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心を整えて歌を詠む

歌を詠むのは、自宅でも電車の中でもなく、小石川植物園の楠木の下のベンチに座っている時です。旅行先で見た風景や、出来事、そのときに感じたことを思い出しながら、思い浮かんだ言葉を紡ぎ合わせスマホのメモ機能に打ち込んでいきます。
どうも自宅の机に向かっているときには言葉が思いつきません。ベンチに座っても直ぐには詠む気分にならず、体で風を感じ、楠木の枝葉が鳴る音を聞き、心を整えていると次第に詠む気持ちになってきます。
ベンチは2つありますが、いつも右側。大木の枝葉が風に揺れる音が心地よく、自然と言葉が思いついてきます。

この日は、父の米寿の祝いするためにGWに故郷に帰省したときのことを思い出していました。私の故郷は保守的なところなので、都会者が実家付近をウロウロしているところを見られると何を言われるか分からないので、実家から10キロほど離れた玉造温泉に宿泊し、そこに両親を呼び寄せ夕食の時にお祝いをしました。
2年3ヶ月ぶりの再会でした。

風わたる 楠木の下で 歌を詠む 故郷の父を 思い浮かべて

ベンチに座って見える風景

ひさかたに 故郷の父と 再会し 照れる気持ちで 顔をそむける

ふた年も 会えぬ父との 再会で 喜ぶ顔見る 米寿の祝い

最初はなんとなく照れくさかったのですが、次第に話しが弾んできます。電話では話していましたが、取り留めもない話題で会話が広がっていきます。自然と出雲弁になっていきます。

ひさびさに 戻った故郷は 変わりなく 田舎言葉で 話しがはずむ

大根島の牡丹の池

両親は夕食後に実家に帰り、我々は翌日は午後の飛行機の時間まで観光です。実家に立ち寄ることができず、墓参りもできないので、観光名所をゆっくり回りました。といっても、私は何度も行ったことがある場所ですので、新鮮ではなかったのですが、東京と違って昔と変わらぬ景色に「本当に2年以上も経ったのか」と思ってしまいます。

足立美術館にいきました。横山大観の作品と庭園の美しさで知られている美術館です。

足立美術館の庭園

3年の 月日は経ても 庭園の 砂地や木々は 久遠の流れ

一幅の絵画のような窓がある茶室

フライトの前に出雲蕎麦を食べました。子供のころから食べているソウルフードのようなものです。最近は東京でも購入することができますし、実家から送ってくれますが、出雲弁を聞きながら食べる出雲蕎麦は格別でした。

故郷にて 田舎言葉を 聞きながら 食する蕎麦は 格別の味

典型的な出雲蕎麦(わりご蕎麦)


米寿の父は歩行は年相応に弱っていましたが、口は変わらず達者で、元気な姿を見ることが出来て安心しました。

後ろ髪 引かれながらも 帰京する 次に会えるは 卒寿のときか

和歌を読み、和歌を詠む|森村一樹|note

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