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くるまを水害から守る

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「くるまを水害から守る」をテーマにしたコラムをまとめています。
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#くるまを水害から守る

「くるま」を高台に避難させる場合の注意点

「くるま」を高台に避難させる場合の注意点

前回はくるまの水没を防ぐための方法についてまとめましたが、今回は「くるま」を高台に避難させる場合の注意点について考えてみます。

くるまを高台に避難させる場合には、以下の点に注意する必要があります。特に避難させる高台の選定は十分に検討する必要があります。

適切な高台を選ぶ

高台の選定には、地図を確認し、洪水や津波などのリスクが低い場所を選ぶことが重要です。また道路の状態も確認し、適切なアクセス

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「くるま」の水没を防ぐための方法について

「くるま」の水没を防ぐための方法について

前回まではV2H についてまとめましたが、今回はくるまの水没を防ぐための方法について考えてみたいと思います。以下に3つの方法を列挙しました。いずれの対策も安全を確保するため、豪雨や台風などの接近前の段階で行っておくことが必要です。

冠水リスクの少ない駐車場を選ぶ

駐車場を選ぶ場合は、ハザードマップを確認するなどしてできるだけ冠水リスクの少ないエリアにある駐車場を選ぶようにしましょう。立体駐車場

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V2H(Vehicle-to-Home)について

V2H(Vehicle-to-Home)について

前回はEV車を水害から守ることの大切さについてまとめました。今回は「V2H」について考えてみたいと思います。

V2Hとその特長

V2H(Vehicle-to-Home)とは、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)などの電気自動車と家庭用電源との間で双方向の電力供給ができる仕組みのことです。V2Hの最大の利点は、災害時における非常用電源としてEVを利用できることです。例えば停電

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EVを水害から守ることの大切さ

EVを水害から守ることの大切さ

前回は公用車と避難指示についてまとめました。今回はEV(電気自動車)を水害から守ることの大切さについて考えてみたいと思います。

「くるまを水害から守る」プロジェクトのテーマの1つとしてEVを水没から守ることがあります。そこで水害復旧段階でのEVの活用方法についてまとめてみました。

・避難支援のための移動手段として活用する

水害で被災した地域では、道路や橋梁などの交通インフラが損壊することがあ

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公用車と避難指示

公用車と避難指示

前回は国や地方自治体が備えるセーフティネットについてまとめましたが、今回は自治体の公用車と避難指示について考えてみます。

国や地方自治体など公的機関で保有する「公用車」は、水害被害を防ぐためにもさまざまな目的で使用されています。下記にその事例をまとめました。

公用車の活用事例

・避難誘導や避難所への移動支援
・河川やダムなどの水位監視
・水防用具や発電機などの物資を運搬
・地域住民の安否確

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国や地方自治体が備えるセーフティネット

国や地方自治体が備えるセーフティネット

前回までに、救急車が備える水害対策についてまとめてきましたが、今回は国や地方自治体が備えるセーフティネットについて説明をしていきます。

1、災害時医療拠点の設置:

国や自治体は、災害時に備えて医療拠点を設置しています。これらの拠点では、緊急時には手術や治療が行えるような設備を整え、医療従事者を派遣することが可能です。例えば東日本大震災では、被災地に医療チームを派遣することが困難だったため、自衛

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救急車が備える水害対策

救急車が備える水害対策

前回は水害被害による医療機関への影響についてまとめました。今回は救急車が担う役割と備える水害対策について考えてみます。

救急車は、緊急時に患者を迅速かつ安全に医療施設に輸送するための専用車両で主に次のような機能があります

(救急車が担う役割・機能)

・緊急医療サービスの提供:救急医療チームによる緊急医療サービスを提供するための移動手段としての役割があり、急病や怪我、災害などの緊急事態に備え、

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水害被害と医療機関への影響を考える

水害被害と医療機関への影響を考える

前回は交通インフラの水害被害により打撃をうける業界についてまとめましたが、今回は水害被害による医療機関への影響について考えてみます。

高齢者や車椅子での生活をされている場合などくるまを使って通院されている方々は、交通インフラが水害被害をうけると道路の冠水などで自力での通院が難しくなくなるだけでなく救急車が向かえなくなる場合も想定されます。またゲリラ豪雨などインフラの排水能力を超えた水害などでは消

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交通インフラの水害被害により打撃をうける業界

交通インフラの水害被害により打撃をうける業界

前回は水害による交通インフラの機能不全にどう備えるかについてまとめました。今回は交通インフラの水害被害により打撃をうける業界について考えていきます。

私たち生活者への影響は大きい

水害被害によりさまざまな業界に影響が及ぶと、結果的に私たち生活者へも影響が及ぶことになります。被害をうけると言われている主な業界についてまとめましたが、影響は多岐にわたることが予想されることから、私たち生活者が自分自

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水害による交通インフラの機能不全に備える(「くるま」や自転車を水害後も使えるようにしておく)

水害による交通インフラの機能不全に備える(「くるま」や自転車を水害後も使えるようにしておく)

前回は水害時に「くるま」で避難することの危険性についてご紹介いたしました。今回は水害による交通インフラの機能不全にどう備えるかについて考えてみたいと思います。

水害による交通インフラの機能不全

水害など自然災害の被災地では、当然交通インフラにも水害の影響が及ぶことからさまざまな問題が発生します。例えば道路の冠水により車両が通行できなくなる、橋が流される、電柱が倒れ交通信号機が機能しなくなるなど

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水害時「くるま」で避難する危険性について考える

水害時「くるま」で避難する危険性について考える

前回は豪雨災害での「内水氾濫」による「くるま」への具体的な影響と避難渋滞の危険性についてご紹介しました。今回は水害時に「くるま」で避難する危険性について考えてみたいと思います。

水害時に「くるま」で避難する危険性

水害時にくるまで避難することは、決して珍しいことではありません。家族全員が一度に避難することの利便性や荷物を積んで目的地まで最短距離で移動できる機動性を考えると選択肢の一つでもあるよ

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水の侵入によって発生する「くるま」の水害被害

水の侵入によって発生する「くるま」の水害被害

前回は豪雨水害に伴い「内水氾濫」が発生した2つの事例で「くるま」にも影響を与えた事例をご紹介いたしました。今回は「くるま」への具体的な影響について考えていきたいと思います。

くるまが冠水することで発生する水害被害

内水氾濫などである一定の水位まで冠水すると、くるまは水没してしまいます。一般的には水位が50センチメートル以上になると動かなくなることが多いといわれています。まずエンジンや電気系統に

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豪雨水害でも備えがあれば防げることがある(内水氾濫のケース)

豪雨水害でも備えがあれば防げることがある(内水氾濫のケース)

前回まで全5回にわたって自然災害件数と世界や日本で影響の大きかった水害事例についてご紹介してきました。今回は豪雨水害に伴い「内水氾濫」が発生した2つの事例をあげ、「くるま」への影響について考えていきたいと思います。

内水氾濫とは、河川や湖沼などの「内水」が氾濫し周辺地域が水没する現象で、主に排水機能が低下しているために起こる被害です。排水機能が低下する原因は土地利用の変化や建築物の増加による水の

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日本での豪雨水害事例(その2)

日本での豪雨水害事例(その2)

前回に続いて、3つめの事例をご紹介いたします。

事例3:2021年7月西日本豪雨

2021年7月の西日本を中心とした豪雨により、広島、愛媛、香川、岡山、福岡、佐賀、長崎などの地域で甚大な被害が発生しました。福岡県では道路が冠水し車両が立ち往生するなどの被害が発生し約1,000台の車両が水没したといわれています。被害面積は広範囲にわたり広島県と岡山県を中心に約1万ヘクタール以上が水没、多数の住宅

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