堀江明|一般社団法人リタワークス

現役公務員+中小企業診断士。2009年から市役所や県庁で勤務。2022年に一般社団法人…

堀江明|一般社団法人リタワークス

現役公務員+中小企業診断士。2009年から市役所や県庁で勤務。2022年に一般社団法人リタワークスを設立。報酬を寄付する働き方を「リタワーク」と称し、中小企業向けの経営コンサルティングを行う。得意分野は人材確保・マーケティング・DXなど。

最近の記事

\副業は人材流出リスクを高めるか⑨/

今回は、これまでの議論を総括し、企業が取るべき対応について考えたいと思います。 本稿では、はじめに「副業が広がったきっかけ」を理解するため、近年の国の動きを見ていきました。 平成28年の「働き方改革実現会議」において、副業に関する様々な議論がなされました。 そこでは副業のメリットとして、新たな技術の開発、オープンイノベーションや起業の手段、そして第2の人生の準備などに繋がることが挙げられています。 そのため、長時間労働を招かないよう配慮しつつ、ガイドラインの制定など実効性の

    • \副業は人材流出リスクを高めるか⑧/

      前回、副業に対する企業の懸念と実際に起きたデメリットを比較したところ、人材流出については、企業が想像しているよりもリスクが高いことが示唆されました。 そこで今回は、「リスク要因」に影響を与えるものは何か、という視点で見ていきたいと思います。 今回も、パーソル総合研究所が行った「副業の事態・意識に関する定量調査」からの引用になります。 いきなり結論となりますが、2021調査によると、「副業動機」と「上司のマネジメント行動の変化」が人材流出リスクを高める要因となっているとい

      • \副業は人材流出リスクを高めるか⑦/

        前回までは、「副業はどのくらい広がってきているか」を見てきましたが、今回は「企業が副業を禁止する理由」と「実際起きたデメリット」について見ていきます。 今回も、パーソル総合研究所が行った「副業の事態・意識に関する定量調査」からの引用になります。 まずは、「企業が副業を禁止する理由」を見ていきましょう。 2021調査によると、企業が副業を禁止する理由は次のとおりです。 1位 自社の業務に専念してもらいたいから49.7% 2位 疲労による業務効率の低下が懸念されるから42.

        • \副業は人材流出リスクを高めるか⑥/

          前回は、企業視点で「副業はどのくらい広がってきているか」を見てきましたが、今回は従業員の視点から見ていきます。 今回も、パーソル総合研究所が行った「副業の事態・意識に関する定量調査」からの引用になります。 まずは、正社員の副業実施状況です。 2021調査では、9.3%という結果が出ており、2018調査の10.9%よりも1.6ポイント低下しているようです。 一見、副業者が減少しているようですが、「過去に副業経験あり」との合計で比較すると、2021は18.8%、2018は20

        \副業は人材流出リスクを高めるか⑨/

          \副業は人材流出リスクを高めるか⑤/

          前回までは、「副業が広がったきっかけ」として、近年の国の動きを確認しました。 今回からは、「副業はどのくらい広がってきているか」について見ていきます。 主に、2021年8月にパーソル総合研究所が行った「第二回 副業の事態・意識に関する定量調査(以下「2021調査」)」からの引用になります。 2021調査によると、企業の副業容認率は55.0%と、2018年の第一回調査(以下「2018調査」)時の51.2%より3.8pt上昇しています。 そのうち「全面容認」として割合は23

          \副業は人材流出リスクを高めるか⑤/

          \副業は人材流出リスクを高めるか④/

          前回に引き続き、平成29年3月に中小企業庁が開催した同研究会における提言書『兼業・副業を通じた創業・新事業創出に関する調査事業研究会提言~パラレルキャリア・ジャパンを目指して~』を見ていきます。 今回は、提言(2)「兼業・副業に意欲のある企業・従業員への支援」と、提言(3)「制度的課題の打破」の具体的な中身を見ていきます。 まず、(2)「兼業・副業に意欲のある企業・従業員への支援」については、1)地方におけるリーディングケースの創出等と、2)経営者・従業員向け相談体制の整

          \副業は人材流出リスクを高めるか④/

          \副業は人材流出リスクを高めるか③/

          前回、「働き方改革実行計画」の説明において、「③副業・兼業を通じた創業・新事業の創出、人材確保」の実績として「兼業・副業を通じた創業・新事業創出に関する調査事業研究会」について触れました。 今回は、平成29年3月に中小企業庁が開催した同研究会における提言書『兼業・副業を通じた創業・新事業創出に関する調査事業研究会提言~パラレルキャリア・ジャパンを目指して~』を見ていきます。 なお、今回も「副業が広がったきっかけ」の理解を深めるための解説となります。 「人材流出リスク」への

          \副業は人材流出リスクを高めるか③/

          \副業は人材流出リスクを高めるか②/

          前回説明した「働き方改革実現会議」を経て、平成29年3月28日に策定されたのが「働き方改革実行計画」です。 今回は、この内容を見ていきます。 本計画では、副業のメリットを次のように整理されています。 副業や兼業は、新たな技術の開発、オープンイノベーションや起業の手段、そして第2の人生の準備として有効である。我が国の場合、…〈省略〉…副業・兼業を認めている企業は、いまだ極めて少なく、その普及を図っていくことは重要である。 海外では副業・兼業を通じた起業が多く、副業・兼業は起

          \副業は人材流出リスクを高めるか②/

          \副業は人材流出リスクを高めるか①/

          近年、企業・個人ともに副業に対する関心が高まっています。 一方、雇用主の方からすると、人材流出を懸念する声もあるようです。 そこで本稿では、 ・副業が広がったきっかけ ・副業はどのくらい広がってきているか ・雇用主は何を懸念しているのか ・副業は人材流出につながるのか の4つに分けて解説したいと思います。 初めに「副業が広がったきっかけ」について、少し長くなりますが、近年の国の動きを見ていきます。 平成28年8月、「一億総活躍」の旗印のもと、新たに働き方改革担当大臣が設

          \副業は人材流出リスクを高めるか①/

          \骨太の方針2023を読む/

          2023年6月16日、「経済財政運営と改革の基本方針2023」(骨太の方針)が閣議決定されました。 構成としては「第1章 マクロ経済運営の基本的考え方」「第2章 新しい資本主義の加速」「第3章 我が国を取り巻く環境変化への対応」「第4章 中長期の経済財政運営」「第5章 当面の経済財政運営と令和6年度予算編成に向けた考え方」となっています。 第2章は「三位一体の労働市場改革」「投資の拡大と経済社会改革」「少子化対策・子ども政策」「包摂社会」「地域・中小企業の活性化」の5つの

          \公務員が一般社団法人を設立するには⑧/

          今回は、これまでの議論を総括し、当法人が行っている工夫点を紹介します。 本稿では、はじめに「法人化によるメリット」を確認しました。 個人事業と比べ、メリットもデメリットもありますが、そもそも公務員の場合「法人でないとできないこと」がある、というお話をしました。 例えば、リタワークスのビジネスモデルは、企業からの報酬をいったん受け取り、リタワーカーが指定する団体等に寄付するというものです。 つまり、企業からの報酬をいったん受け取ること自体が、副業禁止規定に抵触するおそれがあ

          \公務員が一般社団法人を設立するには⑧/

          \公務員が一般社団法人を設立するには⑦/

          前回は、「設立後にすべきこと」についての説明を行いました。 今回は、「公務員による設立の留意点」について解説します。 お役立ち情報『公務員は副業できるのか』とも重複しますが、そもそも地方公務員が何を禁止されているかについて復習しておきましょう。 地方公務員法では、次のとおり「営利企業への従事等」が制限されています。 ====================== (営利企業への従事等の制限) 第三十八条 職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利

          \公務員が一般社団法人を設立するには⑦/

          \公務員が一般社団法人を設立するには⑥/

          前回まで、「一般社団法人の設立手続き」についての説明を行いました。 今回は、「設立後にすべきこと」について解説します。 ここでは、収益事業を行う一般社団法人であり、かつ無報酬の一人理事という特殊なケースについての説明になりますのでご注意ください。 ただ、公務員が設立する場合、この状態になることが多いと思われますので、その点も踏まえて参考にしていただければと思います。 すべきことは、大きく分けて次の3つです。 ①備え置く書類等の整備 ②税務署等への届出 ③銀行口座の開設

          \公務員が一般社団法人を設立するには⑥/

          \公務員が一般社団法人を設立するには⑤/

          前回に引き続き、「一般社団法人の設立手続き」について説明します。 今回は、④設立登記についてです。 ここでは理事会を設置しない一般社団法人を前提に、必要書類等を説明します。 設立に必要な書類は次のとおりです。 ①設立登記申請書 ②設立時代表理事、設立時理事の就任承諾書 ③設立時代表理事、設立時理事の本人確認書類 ④設立時代表理事の印鑑証明書 ⑤設立時代表理事選定書 ⑥決議書(主たる事務所の所在場所) ⑦決議書(設立時理事の選任) ⑧委任状 ⑨別紙 ⑩認証済みの定款 ⑪印鑑

          \公務員が一般社団法人を設立するには⑤/

          \公務員が一般社団法人を設立するには④/

          前回に引き続き、「一般社団法人の設立手続き」について説明します。 今回は、②公証人の認証、③設立手続き調査についてです。 まずは②公証人の認証です。 公証人についてはあまり馴染みがないかもしれません。 私も、遺言の公正証書などのイメージしかありませんでした。 公証役場は滋賀県内にも3か所(大津、長浜、近江八幡)あり、当法人は、そのうちの1つで定款の認証を受けました。 流れとしては、メールで定款案を送り、内容をチェックしてもらいます。 当法人の場合、翌日には返事があり、1

          \公務員が一般社団法人を設立するには④/

          \公務員が一般社団法人を設立するには③/

          前回は、「法人の種類と違い」について説明しました。 今回は、「一般社団法人の設立手続き」について説明します。 法務省HP『一般社団法人及び一般財団法人制度Q&A』によると、次のとおり説明されています。 ====================== Q2 一般社団法人を設立する方法を簡単に説明して下さい。 A2 一般社団法人を設立する際の手続の流れは,次のとおりです。なお,(1)及び(2)は設立時社員(法人成立後最初の社員となる者2名以上)が行います。 (1) 定款を作成

          \公務員が一般社団法人を設立するには③/