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授業中ウロウロするのを注意される、特性なのに!という親御さんがいた という話に対して書かれた返信に対してのアンサーをまとめてみた話と なぜウロウロしてしまうのかという話

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「授業中ウロウロするのを注意される、特性なのに!」という親御さんがいた

という呟きに対しての返信があまりに不見識だったのでQ&A形式でまとめました

最近、自分の不見識を棚にあげて、お子さんや保護者に責任を押し付ける教員や教育に関わる人間があまりに多いと感じています

今回はQ&Aの後に、「なんでウロウロしてしまうのか」も合わせてまとめたいと思います

人に改善を求める前に、自分自身が学び、改善を図ってください


Q&A

Q:ウロウロする人が気になってしまうお子さんもいるでしょう?

A:だからこのウロウロするお子さんの支援をあきらめる根拠にはなり得ません。思考ベースが排除になっていませんか?

Q:今の教員は、特性や障害の本をたくさん読んでいると思うけどな

A:そんなに本を読んでいるのに、愚痴しか出てこないならそれは読んでないと同義です

Q:精神科医やカウンセラーでも、様々な特性を持った35人の子どもを前にすれば対応できないと思われる。特別支援学校みたいに少人数ならどうにかなるかもしれないけど

A:そもそも、特性や障害に対して理解や知識がある人は35人のお子さんをまとめてみよう という判断はしません。そこから支援です。だから特別支援学校はそういう環境調整をしています
なぜ、取り入れないのですか?

Q:加配なんか申請してもそんなに簡単に来ないよ。予算がないんだ。限られた予算の中で特別教育を行うために、特別支援学校があるんだ

A:加配の先生が簡単に来ない事と、支援をあきらめることは別の問題です。特別支援教育はそのお子さんの特性、障害、成長段階に合った支援を行う場です。予算が限られてるのはどこも一緒です

Q:スクールソーシャルワーカーもアドバイスをくれるだけで、やるのは担任

A:やってどうだったかを書いた方がいいです。アドバイスくれるSSWは貴重ですし、役割を果たしています

Q:気になる子は前に座らせたらいい、なんてそんなことやったら「俺を特別扱いするな!」となって無理。ウロウロを許すという特別扱いを要求しながら、自分の望まない特別扱いは許さない。二枚舌の特性持ち児童生徒っている。これってわがまま特性と言ってもいい。こんなの許してたらすぐに学級崩壊

A:お子さんの特性以外にも把握しなければならないことはたくさんあります。お子さんを取り巻く環境、お子さん自身の能力、性格、その中で「特別扱いするな」と話にならないのであれば、信頼関係が構築出来ていないということです。支援の本をめちゃくちゃ読んでいる方は「わがまま特性」なんて言葉使いません。あなたは本を読んでいないのですね

Q:特性があるからって、何でも許されると思ったら大間違いだと私は思う

A:私もそう思います。なので、どのような形でお子さんが学べる環境を整えていくのかを議論しましょう。親御さんへの愚痴や、お子さんの特性への愚痴を漏らしている場合ではありません

Q:最近は何でもかんでもマイノリティーに配慮しすぎているが、譲れないものはある

A:マイノリティが悪いのではなく、マイノリティへの配慮の加減が分かっていない人が必要以上に見当違いの方向に配慮を叫んでいるからそう見えるのだと思っています

Q:特性だからと許される世界だけではない。特に同調圧力や集団性の強い日本では特に。認められるべき、理解されるべき個性もある。ただしそれは、周囲の人間の活動を阻害しないことが前提として成り立つ

A:特性や性格、障害、様々な要素のあるお子さんを30人以上まとめた環境を作った大人が「特性だから許される世界だけではない」という資格があるのか という疑問が残ります。その子さんが周囲の人間を「邪魔したい」と思ってるわけではないでしょう?教育環境の整備は大人の責任です

Q:教師と保護者が手を取り合い手立てを考える必要があるのだ。一方的な押しつけは無意味

A:それはほんとうにそう

Q:特性という耳障りのいい言葉で言い換えられていますが、簡単に言えば障害です。研修で「言っても変えられないのが障害」と言われたことがありました。自閉の子に「人と仲良く」と言っても絶対に無理です

A:偏見にまみれた研修に行ってしまわれたのはお気の毒ですが、障害への知識に偏見があります。とりあえずもう一回学び直してください

Q:だから、担任一人に任せず学校としてチームで対応が必要ですよね。でも、人いない

A:その通り

Q:特性?だったら、その特性とやらに合った学級に通わせろよ(笑)通常学級はそんなの「想定外」なんだよ

A:何年その主張をしていますか?という話です。「特性に合った学級に通わせたい」はご家族も願っていますが、その学級を早くもっと作ってつくれよ、勉強しろよ(笑)という話です

Q:特性だろうが、障害だろうが、他者の学習権を侵害する行為は認められませんね

A:認められません。そしてそれはお子さんに罪はなく、そういった環境を作っている、押し込めている大人にこそ罪があります

Q:特性であることもあるでしょう。それは精神論とかでもなくあるものと認められるているのでしょう。ただし少なくとも今の公立の普通の小学校ではそれだと授業をちゃんと受けられない。その特性があっても教育受けられるところに行かせる責任あるのは親でしょう

A:親御さんの責任もありますが、公教育の責任ももちろんあります。お子さんに関わる全ての大人に責任があります

Q:ウロウロが注意を受ける事だと知らないまま卒業すると困った事態になりませんか

Q:煩いのや落ち着きない人がいると集中できない、イライラしてくる人もいるのに、その人の特性はどう尊重はされるんですかね。「静かに座って人の話を聞く」のがその場の基本的姿なんだからそれができないなら注Q意を受けるのはおかしいことじゃないです

Q:悪い事を注意するのは当たり前なのにな。てかいまだにそんな学級あるの?自分は学級崩壊に巻き込まれた地獄を見た。それがまだにトラウマなんだが。外部の親御どうこうじゃないレベル。親単体でも無理なのに知能付いてきた子どもに加え障害者も見るとか無理だろ普通に
昔は普通にみんな困ってただけ

A;そのウロウロが何が原因で起こってるのかを正しく理解していないと対応を誤ってしまうのです。注意だけで何とかなる話ではありませんし、環境調整が必要なケースが非常に多いです。そしてその環境にお子さんを押し込んでいる大人がまるで被害者のように愚痴を垂れるのはおかしいことじゃないですか?

Q:他人の権利を侵害する特性を認め出したら、生徒・児童に厳しい特性の先生も認めてねっと思う。なんなら保護者は取り合わない特性も兼ね備えてたりとかね

A:自分の特性を制御できていないのであれば、先生として教壇に立つべきではありません。特性を自分の都合の良いように解釈しないでいただきたい。自分の特性や感覚や倫理をコントロールできるから我々は「大人」で「教育」や「支援」ができるのではないでしょうか?

Q:多様性がなんでも許されると思うなよ、ですよね

A:その通りです。しっかり根拠のある教育、支援がなされていれば、そんな言葉は出ないのでしっかり勉強しましょう

Q:私も小学生の時これやったから立ち歩く人が嫌やった。そっちが気になって、先生の話聞きそびれるとかめっちゃあったなぁ

A:教育環境を整えないと、そのお子さんにヘイトが向きがちですが、実際にヘイトを向けられるべきは、環境調整を怠った大人です

Q:特性だからなんだと。別教室で授業受けちゃダメなのかなぁ……

A:特性だから、こういった特性にはこういった学習方法、感覚の取り入れ方、こういう受け取りがあることを理解するのです。その結果、「安心できる環境を提供する支援を行う」で別教室になるのであればなんの問題もありません

Q:こういう親は万引きしても他の子を怪我させても特性なんだから仕方ない。被害者の配慮が足りなかったんでしょ。と唾吐き飛ばして言いそう

A:ケアマネが何の根拠もないことを言わないでください。福祉の業界からでてってください

Q:我慢やルールも覚えてもらわないと

A:その言葉出る時点で勉強不足です


上記のようなコメントの中に「ウロウロするお子さんがなんでそうなっているのか」が議論され、そこから支援へつなげる道筋を示すものは何一つありませんでした

子どもと保護者が悪者になるタイミングで関わりが途絶えているのではないでしょうか

最近のSNSで見かけるこういった愚痴には「中身」がないのです

ここからはその「中身」の話をしていきます 

なぜお子さんがなぜウロウロするのか 


福祉の領域から以下に記述します

まず前提として

支援の始まりはお子さんの情報集め、分析から行います。福祉分野では「インテーク」と総称されるものですが、はじめて会うお子さん、被支援者さんが

どのような状態で

どのような生育歴を重ねてきたか

どのような困り感があるか

どのようになりたいか

等を「支援を行う前」に把握しておく必要があります。そうでないと

「一人よがりの、検討違いの支援・関わり」

になってしまいます

お子さんの状態を把握していないで口々に自分の意見を言う様子

「一人よがりの、検討違いの支援・関わり」は今回のポスト群に酷似しているのです

まず、「特別支援学校、支援学級に行くべき」という前に、支援の流れ、心構えとして落第点であるということは理解していただきたい

話はそれましたが、「お子さんが授業中に教室をウロウロする」という行動を分析するには、発達支援、感覚統合などの知識が必要になります

以下にどのようにお子さんの行動を捉えるのか を記述していきます


●感覚統合の視点から見る

感覚統合が何かはこちらからご覧ください

・前庭覚からの視点

療育、子育ての中で「感覚統合の視点」があります。その一つの「前庭覚」

前庭感覚は三半規管が司る感覚です。主な役割は

・「揺れる」、「傾く」、「回転」、「速さ」を感じとる

・視覚から回転の刺激を入れる。眼球運動のコントロールをしている

・揺れで、興奮や、リラックスなどの情緒のコントロールをしている

・身体の姿勢のバランスを保ち、「傾き」を調整している

等です

前庭覚の刺激が入力されにくいお子さんがいます

そういったお子さんは強い感覚でないと身体が受信できないため、長時間、強刺激を入れ、異様にみえることがあります

・長時間回転運動をしているのに目が回らない

・目が回らない

・落ち着きがない

・長時間椅子に座れない

・様々なものに注意がそれ、動き回ってしまう

・夜遅くまで起きてしまう

・回っているもの(扇風機、室外機、車のタイヤ等)に強い興味をもつ

・ブランコ、滑り台などの遊具を何度も行う

そういった行動が日常でみられることが多いです

・固有覚からの視点

「固有覚」とは「筋肉の収縮、力加減の調節を行う」感覚のことです

この感覚が過敏、鈍麻であると、様々な行動が起こり、日常生活で問題が発生します

固有覚が育っていないと

固有覚が育っていないと以下のことが起こったりします

・力加減ができず、相手を強く押す、叩く、引っ張る

・高い所からジャンプする遊びを頻繁に行う

・ハサミや箸などの細やかな動作が苦手

・物を勢いよく投げしてしまう

・見えないところところを操作する(ボタンを閉める、開ける等)

・クレヨンなどをすぐに折ってしまう

・投げられたボールを上手くキャッチできない

・消しゴムで紙を破いてしまう

等など

落ち着きがないように見えたり、暴力的、物の扱いが乱暴にみえたりするときには、情緒の問題の他に「固有覚」の育ちも注目してみる必要があります

上記の感覚統合の不全から

授業中に視界に入ったものに気を取られてしまったり、

感覚入力を行わないとむずむずする感覚に襲われつい動いてしまったり、跳ねてしまったり

力強く動かないと自分の身体感覚を感じることができないので大きく動いてみたり

そういったことも想定されます

これらは「感覚が育っていない」ために起こっていることで、「本人の意図しないこと形で失敗経験を重ねている」ことが大変多いです

このほかにも視覚の過敏さ、聴覚の過敏さなど、様々な感覚における問題がお子さんのウロウロを引き起こしている可能性も考えられます


●発達支援の視点からみる


お子さんの「特性」や「障害」から行動を分析することもできます

今福祉で「特性」や「発達特性」という言葉がよく使われるようになったのはほんの数年前からです

自閉症という言葉が「自閉症スペクトラム」と呼ばれるようになり、「我々全ての人類が発達の中のグラデーションの中にいる」

という前提からこの言葉が使われ始めたという認識を持っています

なので、大なり、小なり、皆さんはADHD特性やASD特性などの特性を持っている という話なのです

その特性により、自分の自己実現や生活に支障をきたしてしまうものを「発達障害」と分類したりするのです

基本的には「脳機能の一部が通常とは異なる動きをしていることで引き起こされる」というのが定説とされています

「授業中にウロウロする」といった行動をとるお子さんはこの「特性」に振り回されているケースが多く、そこをます見極める必要があります

代表的なのはADHD、ASDという言葉はよくききますよね

・ADHDとは

ADHD(注意欠陥多動性障害)(注意欠如多動症)は注意力の弱さ、落ち着きのなさが行動として現れる障害です

本人の意思と関係なく行動してしまうなど、自己制御が難しいのも本人の大きな困り感の一つです

日常でどのような行動が現れるかというと

・会話が止められない、一方的に話してしまう

・ルールを忘れてしまう

・順番を守れずに横入りしてしまう

・授業中、集まりの際に立ち歩いてしまう

・遊んだ玩具などを片づけるのが難しい

・相手が遊んでいた玩具を取ってしまう

等といったことが挙げられます

・ASDとは

ASD(自閉症スペクトラム)は自閉症、高機能自閉症、アスペルガー症候群などを一つの障害とした総称です

他者とのコミュニケーションなどのつまずきや、突然の変更への苦手さ、こだわりの強さからくる行動のルーティン化等からくる
本人の困り感がみられます

知的障害と併存していることも多くあります

日常でどのような行動が現れるかというと

・集団生活の中で一人で遊ぶことが多い

・大人からの質問や呼びかけに反応しない

・会話の中で人を不快にさせるような言葉が分からず言ってトラブルになってしまう

・日常の突然の変更に対して強い拒否があり、激しく泣いたり、暴れたりする

・自分が何を言われているのか、状況理解が難しく歩き回ってします

等といったことが挙げられます

発達障害や特性の強いお子さんは感覚統合不全も併存していることが多く、感覚過敏、鈍麻さ、協調運動の苦手さなども行動に反映されることもあります

このほかにも

LD(学習障害)

DCD(発達性協調運動障害)

といった障害も併存してることがあります



「ここまで知識として持っていること」が前提で次に支援の実践を行っていきます

逆を言うと、ここまでを知らないと具体的な方策が何一つ立てられません

一方的にお子さんの表面だけをみて

「このウロウロするのをやめさせるにはどうすればいいですか」

「授業妨害やめてほしい」

といった的外れな質問、主張につながるのです

すこし弁が立つ人が、「ウロウロする特性の子がいれば。ウロウロが気になる特性の子もいますね」みたいなことも言いますが

それで終わりです

なぜならそこから具体的な対応や試行錯誤を重ねるには「知識」「技術」「経験」が必要だからです

中途半端な知識で皮肉を言うと、自分の愚かしさが跳ね返ってくるいい例です

その後は「自分は正しいのに」と批判をした人間がおかしいとグチグチと呟くのが関の山でしょう

おこさんへの対応に即効性のある、すぐに効果のある関わりや声掛けなどは存在しませんし、あるのは


「やる」か「やらないか」

だけです

近いうちには 「授業中にウロウロしてしまうお子さんの特性へどんな対応が求められるかを具体的に書いていく話」 を投稿します


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