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うまいこと他人には言えないような心の機微を一つひとつ摘み取って並べてできたもの。
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#記憶

詩「砂糖菓子の祈り」

詩「砂糖菓子の祈り」

わたしのこころは
どうして砂糖菓子のように
もろく 甘く 繊細なのだろう

ほんのすこし 
風に吹かれただけで
ほろほろと崩れてしまう

一滴にうたれれば
穴があき 音もなく
溶けて消えていってしまう

神さまはどうして
わたしをこんなふうに
おつくりになったのだろう

わたしはどこを向いていればいいのだろう

愛がこわい
愛する者を手放す恐怖に
夜もねむれず おびえている

不確かな未来に
悪し

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詩「陽だまりの記憶」

詩「陽だまりの記憶」

その毛糸の編み物には
黄色を選んだ瞳と紡いだ手とがあった
知らず知らずの内に包まれていた
陽だまりの様な眼差しに

泣いて泣いた試合の帰り
ベンチで待っていてくれたあの人
ホッとしたら
お腹が空いていたことに気付いた

沈む夕日にあんなに心がふるえたのは
隣にいたのが君だったから
宵闇に紛れて
繋いだ手を引き寄せたかった

てがみ テガミ 
いろんな手紙があったけど
あの時 あの字で綴られた 

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