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作詩-言葉たち-vol2

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#涙

濡れてゆく

心が感情に彩られてゆく
スポンジのようなものなら
人の心とは、
案外美しくはないのかもしれないね

いろんな絵の具を吸って時に混ざりあい
時を重ねるほどに
染みてゆく色々

みずみずしく濡れゆく心は
いつも涙を湛えているかのよう
でもそのうるおいは美しい

乾ききって
どんな色にも染まされないよう
押し潰しきったスポンジは哀れだ

息を止めたら、
けっきょく、苦しい
だけだもの。

使ってなかった

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「わたしの・・・」

頑張れない
頑張らない
理想の
夢の
谷間におっこちて
這い上がる力もない

傷だらけのわたしを
この痛みを
もっと感じていてもいい

裂けるほどの透明な泣き声は
他の誰にもわかることはできないから
あなたの痛みは誰にもわかれない
あなた以外は 誰も

だから痛くないようにしないでいい
目を背けた傷はいつか
思わぬあなたの心臓を突く

一人で抱えきれない息苦しさをどうにかしたくて
必死にのばした指

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「次は春色の傘を掲げて」

今日は一日中、
断続的な雨
しとしと しとしと
思い出したように降り続いた

曇天の雲間にわずかに射す太陽も
微笑むことなく行ってしまった

重たい雲は目蓋を腫らして
涙模様の街を見下ろした

ぽつんと浮かぶ傘の色は
悲しみめいたブルーみたいで
後悔滲むパープルのようで
じつは怒りにも似たマゼンタ

気づけば雨はいなくなり
人色ばかりが行き違う

場違いな傘を畳みたいのに
空はまだまだ晴れていない

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寂しさのしずく

隣にいる人すら
意味を持たぬほどの
寂しさがこぼれでるときがあるの

紫いろの夜は
差し伸べられる手すら厭わしくて
すくいあげられることを望んでいない

闇にも呑みこめない雫を
熱く濡らしては
絞りだせない声を滲ませる

今夜は
孤独なほど寂しくなくなるから
どこまでも一人にして頂戴

世界に別れを告げて
一人 待ち侘びる雨音は
月光の音色よりピアノらしく寂しく響くのでしょう

透明にしすぎた寂し

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涙雨を抱いて

大気に孕まれた水が
空気の境を這い出してくる寸前
空があついねずみ色を帯びる
きっともう涙腺は限界なんだ

それでも泣けない君の背を
風があたたかく撫でてゆく

生温い風はヒトの不快指数を上げるけど
赤ん坊が泣くのは当然のように
悲しみを抱えきれない涙が産声をあげるのだって
当然じゃないか

涙を拭ったりなんてしなくていいよ
ただ 今は泣けばいいよ
寄り添う腕はそこにあるから

たくさんのものを見

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