Almond Fish (Motofumi Kozakai)

2013年10月~2017年9月:放送大学(心理と教育)。2018年4月~2020年3…

Almond Fish (Motofumi Kozakai)

2013年10月~2017年9月:放送大学(心理と教育)。2018年4月~2020年3月:同大学院(人間発達科学)。2023年5月 統計検定2級取得。カーリング観戦と将棋観戦が好き。腰痛もち。p5.js+Javascriptで確率変数を動かしている。

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あの頃の傲慢な自分へ

カバー写真は UnsplashのShe gladly seesが撮影した写真。 かつて、見合いを取り仕切ってくれた方に言われたことがある。 あなたは、相手の方をどう思ったかわからないが、あなたにはこの人が釣り合いそうだと思って私たちはお世話をしている。他人から見ると、あなたとあの方は釣り合うんだと見えるんだよ。 こんな言い方だった、もっと直裁な言い方だったかも覚えてないくらい過去のことなのだが、当時の(おそらくとても傲慢だった)私は、この言葉にひどく落ち込んだ。そんなわ

    • ひらがなか、漢字か。それもまた問題だ。

      Cover photo UnsplashのWolfgang Hasselmannが撮影した写真。どうして象なのかは記事の最後で。 三宅香帆さんのこの本を読了。 本文の話をせずにこんなことを書くのはどうかと思うのですが、「あとがき」に書いてあったことに私はとても共感してしまいます。 三宅さんのような様々な視点からの興味や関心ではまったくないのですが、私は、「この人はこの言葉をかなに開くのか」とか、「この人はこのテーマを敬体で書くのか」とか、「何か違うと思ったら、この人は指

      • 確率変数を「足す」ということ

        確率変数の和を考える、というのが、統計学の教科書に出てくることがあります。ん? どういうこと? というのがまず最初の感想だろうと思います。ですよね。おそらく、私も最初はそうだったはず。 カバーはUnsplashのXinYing Linが撮影した写真。 確率変数とは統計学の講義をするつもりはないのでざっくり書くと、確率変数とは、「ランダムな値を取り得る変数」です。ただし、まったくでたらめに値が決まっているように見えて、実は背後に確率的な法則が仮定されています。 たとえば、「1

        • モンティホール問題:確率変数の世界と実現値の世界

          「モンティホール問題」あるいはその類型である「三囚人問題」で悩んだことのある全ての方へ。 今日が良い一日でありますように。 カバーはUnsplashのSergiu Vălenașが撮影した写真。ヤギに恨みはありません。 アニメーションで考えよう「モンティホール問題」最近、モンティホール問題について考え直す機会があったので、考えたことをまとめておきたいと思います。 上記のページは、モンティホール問題について考えながら、「あ、これ、以前からやっているアニメーションで見せたら面

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          エスカレーターは右に乗りたいです。

          Cover Photo by Ricardo Gomez Angel on Unsplash プリキュアとパ行音言語学者の川原繁人さんが、面白い本を出しておられます。しばらく前に読み終わっておりました。 言語学の研究者である川原さんが、母校の小学生を相手に授業をした記録が本になったものです。川原さんは、日常的に目にする言葉の中に、「どうしてこういう音(たとえばパ行音)が多いのか?」という疑問についても研究しておられるのですが、もっとも面白かったのは、プリキュアの名前につい

          エスカレーターは右に乗りたいです。

          いっしょにしないでほしい。どんな昔の体験とも、どんな痛みとも。

          Cover Photo by name_ gravity on Unsplash 綿矢りさ「大地のゲーム」を読了しました。もう10年近く前に、図書館で借りて読了していたのを、改めてKindleで買い直しての再読でした。 この作品のある部分、かなり長い部分を、私は自分のノートに書き写したことを覚えています。まだKindleで読書することも、こうしてnoteを書くこともやっていなかったころでした。忘れていませんでした。次の箇所です。 その頃のノートはPDFにして残っていて、見

          いっしょにしないでほしい。どんな昔の体験とも、どんな痛みとも。

          0か1かで判断することの怖さについて

          Cover Photo by Steven HWG on Unsplash 今回の読書記録はこの本です。まだ最初の2章しか読んでいないのですが、忘れないうちに書いておきたいので、とりあげます。 紹介文に書かれているとおり、39歳で若年性アルツハイマー型認知症と診断された著者による、「認知症当事者からみると、社会はこう見える」について書かれた本です。 私は意識して「認知症当事者」と書きました。「はじめに」で書かれている著者の主張の一つは、わたしは「患者」ではく、「当事者」

          0か1かで判断することの怖さについて

          後ろめたい生き方が悪いのではない

          Cover Photo by D Jonez on Unsplash 今日読み終えた本は、精神科医の益田裕介先生が書かれた本で、『精神科医が教える 親を憎むのをやめる方法』という、なかなか刺激的なタイトルの本です。益田先生はメンタル系YouTuberとしても活動されている方ですので、そちらの方でご存知の方もおられるでしょう。 本書は、「親を知ること」、具体的には、親がが発達障害であった可能性を考えることや、親が生きた時代、職業上の葛藤などを客観的に知ることが、親子の間の葛藤

          後ろめたい生き方が悪いのではない

          立場を明確にすること

          Cover Photo by Muhammad Haikal Sjukri on Unsplash 荒木博之氏のVoicyで紹介されていた本が気になったので、Kindleの無料サンプルを読んだ後で、購入して読み始めました。気になった本に出合ったらすぐに買う、すぐに読む、途中まででもいいから読む、どこかにアウトプットする。きっとみんな、こういうことを自然にやっているのでしょうね。だからあんなに毎日、膨大な発信をして、それと同じくらいに勉強ができる。同じようにできるとは思いない

          立場を明確にすること

          構成主義という考え方

          Cover Photo by Ian Schneider on Unsplash 荒木博之氏の「独学の地図」を最近読了した。荒木氏の主張する「ラーニングパレット」の構成にはまだ当分たどり着けそうにないのですが(仕事をしていない現状、たどり着けるものかどうかよくわからないけれど)、たいそう刺激的な内容でした。以下、一部を引用しつつ、書きますが、書かれていることとはまったく違う地点に着地しそうな予感がしております。 「独学の地図」の最後の方に、次の引用があります。引用元の書籍

          構成主義という考え方

          安美錦のことば

          Cover Photo by Jr Korpa on Unsplash 渡邊十絲子さんの「今を生きるための現代詩」という本を先日読了しました。その中で紹介されている詩はどれも刺激的で、わけがわからなくて、(いろんな意味で)読みにくいものでした。これらの詩について何か書けそうな気はまったくしないので、書きません。 ところで本の最後のほうに、大相撲の安美錦関のことばが引用されていました。中継のインタビュアーが、作戦をどのように考えるのかについて尋ねたところ、安美錦関の答えはこ

          イデオロギーとしての主体性について

          Cover Photo by Ankush Minda on Unsplash 「「こころ」のための専門メディア 金子書房」で公開されている「主体性とはイデオロギーではないだろうか」(解説:東京農業大准教授:鈴木聡志先生)を興味深く読んだ。 「主体性」には、それと逆の意味を持つ言葉、たとえば「客体性」はない、という考察はおもしろい。なるほど、ある言葉の意味を考察するときに、それとは逆の意味の言葉、「それであるとはいえない言葉」などを探してみるのは有効な方法だろう。たしかに

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          総和記号って知ってる?

          はじめまして、Σです。$${\sum}$$(総和記号、Σ)にはじめて出会うのは、どうやら高校数学らしいのですが、私は全く記憶にありません。現行の学習指導要領では、「数学B」で扱うことになっているようです。ふむ。私の頃は「数学ⅡB」とか言っていた気がしますが、このあたり、芳沢先生がずいぶん批判しておられるので、お任せしたいと思います。 さて、いかつい顔をしている$${\sum}$$ですが、要するに足し算の記号です。足し算は「+」の記号を使って書けるのですが、数列の和など、「い

          総和記号って知ってる?

          統計ソフトウェアを使おう

          初めてだったら、HADの一択小杉考司先生が、心理統計の講義をほとんどそのままの形で、本を2冊出版されています。Kindle Unlimitedになっていたので、嬉しくなって2冊ともダウンロードして読み始めました。うん、面白いぞ、小杉節。心理統計学習ののサブテキストとして、激推ししておきます。 しかし、激推ししますと言っておきながら、はじめて統計に取り組み皆さんにはお勧めいたしません。だってものすごく読みにくいんだもの。なぜか行番号が文章の途中に挿入されたままになっているし、注

          統計ソフトウェアを使おう

          心理学で統計学を使う理由について

          心理学と統計今でこそ、「心理学部」という学部が設立されている大学がありますが、かつては、たとえば「文学部心理学科」とか「社会学部心理学科」とか、いわゆる「文系」(この言い方もそろそろ死語にしたい)の学部の中に心理学のコースが設置されていました。なので、私のように数学Ⅱの途中で完全離脱、みたいな人が誤って(?)心理学科に入ったりすると、統計の授業で倒れる、みたいな事態が発生するわけですね。「文系だから選んだのに~!」という悲痛な叫びがあちこちから聞こえたようなのです。 かく言

          心理学で統計学を使う理由について

          「アンケート」ウォッチング:2023.11.3

          ネット上に転がっている「アンケート」をネタにして、あれこれ書きたい放題書きます。「アンケート」を実施される方は、それなりに目的をもってされているのだろうと承知しています。それを批判するようなことはいたしません。しかし、せっかく貴重な資源を費やして調査結果をまとめるなら、できるだけちゃんとやってほしい、というのが私の願いです。 今回のネタはこちらです。 ツッコミたいところは山ほどあるが記事をご覧いただいて、それぞれツッコミどころが見つかると思います。たぶん、書き出すとあれも

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