12冊。

文字通り体を張って実践する著者パワーさんの葛藤の日々が、小説のようなタッチで語られていく。ユーモラスで巧妙な表現の中に、著者の弱さや心の痛みをさらけ出す実直さが織り交ぜられた文章は読み応えがある上に、12冊の自己啓発本の概要や要点も織り交ぜられていて、1冊で何重にも楽しめる本だった。

その中で、私にとって印象的だったのが、9冊目に選ばれたエックハルト・トールの著書「さとりをひらくと人生はシンプルで楽になる(The Power of Now)」と、11冊目のブレネー・ブラウン著「本当の勇気は『弱さ』を認めること(Daring Greatly)」の章。今日は「さとりをひらくと人生はシンプルで楽になる」の章のことを。

読んだ本の内容を実践すべく、様々な挑戦を続けた著者。美大生の前でヌードモデルをしたり、スタンダップコメディーをやったり、火の上を歩いたりしたものの、理想の自分にはなっておらず行き詰ったところで9冊目のエックハルト・トール著「さとりをひらくと人生はシンプルで楽になる」を手にする。

この本の中でトールは言う。自分の嫌な面ですらもアイデンティティの一部で、それを手放す事は死も同然。なので、例え望ましい方向への変化であったとしても、それはアイデンティティにとっては脅威であり、潜在意識の深いところでは改善したくないと思うのだ、と。

パワーさんはこの考えに共感し、自分が何故これまで不幸な自分を辞められなかったか、変わる事に対する恐怖心があったと気づく。

私も変わりたいと思って数々のビジネス書や心理学の本を読み漁ってきた一人なので、このくだりを読み雷に打たれた様な衝撃を受けた。嫌な面も自分の人格を形成しているピースだと言う視点も、変わる事がこれまでの自分を失うもう同然だから怖いと言う考え方も私には無かった。

変わりたいと言いながら変われないのは、結局変わりたくないんだな〜と頭でわかってはいたけれど、その根底にこれまで培ってきた「自分」を壊す・失う勇気が無かったと言う事まで考えが及んではいなかったのだ。

どこまでも怠け者でラクをしたい私は😅、本を読んだだけで満足してあまり実践して来なかった。実践しても三日坊主だったり、「したつもり」で終わっていた。それをとことんやってみたマリアン・パワーさんの実行力もさる事ながら、実践期間中の彼女の感情の起伏や人間関係の変化も赤裸々に語り、目醒めていく姿に勇気付けられた。そして、もっと強い意志と覚悟をもって自分改革に挑む必要があると思い知らされた。

マリアン・パワーさんのこの本は、既に韓国語やドイツ語、スペイン語などに訳され、英語圏以外からも注目を集めている。自己啓発本を読む人にはお薦めしたい1冊なので、もし日本語訳が出たら是非読んでみて頂きたい。

aloha & mahalo.

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