転職口コミサイトの信頼性を高めたい。僕が「ホンネメンター」をつくったワケ
8月末に自社サービス「ホンネメンター」をリリースしました。これは、企業の現社員や元社員が相談アドバイザー(ここではメンターと名付けました)として登録されていて、そのメンターに転職についての相談ができる、というもの。
様々な転職口コミサービスがあるなか、なぜこのサービスを作ったのか。その背景や想いをまとめます。
①一つのメディアで完結しない、職探し
まずは簡単に、求人広告メディアの変遷を辿ってみたいと思います。
元々求人広告は、新聞やフリーペーパーなどの紙媒体に集まっていました。こちらは他の業界と変わらず、だんだんとWeb媒体へとフィールドを変えていきます。スマートフォンが普及した頃には、アプリ上でいつでも誰でも企業を検索し、応募することができる時代になりました。
情報が溢れかえる中、広告手法も様々な形に変化していきます。以前はHPをつくるだけで集客できていた時代からバナー広告のような純広告、そして検索連動型広告(リスティング)となり、以前からはネイティブ広告(記事広告)も増え、ブログ形式のPR記事やアフィリエイト記事も多く、それらがSEOを強化することで、いつの間にか検索結果の上位は素直に受け取れる情報だけでない状況になっています。
こうした情報中で私たちは1つの情報源を信用できなくなり、複数のサイトを見たり、口コミを参考にしたりして、情報の正確性を確認するようになりました。
さらには今ではSNSも当たり前のようにチェックするようになりました。
広告で隠されやすい真実に近い情報をいかに探せるかにとても苦労する時代となってきました。
つまり企業を探すとき、転職情報を探して応募するときには、一つのメディアだけを見て完結する、なんてことがなくなってきたのです。
「食」系でも同じですよね。かつてはぐるなびなどの広告媒体を見て完結していたものが、今は複数のポータルサイトを横断し、誰かが取材した記事を読み、さらに食べログ(今は信頼性落ち気味ですが)、InstagramやGoogleの評価を見て、ようやく1件の店舗に決めるわけです。
②人はみんな、気になる企業の「ウラ」をとりたい
しかし、いつ頃からでしょう。食系・キャリア系関わらず、企業目線の情報をどこかで信頼できなくなってきたのは。
求人情報サイトは、求職者からの応募を集めるのが目的であるため、企業の一方的でポジティブなアピールが中心です。
社員数が少ないことを、”少数精鋭の優秀な人材ばかり”と表現したり、中間層がやめていく社風を、”若手中心の活気に満ち溢れた職場”と表現したり……。
しかし事実である、ないに関わらず、「ウラ」をとりたくなるのが、現代を生きる私たち。
それぞれの企業には良い面だけではなく、表には出したくない、「本当の姿」が隠れていることを知っているし、企業に求めることだって細分化されています。
表向きの姿に誘導されて、簡単に自分の進路は決められないものです。
ポータルサイトに掲載されている姿が事実なのか知りたいと考える人が、転職する際に、口コミメディアも合わせて見るようになるのは、とても自然な流れなのでしょう。
③キャリア系口コミメディアは、ネガティブな情報が集まりやすい
しかし、一口で「口コミメディア」と言っても様々なジャンルのものがあります。
一般的に口コミ系のメディアは、基本情報の偏りが少ないことが特徴です。
例えば価格.comや食べログなどは、日常的に購入する商品が対象であるため、口コミの数が集まりやすく、定量的な判断軸(料金・性能など)で評価をすることが可能。結果的にバランスがとれた、信頼性の高い状態が維持できます。
一方キャリア系の口コミメディアは、ちょっと違うんです。
現状多くのキャリア系口コミメディアは、「企業の情報を閲覧するために、まずはあなた自身が知っている会社の口コミを、登録してくださいね」という流れが一般的です。
ユーザーが企業の情報を閲覧したい状況とはつまり、「転職を希望しているタイミング」であるということ。そんなタイミングで、辞めた会社(辞めようと思っている会社)の情報を入力することを促されるわけです。
私はこの「心理的にネガティブな状況」において口コミを登録させる仕組みが、企業にマイナスイメージを与える情報を集めやすくさせている点を危惧しています。
(ちなみに不動産系の口コミメディアは、比較的良い意見を書きがち、という逆の現象があります。その理由は特に分譲の場合、資産価値を上げる目的で書く人が多いから、と推察しています)
また「企業」というものは、定量的な評価が非常に難しいんですよね。
例えば「体育会系の職場なのでキツイ」という口コミを入れた方が、その企業の職場環境に対して5段階中★2の評価をつけたとしましょう。定量的に見たらその企業の評価は★2となりますが、体育会系の職場を希望している方も中にはいるわけです。
そういう方に正しい情報が届かなくなるのは、非常にもったいないなぁと感じています。
もちろん、すべての口コミが企業への恨みつらみではないし、ポジティブな意見も見られます。
ですが比較的ネガティブ寄りな意見が散見されるのが、キャリア系口コミメディアの難しいところだなぁというのが、私の考えです。
④一人ひとりにとって、「働きやすい」って違う。だからホンネメンターをつくった
そこで「ホンネメンター」の話に戻ります。
私は決してキャリア系口コミサービスを否定したいわけじゃありません。実際に自分自身も何度もお世話になったことがあります……。
ただ、より信頼性の高い情報を提供するには、もう一歩踏み込んでみる必要があるのではないか、と。
冒頭でも紹介したように、ホンネメンターでは自分が気になる企業で過去に働いた経験のある人や現在働いている人に、オンラインで転職の相談をすることができるサービスです。
これまで一方的に情報を届けていたところから、コミュニケーションを間に挟むことで、より信頼性の高い情報を引きだせるような場を作りたいという想いがあります。
またあえてこのサービスを有料化することで、相談された側にもフィーが発生するように設計しています。
理由は、退職者だけではなく、現在在籍している方が複業の一つとして活用してもらえるようになれば、ネガティブな心理状態ではない情報が手に入るようになるのでは、と考えているため。
もう一つは、「人はお金という対価に対して誠実である」という行動経済学の観点がありますが、フィーをもらうことで、その分の対価を生み出そうとする力学が働くものだと考えています。
一人一人求める情報が違う時代の、新しい転職支援ツール。それがホンネメンターです。
*最後に
転職は、人生を左右する大きな決断を求められます。
だからこそ入社後で起こるネガティブなギャップは、できる限り避ける手段を提供したいと考え、この「ホンネメンター」というサービスを開発しました。
様々な選択肢がある中、ホンネメンターを活用することによって、確かなイメージを持って自分の道を選んでいける人が増えたらいいなと思っています。
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