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「ホームページを作る会」が壁にぶつかったワケ Vol.13(黒田編5)

このnoteは、本のPR会社QUESTO代表の黒田剛、Webサイト制作のプロであるKotaこと田中俊行、出版社勤務を経てフリーの編集ライターになった石川奈都子(LUCKY NUTS)によるリレー連載です。石川が編集を担当。

ホームページを自分で作ることでキャリアを棚卸ししたり、SNSにない強みを持つビジネスツールとして活用する方法を伝えられないか? そんな思いから、この連載が始まりました。フリーランスに限らず会社員でも、仕事への思いや作り手の顔が見えるホームページを持つことは新たな出会いやビジネスチャンスに繋がるはずです。

今回は、この連載の発起人である黒田さんが「なぜ初心者はホームページ制作で立ち止まってしまうのか」について書きます。ぜひ感想を聞かせてください!

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やる気はあるのに、なぜホームページを作れないのか?

僕は自分のホームページを完成させた後、興味がありそうな知人をZoomで集めて、自作ホームページの魅力について熱く語った。それを機に、定期的に連絡を取り合うことになった。情報共有したり、モチベーションをアップさせる場として、「ホームページを作る会」が発足したのだ。

しかし、最初は参加者全員が目を輝かせて作りたいと言っていたのに、実際に作った人は編集者の石川奈都子さんと料理研究家の福本陽子さんだけだった。さらに、福本さんはかつてDREAM WEAVERというソフトでホームページを作ったことがある経験者なので、本当の初心者は石川さんしかいない。

思ったよりも、みんなにとって完成までのハードルが高かったのだろうか? 恐らく、誰もがホームページを自分で作るために乗り越えなければいけない壁があるのだろう。今回は、その問題について考えてみたい。

“笛吹けど踊らず”になってしまった理由とは

なんで、みんながホームページを作る際に止まってしまうのか? 何が障壁になっているのか? 段取りを整えてみんなの士気を上げても、実際の作業がはかどらない。それが今の僕にとって、大きな課題になっている。

そんな中で、まず動き出したのが「メンズキッチン」を主宰する料理研究家の福本陽子さんだった。福本さんは、10年前にホームページを制作したが、古くなってしまったのでリニューアルを考えていた。

そこで福本さんは、今回はWordPressを使って自分自身でリニューアルした。忙しい時間の合間を縫って、完成させたホームページがこれだ。
Men's Kitchen Style(料理研究家 福本陽子さんのホームページ)

その後、会のメンバーとZoomで集まり、福本さんのサイトを鑑賞した。「素晴らしい!」「自分で作ったなんて信じられない!」と絶賛の嵐。こういう刺激を仲間からもらうことも、みんなで集まる醍醐味になっている

その後、カラーコーディネーターのゆきさん、キャリアカウンセラーの堂谷さんもドメインとサーバーをすぐに契約して着手した。次に動き出したのが、この連載を一緒に作っているフリー編集者の石川さんだ。

ブログやWEBの制作経験がほとんどない石川さんは、作り始めた頃は「できない」「難しい」という泣き言が多かった。しかし、覚悟を決めてからは結局2ヵ月くらいでホームページを完成させた。腰を上げるのは重いが、やると言ったらやる人なのだ。

ようやく重荷を下ろした石川さんは、僕が初めてフルマラソンを完走したときのように、会のメンバーにホームページを作る素晴らしさを伝えていた。きっと他の人たちだって、同じような満足感を得られるはずだから、なんとか壁を乗り越えて、後に続いてほしいのだが……。

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何がホームページ制作の壁になっているのか?

「サーバー登録」「ドメイン登録」「WordPressの登録」「サイトマップの作成」「イメージ写真の準備」……などの手順までは、ほとんどの人が進めることができている。どうやら大きな壁になっているのは、”WordPressの操作そのもの”のようだ。

WordPressは汎用性があり、複雑なサイト制作にも対応できる反面、機能が多くなり、初めて管理画面を見た人はとても複雑に感じてしまう。僕自身も、最初は全容を理解できなくてとても困った記憶がある。

まずWordPressの管理画面を開くと、感覚的にどこをクリックしていいか悩む。クリックした先も、今までに見たことがないページばかりでやる気がどんどん削がれていく。

そもそもホームページ初心者は、どこから手をつければいいかわからない。そこで、多くの人は困り果ててWordPressの操作を解説したマニュアル本を買う。しかし、さらに混乱したりする。

その理由は、WEBに詳しくないのにWordPressの機能をすべて理解しようとするからだ。しっかり把握しようとすると、解説は専門的で複雑になっていく。かくいう僕自身も、おそらく全機能の3%ぐらいしか使っていない。

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最初から完全なホームページを目指さない

初心者が途中で立ち止まってしまうもうひとつの理由は、「完全な(完璧な)ホームページを作ろうとするから」だ。

例えば、パソコンを初めて買った知人に、最初からIllustratorやPhotoshopなど難易度の高いソフトを薦めることはしないはずだ。「まずGoogleで何か検索してみたら」とか「Wordで文章を書いてみたら」など、相手の身の丈にあった使い方を提案すると思う。

そして、仕事で日常的にパソコンを使っている僕ら自身も使っている機能はごく一部だ。こういった「目的や身の丈にあった使い方でOK」という姿勢でWordPressをいじると、少し気が楽になる。

それでも、僕自身はWordPressをいまでも完全には理解していない。
ただ、不思議と最初に感じていたWordPressを開く怖さはなくなった。

それは単純に”慣れ”である。自分が必要なところだけを覚えればいいと割り切り、開いたり使ったりすること自体に慣れるのが先決なのだ。

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ホームページの極意はランニングと同じだった!

それと、初心者がホームページを途中で断念する理由のひとつとして最も大きいのが、「数日間だけ集中して終わらせてやろう!」とむりやり短期決戦に持ち込もうとすることだ。

僕は、PRの仕事で一番重要だと考えているのが“継続は力なり”ということだ。今日は100件のメディアにアプローチしても、明日が5件では続かない。毎日10件でいいから、それをやり続けることでしか結果が出ることはない。これは、ランニングの練習でも同じだ。

ランニングを始めた頃、なかなか練習を継続できなくて困っていたら、プロのランニングコーチの金哲彦先生からランニングを習慣化させるためのコツを教えてもらったことがある。

それは、練習を”距離”ではなく”時間”で区切るということ。まずは「毎日60分間、運動する習慣を身につけること」がランニングを習得する最初のステップだというのだ。練習のメニューは、その後に考えればよいという。

まず朝起きたら、ランニングウェアに着替えてランニングシューズを履く。少し準備運動をしたらウォーキング。着替えてから、家に戻るまで約60分。これをひたすら繰り返していく。

慣れてきたら、ウォーキングの中に5分だけランニングを入れてみる。60分間という長さ自体は変えずに、ランニングする時間を5分、10分、15分と増やしていけば、やがて60分間のランニングができるようになる。
習慣化したら、後はこの内容の濃さを変えていくだけ。

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僕はこのアドバイスのおかげで、練習時間をほとんど増やさず、フルマラソンの自己タイムを6時間からベストタイム3時間20分に縮めることができた。

ホームページにも、同じことが言える。1日何時間もホームページの管理画面とにらめっこするよりも、毎朝起きてから1時間、もしくは帰宅してからの1時間、ふだんならテレビを見たり少しダラダラするところをホームページの制作時間に当てる。

僕は3日間でホームページを作ったと書いたが、やはり公開当初は中身がスカスカだった。だから、毎朝1時間と時間を決めて、少しずつ改良したり内容を更新していき、今のホームページを完成させた。

最近は、Googleアナリティクスを使ってホームページの解析もしている。といっても、「昨日何人来た」「どれぐらいの時間で離脱したか」などを見るくらいだが。ただ、それだけでも日々ホームページを更新する側にとっては、すごく励みになる。

ホームページは作って終わりではなく、実は継続して育てていくほうがずっと意味があるし、大事だと最近は特に実感している。

この「1日1時間の習慣化」を、ホームページ制作の成功法則のひとつとして、ホームページ作成の会のメンバーにも伝えたいと思っている。

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