見出し画像

ホームページを自分で作ることはフルマラソン完走に似ている Vol.10(黒田編4)

このnoteは、本のPR会社QUESTO代表の黒田剛、Webサイト制作のプロであるKotaこと田中俊行、出版社勤務を経てフリーの編集ライターになった石川奈都子(LUCKY NUTS)によるリレー連載です。石川が編集を担当。

ホームページを自分で作ることでキャリアを棚卸ししたり、SNSにない強みを持つビジネスツールとして活用する方法を伝えられないか? そんな思いから、この連載が始まりました。
フリーランスに限らず会社員でも、仕事への思いや作り手の顔が見えるホームページを持つことは新たな出会いやビジネスチャンスに繋がるはずです。

今回は、この連載の発起人である黒田さんが「ホームページ制作を人に薦めたきっかけ」について書きます。ぜひ感想を聞かせてください!

僕は「ホームページを作る会」を立ち上げた

ホームページを完成させた僕は、この体験をどうにかして人に伝えたくなった。アドバイザーのKotaさんの教え方のうまさに驚いたし、何より優秀なメンターに指導してもらえば誰もがホームページを自分で作れると考えた。

ちょうどコロナでリモートワークしていた時期だったので、ホームページに興味がありそうなフリーランスの知人や仕事仲間に声をかけ、「ホームページを作る勉強会をZoomで開きませんか?」と提案してみた。

2020年6月に開いた初回のミーティングには、料理研究家、ヘアメイク、カラーコーディネーター、フリー編集者、カウンセラーなど、いろいろな分野で活躍する人たちがリモートで参加してくれた。

そこで僕はホームページを自分で作る達成感や、これまでのキャリアや人生が整理できることなど、さまざまなメリットを伝えた。すると、みんなが「スゴイ! 自分も作りたい!」と口々に賛同してくれた。

好きなものを人に薦めるのが僕のクセ

話は少し変わるが、僕は小さい頃から自分が好きなことに周囲を巻き込むクセがある。「だまされたと思って、一回やってみて!」みたいなことだ。小学生からこれを繰り返して、本のPRという現在の仕事にもつながった。

誰かに薦めたもので記憶に残っているのが、2005年に発売された初代iPod shuffleだ。現在はもう生産中止になっているようだが、僕が人生で初めて手に入れたApple製品がこのiPod shuffleだった。

画像1

iPod shuffleの特徴は、聴く曲を自由に選べないこと。文字通り、機械が曲順をシャッフルして選んだものを聴く受動型の音楽プレーヤーだった。

iPodを始め、一般的な音楽プレーヤーが”自分で選んだ曲を聴く”のが主流だったのに比べて、”聴く曲を選べない”というコンセプトは斬新かつ画期的だったが、その不自由さに対して賛否もあった。

僕自身も実際に買って使ったときは戸惑ったし、使い始めは後悔もした。ただ、使っていくうちにその素晴らしさに気づいた。その理由は2点ある。

“デメリットこそが実は最大のメリットだ”と気づかせることが大事

そのひとつが、これまでとは明らかに違う音楽体験。たとえば120曲を音楽プレーヤーにドサっと入れておくと、ついそのとき気に入っている曲ばかり聴いてしまう。でも、iPod shuffleで昔好きだった曲がたまにかかると、「あーこの曲好きだったな」と、今までとは違った感動があるのだ。

もうひとつのメリットが、”いま大好きな曲(新曲)”がたまにかかると「きたーー!」とテンションが上がり、いま大好きな曲の価値もグッと上がる。ただし、確率が120曲分の1になってしまうので、聴きたいときにすぐ聴けないというデメリットもあった。

だからiPod shuffleを人に薦めるときは、必ずメリットとともにデメリットも伝えるようにしていた。この“デメリットこそが実は最大のメリットだ”ということの真意が伝われば、人の心を動かせる。

では、”いま大好きな曲”を聴きたいときに聴けないというデメリットをどう解決するのか。その解決法は、”好きな曲をたくさん入れておくこと”。

例えば、いま聴きたい大好きな曲は12曲、次に好きな曲は5曲と、好きなレベルに合わせて入れておくと、流れる頻度が自分の気分に合っているので、iPod shuffleが最高のDJになってくれるというわけだ。

この提案が決め手となり、Appleの店員でもないのに、友人から友人へとiPod shuffleの魅力が口コミで広がり、恐らく100人以上は僕が薦めたことが元で購入したと思う。

画像2

大切にしているのは、必ず自分で体験してから伝えること

僕がPRの仕事で大切にしているのは、必ず自分で体験してから伝えること。
習慣化の本ならその習慣を取り入れてみるし、レシピ本なら家で作ってみる。自分の実感を元に人に伝えていくほうが、ずっと効果的だからだ。

14年前、人生初のPRを担当したのは『体幹ランニング』(著:金哲彦)という本だ。運動は得意なほうなので、さっそくランニングの練習を始めた。

はりきって初参加したフルマラソンは、“第2回東京マラソン”。しかし、20km地点で膝が痛み始め、30km地点からは歩き、40km地点では大雨が振るなか足を引きずりながら完走(というよりも完歩)した。タイムはなんと6時間……本を担当していなければ、途中で棄権したと思う。

ビッグサイトからの帰りの電車では、階段は登れないし、下りはもっときつくて、家に帰るだけでも死にそうだったのを今でも覚えている。しかし、この情けなくてつらい体験こそが功を奏したのだ。

翌日からは、この地獄の6時間のエピソードがPRになって、たくさんのメディアで取り上げていただけた。『体幹ランニング』はありがたいことに10万部を超えるベストセラーとなり、本を何度も読み直したおかげで、4年後にはフルマラソンの自己記録を3時間20分にまで縮めることができた。

自慢できるものでなくても達成感を伝えたい

僕はメディアだけでなく、友人、家族、仕事相手など、周りじゅうの人にランニングの素晴らしさを伝えた。完走というより完歩したひどい記録にもかかわらず、”完走できた喜びと達成感"を多くの人に伝えたかったのだ。

ホームページを作り終えたときの気持ちは、この6時間で完走したときの感覚にとても似ている。決して自慢できるようなタイムではないのに、マラソンのすべてをわかったように熱く伝えてしまうあの気持ち。

もちろん、プロのWeb制作者から見たらとても完成度が高いとはいえない出来だが、インターネット上に存在している自分で作ったホームページがものすごく愛おしくて、みんなに伝えたいと思ったのだ。

画像3

「ホームページを作る会」のメンバーに一番伝えたいこと

僕が声をかけたメンバーに一番伝えたかったのは、ホームページは会社の実績やクリエイターなど自分の作品を載せたい人が作るものと思いがちだが、実は自分がやってきたことや職歴などをまとめるのに適したツールだということ。

そして、SNSでの発信が苦手な人(ぼくはその1人)にとって、ホームページは自分を知ってもらうためにものすごく有効であること。特に過去に積み上げてきたものがいろいろある人には、最適なツールと言えるだろう。

ホームページには人生を見つめ直すというメリットもある

さらに僕は、ビジネス的なメリット以外にも良い点があることに気づいた。ホームページを作る過程は、過去に自分がしてきたことやこれから自分が目指そうとしているものと向き合うための時間になる。

自分のホームページを大切に思えるようになると、「今考えている仕事はホームページに載せたい仕事なのか?」など、自分が本当にやりたい仕事かどうか、今まではあまり考えなかった視点を持てるようになった。

ホームページを作る必要があるかどうか迷っている人がいたら、とにかくだまされたと思って、一度作ってみることをオススメしたい。

フルマラソンと同じで、僕が這いつくばってでも完走(完歩)したように、完璧でなくても良いのでまずは完成させることが大切。そして、たくさんの人にホームページができたことをぜひ伝えてみていただきたい。

次回は、最初はやる気満々だった「ホームページを作る会」のメンバーがぶつかった壁について書く予定だ。まさに、言うは易く行うは難し‼︎

この記事が参加している募集

最近の学び

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?