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唐仁原昌子
2024年7月21日 20:40
月曜日の朝。カーテンが半分だけ開いた、部屋の中。 太陽は、もうすでにしっかり目覚めている。今日も暑くなりそうだなと、思う。 身支度をしながら、他愛のない話をする。「私、生まれ変わったら猫になりたい。でもできることなら、もう生まれたくないかも知れない」「なんで?また生まれて、次もちゃんと私を見つけて、友達になってよ」「うーん。自信ないから、チイちゃんが私のこと見つけてよ」「じゃあ見
2024年5月12日 22:28
寝ぼけたまま、まともに目も開けずに手探りで窓を開ける。 ぶわりとカーテンが広がって、部屋の中に渦巻いていた灰色の空気が一気にかき回される。 昨日、五年付き合った人と別れた。 おしゃれで聡明な人だったけど、いつも難しい顔をしているから、それを和まそうと私はいつも一生懸命だった。「元気なところが好きだよ」と言われて、素直に嬉しかった。だから私はいつも元気でいた。いつも元気でいたくて、い
2023年11月19日 23:49
通学路に、少し勾配のきつい下り坂がある。 その坂の先に十字路があって、そこを通り過ぎた先で右に曲がると、私の通う学校が見える。 何てことはない、いつもの道。 その日は、私には珍しく早起きをして気まぐれに早く家を出たので、通学路に同じ制服の人間はほぼいなかった。 通い慣れた道なのに、目に入る景色が少し違うだけで異世界のように見えて、不思議な気持ちになる。そんなことを考えながら、ゆっく