[企画参加]＃あなたは七夕に何を願う—題「母さんの願い事」詩

願い事：　母さんの手にボクの短冊が届きますように

七夕祭りのちかくになると
地元の小さな　商店街の
呉服屋さんの前に
大きな笹が　建てられます

横に短冊と鉛筆が
置かれています。
「願いを書いて　結んでください」と
立札が　立っていました

母さんの買い物に
ついていきながら
毎年　短冊に　お願い事を書きました

母さんは　細く　透き通った字で
願い事を　書いて　
笹の葉に結びます

「坊やは　なんてお願いするの？」
「ワンちゃんが　お家で飼えますようにって
お願いする。　書いて　書いて」
母さんは　ちょっと　困り顔で
「ワンチャンが　今年　お家にきますように　剣」と
書いて　低い場所に　結んでくれました

「母さんの　お願いはなぁに？」
「そうねぇ。　やっぱり　家族みんなが　
元気で　いられますように」かな・・・
母さんの　お願い事は　毎年同じ

七夕が終わると　沢山の人の
願いを結んだ笹竹は
神社で　焚き上げ　されました
夜空に　真っ赤な炎の中を
白い煙が　幾筋も　空に昇っていきます

家族三人で　その煙を見上げては
神様が　お願い聞いてくださるように　
両手を合わせて　お祈りしました

ボクの願いを　神様が
かなえて下さったのは
それから　数十年後　でした

笹の葉に　短冊を　結ぶたびに
かあさんの　細くて　象牙色に
光る指先を　懐かしく　思い出します。

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wisteriaさんの企画に参加させて頂きました。素敵な企画を立案ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします

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