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唐仁原昌子
2024年6月30日 20:58
人生には、ひどく嫌なことが続く時期がある。 いつからだろう。私は、何となくそういう薄暗い時期に入ったことを感じると、眠る前にそっと祈るということをするようになった。 毎日毎日やってくる真っ暗な夜に、繰り返し繰り返し祈り続けるようになると、それはだんだん習慣になる。 気がつくとそれは、眠りに繋がるルーティンになっていた。 夜、灯りを消した部屋でベッドに入り、目を瞑るその少し前。
2024年2月12日 21:49
風邪を引くと、いつも見る夢がある。 現実では行った記憶のない、だだっ広い草原で全力で風を浴びるあたりから、その夢は始まる。そして大抵、もう風邪から解放されそうだなというくらいのタイミングで見る。 熱を出して眠りにつき、次第に風を感じ始めると「また、あそこに行くのだろうな」ということと「ああ、明日には熱が下がるのだろうな」とわかるくらいには、印象深い場所だった。 そこには一本の木がある
2022年12月1日 23:06
ーー大切なものは、その腕に抱きしめられる分だけしか、持ち続けることはできません。新しい「大切なもの」ができたときは、何か一つ、これまで抱きしめていた「大切なもの」を手放すときなのです。どれだけ惜しくても、欲張りは禁物です。それが、今あなたの腕の中にある大切なものを、できるだけ長く大切にするための秘訣かもしれませんーー。 おみくじの内容を見て、思わずドキッとした。 その日、私はどうしても仕