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\公務員が一般社団法人を設立するには⑥/

前回まで、「一般社団法人の設立手続き」についての説明を行いました。
今回は、「設立後にすべきこと」について解説します。

ここでは、収益事業を行う一般社団法人であり、かつ無報酬の一人理事という特殊なケースについての説明になりますのでご注意ください。
ただ、公務員が設立する場合、この状態になることが多いと思われますので、その点も踏まえて参考にしていただければと思います。

すべきことは、大きく分けて次の3つです。
①備え置く書類等の整備
②税務署等への届出
③銀行口座の開設

順番に見ていきます。
まず①について、一般法人法の関連条文を見ていきます。

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第十四条 設立時社員(一般社団法人の成立後にあっては、当該一般社団法人)は、定款を設立時社員が定めた場所(一般社団法人の成立後にあっては、その主たる事務所及び従たる事務所)に備え置かなければならない。
第三十二条 一般社団法人は、社員名簿をその主たる事務所に備え置かなければならない。
第五十七条 社員総会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成しなければならない。
2 一般社団法人は、社員総会の日から十年間、前項の議事録をその主たる事務所に備え置かなければならない。
第百二十三条 一般社団法人は、法務省令で定めるところにより、その成立の日における貸借対照表を作成しなければならない。
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ここにあるとおり、定款、社員名簿、議事録を備え置くことと、設立時貸借対照表の作成を忘れないようにしましょう。
設立時貸借対照表は、設立に当たり支払った額を、借方に創立費として、貸方に未払金として計上するシンプルなもので問題ありません。

次に、②税務署等への届出を見ていきます。

届出先は、税務署・県税事務所・市役所の3か所です。
それらに、定款と履歴事項全部証明書(税務署は不要)の写しを添付し、法人の設立届を提出しましょう。

また、税務署には、必要に応じて「給与支払事務所等の開設届」「青色申告の承認申請書」などを提出します。
なお、税務署に要否を確認したところ、当法人は、無報酬理事のみで報酬の支払いが発生する予定もないので、「給与支払事務所等の届出書」は不要とのことでした。

いずれも受付はすぐに終わります。

その後、必要に応じて③銀行口座の開設を行いましょう。
開設に当たっては、銀行提出用の定款、履歴事項全部証明書、印鑑証明書、本人確認書類等が必要となりますが、事前に窓口に確認してください。
また、1週間程度の事前審査が行われるのですが、事務所の現地確認も行われますので、自宅を事務所にしている場合、表札付近に法人名も記載しておくと良いでしょう。

ここまでの手続きを終えると、ようやく事業に注力することができます。

なお、従業員がいる場合は社会保険、労働保険関係の届出義務も発生するので、ご注意ください。

以上で「設立後にすべきこと」についての説明を終わります。
次回は、「公務員による設立の留意点」について説明いたします。

〈公務員が一般社団法人を設立するには⑦に続く〉

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