食べ尽くせるくらいの嘘を抱えて
5月、キッチン横の空きスペースが玉ねぎだらけになる。みずみずしい新玉ねぎがカゴにいっぱい。おしゃれなベジタブルストッカーは持っていないから、均一ショップで見つけた手頃なもので代用している。
最初に連絡をくれるのは隣の奥さん。母より少し若い感じの先輩主婦だ。お母さんにも食べさせてあげてと渡された紙袋には、ゴロっとした大ぶりの新玉ねぎが10個ほど入っている。毎年すみません、とお礼を言ってその場で一つ取り出す。肉厚で見るからにやわらかそう。頬を緩ませた私を見て奥さんの目尻にもシワ