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優しさを学ぶための犠牲

今までの人生の途中で出会った中で、
どうしても、忘れることの出来ない
優しさを持った人がいる。

人の心を動かすことって、
想像以上に大変なのに。

なのに、あっという間に
優しい性格に吸い込まれていった。


他の人のことを悪く言っているのを
聞いたことがなく。

自分のことで苦しんでいる姿も
見たことがなく。

いつも、友達や家族の
良いところを見つけては褒めて、
苦しんでいる人がいたら
助けてあげていた。



一体、どうしたらあんなに素敵な
性格になれるのか、
不思議で仕方がなかった。



生きていれば、間違って無意識に
人を傷つけてしまうことだってあるのに。

私は、自分と合わない人に
たくさん出逢ってきた。

そして、
どちらかが激しく攻撃することもあった。


あまりに酷い感情を投げられたり、
投げつけたりもしてきた。


投げつけられた言葉の、行動の、傷が
もう全然治らなくて、
癒えていない痛みだって、まだたくさんある。

今もどう消化していいのかわからない。

ふっとした瞬間に思い出してしまう。

歩いてる時や、ちょっと余った時間の回想に、
封じた筈の黒い痛みで、
激しい憎しみや、怒りで
動けなくなることもあるし。

コントロールの効かない
激しい感情が込み上げてくることもある。

いつまでも、刺さった棘が抜けなくて。


これらの痛みを、一体どうしたものかと。





でも、もしこれが、全て、
この感じたことのない
優しさを学ぶための犠牲ならば、
全然構わないと思えてしまう。

この温かさに触れたことが出来たのだから、
何も他にいらないと思えるような。

なんの縁で出会えたのか、
想像も及ばないけれど。


人と出逢えたことを、
本気で神さまに感謝したのは初めてだった。



いい意味で、
もうなんの悔いもないほどの
気持ちにもなって。

辛かった事も、もうどうでもいいやって。

全て許せるかもって思えるような。

そして、もう少し頑張って
生きてみようかなって。


もしかしたら、
こういう人がまだ世界のどこかにいるのなら
この世界にも、人生にも、
まだ何か素敵な意味があるのかも知れないと。


そう思える人に出逢えたのは
私の誇るべき宝で。


いつか、また人生の途中で
出逢える日が来たら、
笑った顔が何度も見たい。
常に幸せであって欲しい。


春の風の香りのような人だった。

ふっわとした優しさを
他人にもたらしてくれる。

常に側にいるような縁ではないけれど、
たまに出逢うと、相変わらず
心が満たされる。

他人に与える言葉全てが洗練されていて、
今日、生きる分の力を貰えた。


悪夢のような日々の、貴重な光だった。


何気ない幸せを見つけたとき、
間違ってドジなことをしてしまったとき、
伝えたいことが増えていく。


たくさん、綺麗な感情を積み重ねた状態で、
また出逢えたら。


こんなに多くの素晴らしい感情を
私から引き出してくれたのだから、
毎日が幸せであってほしいと
せめて遠くからでも、願っていたい。


そうやって、人の幸せを考えて
生きてみるのも良いかも知れない。






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