甘きゼリー (あまきぜりー)

2023年6月、初めて自分が書いた小説をインターネットで公開します…… 恥ずかしい………

甘きゼリー (あまきぜりー)

2023年6月、初めて自分が書いた小説をインターネットで公開します…… 恥ずかしい…… でも読まれたい……!?  若輩者ですが、よろしくお願いします。

最近の記事

【短編小説】憧れの姉

 今日から五月の連休に入というのに、目覚まし時計に叩き起こされた訳でもないのに、いつもと変わらない時間に目が覚めてしまった。  両親はすでに朝食を済ませたようで、テーブルについたままお茶を飲みながら、父は新聞を開き、母はテレビを眺めていた。 「お姉ちゃん、連休中は帰ってこないって。仕事が忙しいみたいで」  俺が尋ねもしないのに、母が言った。  姉は東京の大学に進学し、その地で出版社に就職した。グルメ雑誌の編集の仕事をしたいと言っていたが、実際なにをしているのか俺は知らないし、

    • 【短編小説】父の歩む先

       俺がこの高校を卒業して二十年以上経つが、あの頃とあまり変わった様子はない。三月に入ったといっても、午前中の体育館はやはり寒さに身か縮む。保護者用に並べられたパイプ椅子に座ると、尻の熱が奪われていくようだ。娘の卒業式に一緒に出席するはずだった妻は、風邪をひいて寝込んでいる。熱があるのに出席したいと言うのを宥めて俺だけ来たが、それが正解だった。  こんな話をしたら、年寄り臭いと娘に笑われてしまうかもしれない。その娘も、四月からは隣県の大学に進学して我が家を出ていく。俺に似合わず

      • 皆様、良いお年をお迎えください。

        noteを始めて、訳が判らないうちに半年くらいが過ぎてしまいました。 読んで下さった皆様、ありがとうございます。 ちょっと早いですが、よいお年をお迎えください。

        • 【日記…(?)】続・ドライブレコーダーを取り付ける★彡

          先月、ドライブレコーダーを自分の車に取り付けてみたのですが、microSDカードが認識されず、録画できずにいました。 ということで、楽天市場で新たにMicroSDカードを購入。 認識されなかった580円のものより高い、日本国内1年保証付きの 980円のコレ! ところが、ある日、気付きました。 新しいMicroSDカードが届くまで、認識されなかったカードを入れっぱなしにしていたのですが、ふと見ると、画面の右上に赤い録画マークが……。 どうも、何かの拍子で認識され、録画が

        【短編小説】憧れの姉

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          紅葉、終わってた……(´;ω;`)

          ドライブレコーダーを取り付けたので、紅葉の風景を撮影しようと出かけたのですが、見頃が過ぎていました……(´;ω;`)ウッ…

          紅葉、終わってた……(´;ω;`)

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          【日記…(?)】ドライブレコーダーを取り付ける☆彡

          今まで何度か小説を投稿してきましたが、今回は日記みたいなものを1つ。 今年に入って、ドライブレコーダーを取り付けようと思いながら、7月頃までずっと忙しく、それが過ぎたら バカみたいに暑い夏がやってきて、とても車内で細々した作業をする気にはなれなかった。 10月に入って、朝晩は少し寒く感じるくらいになって、そう言えば、ドライブレコーダーを取り付けようと思っていたのだった、とすっかりそれを忘れていたのことに気付いた。 ということで  ドライブレコーダーを取り付けることにした

          【日記…(?)】ドライブレコーダーを取り付ける☆彡

          【短編小説】過去から来た共犯者

           中学校を卒業して以来、五年ごとに同窓会を開いている。今年で四回目。県外など遠方に住む者も帰省していて出席しやすいだろうという配慮から、お盆休みに開かれてきた。  三十代になると、会社で重要な仕事を任されたり、子供のことで手間が増えたり、何かと忙しくなる。それもあって、回を重ねるごとに、同窓会の幹事を引き受けてくれる者がいなくなる。おまけに、今回は幹事の一人である安西に急な仕事が入ったせいで手が足りず、会場の予約が遅れてしまった。 「今年の新人のクレーム対応がマズくてさ。代わ

          【短編小説】過去から来た共犯者

          【短編小説】インドへ行こう!

           私が田村菜美子と最初に出会ったのは、高校二年の一学期の終業式の日だった。私は日直で、放課後、学級日誌を提出するために職員室に入ろうとすると、田村菜美子と彼女の父親が、担任教師とともに出てくるところだった。  ごくろうさん、と学級日誌を受け取った担任教師は、田村菜美子を転校生だと紹介した。父親の仕事の都合で、東京から引っ越してきたのだという。シワひとつない白い夏用の制服に、長い黒髪が印象的だった。女子はみんな同じ格好をしているのに、不思議と彼女だけが上品に見えた。生粋の田舎者

          【短編小説】インドへ行こう!

          【短編小説】横断歩道の向こう側へ

           日曜の朝、いつもより少し遅い時間に起きてダイニングに入ると、母がテーブルの上に置かれた折り込みチラシを眺めていた。 「あら純一、おはよう。すぐに食べる?」  俺が頷くと、母は食事の用意を始めた。俺はテーブルにつき、母が眺めていたチラシを見た。鮮やかなお節料理の写真が載っていた。  年が明けたら、俺は二十九歳になる。いい加減、気持ちの整理をしないと……。 「父さんは?」 「まだ寝てるわ。昨日、自治会の忘年会だったから」  今年のはじめ、自治会長を務めることになった、と憂鬱な顔

          【短編小説】横断歩道の向こう側へ

          誕生!? 金沢県 【エピローグ】

           姉の真利子が指名手配されたと知ってから、妹の惠利子はずっと気持ちを整理しようと努めてきた。修平さんを頼みます、そう真利子から電話で告げられてから、惠利子は覚悟をしていた。そして、真利子が拳銃自殺したというニュースを聞いて、惠利子は納得した。  約束した通り、夫の修平は帰ってきてくれた。  予想した通り、夫の修平は憔悴しきっていた。 「すまない、真利ちゃんを守れなかった」 「真利ちゃんを救えなかった、許してくれ」  夫は泣きながら、額を床にこすり続けていた。涙と鼻水で酷い顔を

          誕生!? 金沢県 【エピローグ】

          誕生!? 金沢県 【第五章】

           航空自衛隊小松基地に着いたハセガワは、基地司令の執務室に通された。防衛大臣に頼んだ通り、そこには小松市長もいた。ハセガワは挨拶もそこそこに、基地司令と小松市長にこう願い出た。 「これからここで起こることには、目をつぶって頂きたい」  案の定、二人は当惑した表情を浮かべた。ハセガワはまず、小松市長のほうを向いて口を開いた。 「まず、小松市が金沢県に入ることを承諾して下さい。そして、それを本日午後八時に発表して欲しいのです」  小松市長は眉をしかめた。地元での小松市の存在感は、

          誕生!? 金沢県 【第五章】

          誕生!? 金沢県 【第四章】

           金沢のホテルに一泊した木村リョータは、翌日の朝、ホテルのラウンジで車のキーをハセガワから受け取った。これで少しは退屈せずに済む。 「日本は、車は左側通行だ。忘れるな」 「判ってる、心配しなくていい。事故を起こすようなヘマはしない」 「どこに行くつもりなんだ?」  名古屋だよ。リョータの答えに、ハセガワは薄い笑いを浮かべた。 「あまり目立つことはするな。それはお前の義務でもあるんだから」  ハセガワに言われて不貞腐れたリョータは、判ってる、とだけ答えて話を変えた。 「ここはチ

          誕生!? 金沢県 【第四章】

          誕生!? 金沢県 【第三章】

           二月二十三日、今年の天皇誕生日は天気も良く、行楽にはもってこいの祝日になった。皇居での一般参賀と受験シーズンが重なって、人がいない所を見付けるのが無理なほど、東京都内はごった返している。  首都高速一号線も、車が数珠つなぎでゆっくり流れていた。渋滞していてもまったく動かないよりはマシだろう、と多くのドライバーは急く気持ちを静めていたが、それは裏を返せばストレスを感じるには充分な状況だということでもある。  だから、ジャンクションから割り込んできた官房長官を乗せた黒塗りの車列

          誕生!? 金沢県 【第三章】

          誕生!? 金沢県 【第二章】

           石川県と岐阜県との境にそびえる白山。そこを水源とする手取川が、山間部から平野へ流れ出るあたりに、鶴来(つるぎ)町(まち)はあった。2005年に近隣の市や町、村と合併して、現在は白山市内にその町名の名残を留めている。  二月に入って、すっかり正月気分が抜けた街が、今度はバレンタインでいくらか華やかさを取り戻している。午後六時過ぎ、薄闇と冷気があたりを覆う中、前田真利子は、かつて鶴来町にあった公立病院近くのアパートの一室に向かっていた。  インターホンを押すと、すぐにドアが開い

          誕生!? 金沢県 【第二章】

          誕生!? 金沢県 【第一章】

           一月二十六日、土曜日。  佐々木修平は、石川県高等学校新人バスケットボール選手権大会が行われている輪島市立体育館に来ていた。さっきからずっと、目の前で行われている試合を見るとはなしに見ていた。まとまりに欠けるチームが目に付くのは、主力の三年生が二学期で引退したからだろう。一年生と二年生で行われる新人戦は、チームの選手層の差がはっきり出てしまう。 「悪いな、手伝いに来てもらって。顧問の先生が風邪をひいて、他に引率を頼める人もいないからさぁ」  金沢東部高校の男子バスケットボー

          誕生!? 金沢県 【第一章】

          誕生!? 金沢県 【プロローグ】

           皇居外苑を眺めていると、真利子はいつも金沢を思い出す。  高い建物に囲また市街地にありながら、空が開けていて窮屈さを感じることもなく、緑も多く広々しているのに、どこか厳かな雰囲気を湛えている。それが兼六園の印象と重なるのは、歴史的な建築物の存在もあるのかもしれない。  出張で東京に来るたびに、金沢市長・前田真利子はそう思う。  市長としての用事を済ませた後は、霞が関の喧噪を祓い清めるように皇居外苑を歩き、東京商工会議所ビルにある喫茶店でコーヒーを飲む。今日もそうだった。師走

          誕生!? 金沢県 【プロローグ】