立場を明確にすること
Cover Photo by Muhammad Haikal Sjukri on Unsplash
荒木博之氏のVoicyで紹介されていた本が気になったので、Kindleの無料サンプルを読んだ後で、購入して読み始めました。気になった本に出合ったらすぐに買う、すぐに読む、途中まででもいいから読む、どこかにアウトプットする。きっとみんな、こういうことを自然にやっているのでしょうね。だからあんなに毎日、膨大な発信をして、それと同じくらいに勉強ができる。同じようにできるとは思いないけれども、少しくらいはそれに近づきたい気持ちもあります。
さて。読んだのはこの本です。
若い会社員とその上司、会社員の恋人、旅先で出会う元大学教員の女性、女性が働いている小さな喫茶店で偶然出会った会社員の男性。登場人物はこんなところでしょうか。彼らの対話を織り込みながら話が進んでいきます。正直、こういう対話形式の本はあまり得意ではないのですが、著者の経歴や語られている内容に興味があるので読んでみています。
で、マーカーを引いたのはここです。
若い会社員、彼は意見を求められても自分の感想を短く話すだけで、根拠をもって説明することができない、という設定なのですが、その彼が、元大学教員の女性に教えられたことをもとに、自分の意見を述べてみた後で(それはかなり論理的に整理された形に進化していました)発した言葉です。
元大学教員の女性のアドバイスは、「自分の立場を明示すること」でした。若い会社員はそのことについて、「意見の違い」はすなわち「立場の違い」であって、意見の違いが自分への否定ではないことを述べているのですね。
このことは、私にとってとても重要な指摘でした。
私も、この若い会社員と同じく、自分の意見を主張することがたいそう苦手です。自分の意見は「正しい」のだろうか? ということが気になってしまうのです。世の中いろんな意見があるから、と思えば、自分と異なる意見があっても当然なのですが、どうも落ち着きません。
が、引用部分を読んで少し気持ちが変わりました。
なるほど、「そういう意見」もあるのだ。ではなく、なるほど、「そういう立場」もあるのだ。と考え直したらどうかと思ったのです。
人はそれぞれの立場で生きています。年齢、性別、職業(役職)、出身地など個人に紐づいた属性の他に、ともに働く人々、特別に関係を持たないけれど地域でともに暮らす人々、情報端末から流れてくる情報、そうした「環境」がそれぞれの立場を形成します。こうした「環境」は、当然、一人ひとりまったく異なりますから、「環境」に影響される「立場」も当然異なるわけです。
そんなの、当然ですよね。社会心理学の知見を持ち出すまでもありません。心理学について聞かれれば、当然のように、レヴィンの公式について話すだろうに、肝心な時にそれが思いつかないのは、学習が血肉になっていないということなのかもしれません。
これに関連して、Voicyで大愚和尚が伝え方がうまくなかったかどうか考え直してはどうか、という発信をなさっています。
人は皆「自由でわがままな自分」であり、人々が集まって何かをしようとすれば意見が違う。話し合うときにはそれぞれの意見を出さなければならず、意見がうまく伝わるようにするには、それがうまく伝わるような伝え方を学ばなければならない。わかってもらえないというストレスがあるなら、それは意見が伝わっていないからで、伝え方の問題である。そう大愚和尚はおっしゃいます。
この「うまく伝わるような伝え方」の重要な一つとして、冒頭で示した「立場を明示する」ということがあるように思います。
深沢真太郎氏の著書はまだまだ半分以上続きがあります。最も気になっているのは後半の「エモい数字」のところなので、引き続き読んで、学びたいと思います。この本について語っている荒木博之氏のVoicyはこちら。