【白血病】(−7)〜余談・元気な頃〜 リンパ芽球性リンパ腫・白血病

遠い異国でのできごとです。これが、事実かフィクションかは、読者の皆さんの判断に委ねます。


小児がんセンターでのできごと。


その前に、一ヶ月巻き戻そう。


私は、ふた夏連続で手術を受けていた。


前年は、以前命を助けてくれたが、故障してしまったデバイス関係の手術(手術と再手術の2つ)。


この年は、別の部位の手術で、私はおそらく永久に長期人工呼吸器装着を封じた。(喉元過ぎれば熱さを忘れる自身の決意が揺らがないことは念頭にあった。しかし、いざとなったら、辛さを忘れて「生きたい」となり、人工呼吸器装着に苦しんだかもしれない。さらに、発がん性はある薬液であるホルマリンを日常的に吸うことによるのダメージを減らしたり、感染リスクを下げたりする目的も秘められた手術。実は、話すたびに少しだけエアーリークが聞こえたり、付属品の蓋が取れて突如声が失われたり(手で押さえるか、蓋をはめ直せば戻る)……セックス中もファッションセンス皆無の謎のバンダナを絶対に外さなかったり……といった些細な違和感の解消ももれなくボーナスでついてきた手術。)


何度もいうが、どれほど小さな手術でも、私は常にそれで万が一にも自分が死んだとしても後悔がないように、一ヶ月ほど術前に家族とバカンスを楽しんだ。


そして、回復の猶予のため、次の予定までなるべく退院予想・抜針予想から1、2週間は休みを確保するようにしていた。


これは、術後のできごと。


苦笑するしかない。


術後帰宅した私は、その2週間後に久々に母国に帰り、従兄弟や叔父叔母達に合う盛大で長めの旅を企画していた。(トロントに行き、ナイアガラの滝に行って、ヘリに乗った時のことは他の話で)


しかし、フライトまでの2週間を自宅で過ごす環境は、私には正直時間を持て余している気分に陥ってしまった。


手術の前に楽しむために、友人達よりも一足早く全ての試験を終わらせていた。


すると、手術のことは誰にも言わずにふっと数週間消えて、帰ってきた時は皆が試験真っ只中……


5割が進級できずにふるい落とされる、第一の国家試験は医学部の2年生の時。


これに合格したら、晴れて医学部3年生として、本当に医学部入学資格者かつ将来の医者の卵として学校の教員らに迎え入れてもらえる。


それまでは、人以下の扱いなんて言う学生もいるという噂。


ま、というわけで、同級生は皆さん必死。


こっちとしても、もう手術は成功したし、誰にも言うつもりがない手術を話題にしたことによって、周囲が動揺し落第を助長することは避けたい。当然、彼ら(彼女ら)のためなのはもちろんだが、万が一そうなってしまった時の罪悪感たるや、きっと尋常ではなかっただろう。(永遠に友人の進路・キャリアを変えるかもしれないのだから……)


ということで、沈黙を通した。


でもね、やっぱり家で2週間ただ何もせずに座っている性分でもない。


そこで、言語交換をしてみたり、上級生と会食したりした。


上級生と会食した際、小児がんセンターでボランティアをする機会に恵まれた。


私は、自分が病気で抗がん剤治療を受けたくらいの年齢の患者さんの力になりたいと考えた。


小児がんセンターの規模や内情を知らなかった私は、院外で見かけたちょうど抗がん剤初期の髪が全部は抜けきっていない児に手紙を書いた。


いざ、ボランティアを開始する日に病院・病棟に足を踏み入れると、ティーンエイジャーの患者さんは沢山たっくさんいたのだった。


当然、一人にだけ手紙を渡すわけにもいかない。私はその場で手紙を正方形の紙に破り、折り紙鶴折りライブショーへと変化させた。


その鶴はプレゼントし、体力的・心理的に遊びたい子供達向けに折り紙教室を開くことになった。


談話エリアに遊びに来る患児と呼ばれる入院中の子供達は皆、普通に遊びたい盛の子供達だ。


初めての折り紙をとっても几帳面に、丁寧に折る子もいれば、大胆に楽しそうに折る子もいる。


皆が皆、個性溢れるどこの幼稚園や小学校にでもある雰囲気。とっても楽しそうに遊ぶのだ。


ボードゲームを始めるも、途中でドカーンとふざけてパーツを飛ばす子もいる。


私も、ついそこが病院だということを忘れて〜とまではいかずとも、毎日幼稚園年長から小学生くらいの年齢の子供達と楽しく遊んでいた。


しかし、当然そこは病院なのだから、様々な病状や治療を必要とする子達がいる。


親が手術を決めのだが、最も推奨される治療よりも、受け入れやすい治療を選択する場合もある。親も最善を尽くそうとしている。


子供達に罪はない。


当然、そこにただただ遊びの場を提供しに行っている医学部の低学年の餓鬼が口など出して良いわけがない。


別に、牽制されたわけでもないが、そこは……ね……


別の機会に二人部屋にて一人だと聞いていたが、二人で折り紙での鶴折りショーをした。手元に紙が一枚しかなかったため、できた一匹の鶴を「お部屋の皆に」と二人に一羽プレゼントした。


しかし、一人が部屋を移動することになった際に問題になり、喧嘩になってしまったそう。(私の考えが未熟だった。)


そして、二人部屋から大部屋に移動した少年は、それをきっかけに不貞腐れてしまった。


その少年は◯日手術をする病院に手術の時だけ転院し、術後再び戻ってくる、その日が翌日だと気がついた。


私は慌てた。


せっかく、折り鶴を喜んでくれていたが、彼の元に鶴はなく、鶴はいらないと言い出してしまった。


私は、病院近くの自宅に帰宅し、大急ぎでサプライズを用意するのだった。


次話に続く


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