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●ショートショート●

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これまでに書いた短編小説、ショートショートをまとめたものたち。
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2023年8月の記事一覧

【ショートショート】 ヒカレ

【ショートショート】 ヒカレ

 私には、好きなものがあった。

 雨上がりのアスファルトの匂い。
 通学路にある地蔵を眺めること。
 授業中に教室から眺める運動場。
 前の席で眠る友達をつつくこと。
 どこかから聞こえる吹奏楽の音。

 たくさん、あった。

 キラキラした装飾の付いているバッグ。
 長い髪の毛を丁寧にお手入れすること。
 色とりどりのネイルカラーのチェック。
 大きめのTシャツをだぼっと着ること。

 友達を

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【ショートショート】 夏をつなぐ

【ショートショート】 夏をつなぐ

「だからさ、ちょっと夏に関連する話をしようよ」

 電話口で、けらけら笑いながらミチルは言う。

「何、夏に関連する話って」
「夏らしいことできてないから、夏の好きなとことか言い合おうよ」
「…というと?」
「蚊取り線香の匂いとか、夏っぽくない?」
「まあ、夏の匂いだね」
「かき氷の削る音は?」
「夏っぽい音、だ」
「うんうん」
「蝉の抜け殻の、握ったら崩れそうな感じは?」
 思いついたことを適当

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【ショートショート】 ポラリスの瞬き

【ショートショート】 ポラリスの瞬き

 あるとき、お姉ちゃんと喧嘩をした。

 大きな声で泣きたかったけれど、ママにうるさいと叱られるのは嫌だった。それに、どうせ口が達者なお姉ちゃんの言い分が通って、私が「あんたはまだこどもなんだから!」と言われるのがいつものことなので、声を出して泣くことをできるだけ我慢した。

 我慢はしたけれど、涙は勝手に出てくる…。

 そういうとき、私はよくポラリスのまあるい後頭部に助けられた。

 金色がか

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【ショートショート】 いつも通りの、朝

【ショートショート】 いつも通りの、朝

 その日は朝からいい天気だった。
 いい天気すぎて、登校しただけで汗だくになるくらいだ。取り立てて何もない、いつもと何ら変わらない平凡な朝ではあった。

「よお」
「よお!昨日言ってたお笑い番組観た?」
「観た観た。めちゃくちゃ笑いまくったせいで、おやじにうるさいってキレられたもん」
「想像できるわー、お前声でかいもんなー!」
「うるせえよ!」
「あ、タクおはよー!」
「おう、おはよ」
「タクは観

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