佐藤まひろ

文字書きです。恋愛詩がメインになります。よろしくお願い申し上げます。

佐藤まひろ

文字書きです。恋愛詩がメインになります。よろしくお願い申し上げます。

記事一覧

『待つ人』

改札脇の 背もたれのないベンチ 目深に被った帽子の前に立ち 声をかける 君の顔は知っているはずなのに マスクをずらし 「はじめまして」と動いた唇が やけに熱く ゆっ…

佐藤まひろ
2か月前
17

『揺れる』

一つも正しくないのに あなたを思って 溢れた涙は 今唯一 すがることのできる 紛れもない真実 #詩 #恋愛 #言葉の添え木 #恋愛詩

佐藤まひろ
2か月前
8

『花盛り』

稀に見る大雪の夜 あなたから送られてくる 人気のない街の写真には しんと静けさが漂う 「これ、桜が咲いてた」 一言添えられた一枚には ふっくらと新雪をたたえた 雪化…

佐藤まひろ
5か月前
27

『隔たり』

夜空を見上げれば そこにある月と星が 俺達を繋いでいると あなたは言った 無限に広がる 空の色は しっとりとした漆黒 あなたが見えない 大好きな笑い声は 暖かな掌は …

佐藤まひろ
5か月前
14

『肩に』

かかる半端な長さの髪 お揃いの斜めがけの鞄 あなたの吐息と 唇の感触 全て捨てられたら 今よりずっと軽やかで でもきっと悲しくて あらゆる重さに負けないように 今日…

佐藤まひろ
6か月前
9

『チョコレートケーキ』

甘いのが苦手と言いながらも 私のお皿に視線を落として 小さく口を開けるあなた なるべく苦い所を選んで そっと口元へ運ぶ 唇に付いた 僅かなチョコソースが 甘く私を誘…

佐藤まひろ
6か月前
4

『おやすみ』

あと何回 あなたからのおやすみを この耳に 頬に 瞼に 落としてもらえるのだろう くしゃりと髪の毛をこする 少し冷たい指先を 静かに唇でとらえる 輪郭をなぞる手のひら…

佐藤まひろ
6か月前
5

『静寂』

隣に腰掛けた君の声が 今夜も眠気を誘う 途切れた会話の隙間の 心地よさに身を任せて 君の小指に触れる ぴくりと肩を揺らし 見上げた瞳は 信頼と戸惑いの狭間で揺れてい…

佐藤まひろ
6か月前
6

『永響』

週末は嫌い あなたの手元から 自分の存在が消えるから あなたのいない夜は嫌い 長くて 永くて 与えられた響きが より恋しく 不意にもたらされた優しさが 忘れられなく…

佐藤まひろ
6か月前
3

『仄暗い赤』

小さなヤキモチが ぐずぐずな嫉妬に わずかな意地悪が 消えないケロイドに その傷痕に口付けをする時 手に入らない君の一部分が 僕のものだと錯覚する #詩 #恋愛詩 #言

佐藤まひろ
6か月前
3

『凍る息』

午前4時 冷え切ったサンダルに足を入れ 西の満月を眺める 耳元にはどこか知らない場所を走る エンジン音と君の声 君の吸い込む空気が 一瞬凍る息となり やがて甘く暖かい…

佐藤まひろ
6か月前
8

『真意』

「嫌いじゃないよ。」 素直になれない僕たちの 二人ぼっちの合言葉。

佐藤まひろ
6か月前
4

寂しい夜は、声を届けて。

途切れた会話の合間に聞こえた
あなたの息遣いが、
私をまた、恋に落とす。

佐藤まひろ
6か月前
4
『待つ人』

『待つ人』

改札脇の
背もたれのないベンチ

目深に被った帽子の前に立ち
声をかける

君の顔は知っているはずなのに

マスクをずらし
「はじめまして」と動いた唇が
やけに熱く
ゆっくりに見えて

左肩に届かない頭の位置
小さめの歩幅

そのリアルに
呼吸を合わせた
#詩 #散文 #恋愛詩 #待ち合わせ #恋愛

『揺れる』

『揺れる』

一つも正しくないのに
あなたを思って
溢れた涙は
今唯一
すがることのできる
紛れもない真実
#詩 #恋愛 #言葉の添え木 #恋愛詩

『花盛り』

『花盛り』

稀に見る大雪の夜
あなたから送られてくる
人気のない街の写真には
しんと静けさが漂う

「これ、桜が咲いてた」

一言添えられた一枚には
ふっくらと新雪をたたえた
雪化粧の枯れ木が佇んでいて

シャッターを切るあなたの吐息は
春風に似て
首筋を甘く
くすぐっていった
#一かけらの今 #恋愛詩 #詩 #散文 #雪

『隔たり』

『隔たり』

夜空を見上げれば
そこにある月と星が
俺達を繋いでいると
あなたは言った

無限に広がる
空の色は
しっとりとした漆黒

あなたが見えない

大好きな笑い声は
暖かな掌は
通わせた心は
本当にそこにあるのでしょうか

か弱く白い一筋の光が
頬伝う涙と重なった
#一かけらの今 #恋愛詩 #詩

『肩に』

『肩に』

かかる半端な長さの髪

お揃いの斜めがけの鞄

あなたの吐息と
唇の感触

全て捨てられたら
今よりずっと軽やかで
でもきっと悲しくて

あらゆる重さに負けないように
今日も私はひっそりと
月に向かって背筋を伸ばす
#一かけらの今 #恋愛詩 #詩

『チョコレートケーキ』

『チョコレートケーキ』

甘いのが苦手と言いながらも
私のお皿に視線を落として
小さく口を開けるあなた

なるべく苦い所を選んで
そっと口元へ運ぶ

唇に付いた
僅かなチョコソースが
甘く私を誘う

「おかわり。」は
同じ香りの吐息が混じる
魔法の言葉

どうぞゆったり
お召しになりませ

『おやすみ』

『おやすみ』

あと何回
あなたからのおやすみを
この耳に
頬に
瞼に
落としてもらえるのだろう

くしゃりと髪の毛をこする
少し冷たい指先を
静かに唇でとらえる

輪郭をなぞる手のひらの
そのぬくもりが
どうしようもなく
胸を締め付けて

どうか明日も
あなたのそばに
#一かけらの今 #恋愛詩 #詩

『静寂』

『静寂』

隣に腰掛けた君の声が
今夜も眠気を誘う

途切れた会話の隙間の
心地よさに身を任せて
君の小指に触れる

ぴくりと肩を揺らし
見上げた瞳は
信頼と戸惑いの狭間で揺れていて

絡め返された小指から伝わる
か細い愛情を手繰り寄せ
その柔らかな黒髪に
静かに口付けた
#一かけらの今 #恋愛詩 #詩 #散文

『永響』

『永響』

週末は嫌い

あなたの手元から
自分の存在が消えるから

あなたのいない夜は嫌い
長くて 永くて

与えられた響きが より恋しく
不意にもたらされた優しさが
忘れられなくて

さらり ざわり
永響 共鳴
涙の境界が近付いて
明けの明星がかすかに滲んだ
#ことばおもい #詩 #恋愛詩 #散文

『仄暗い赤』

『仄暗い赤』

小さなヤキモチが
ぐずぐずな嫉妬に

わずかな意地悪が
消えないケロイドに

その傷痕に口付けをする時
手に入らない君の一部分が
僕のものだと錯覚する
#詩 #恋愛詩 #言葉の添え木 #散文

『凍る息』

『凍る息』

午前4時
冷え切ったサンダルに足を入れ
西の満月を眺める

耳元にはどこか知らない場所を走る
エンジン音と君の声

君の吸い込む空気が
一瞬凍る息となり
やがて甘く暖かい
囁きに変わる

もっと欲しいと伝えたら
終わってしまうと
今夜も一人
夜風を飲み込む
#詩 #恋愛詩 #言葉の添え木

『真意』

『真意』

「嫌いじゃないよ。」

素直になれない僕たちの
二人ぼっちの合言葉。

寂しい夜は、声を届けて。

途切れた会話の合間に聞こえた
あなたの息遣いが、
私をまた、恋に落とす。