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\副業は人材流出リスクを高めるか⑧/

前回、副業に対する企業の懸念と実際に起きたデメリットを比較したところ、人材流出については、企業が想像しているよりもリスクが高いことが示唆されました。

そこで今回は、「リスク要因」に影響を与えるものは何か、という視点で見ていきたいと思います。

今回も、パーソル総合研究所が行った「副業の事態・意識に関する定量調査」からの引用になります。

いきなり結論となりますが、2021調査によると、「副業動機」と「上司のマネジメント行動の変化」が人材流出リスクを高める要因となっているという分析結果が出ています。

それぞれ見ていきましょう。

まず、「副業動機」です。
本調査では、副業動機を6つに分類しており、その内訳は、ポジティブ動機として「スキルアップ・活躍の場の拡大」「自己実現」、ネガティブ動機として、「本業への不満」「現職の継続就業不安」、その他の動機として「なりゆき・頼まれ副業」「収入補填」となっています。

これらの動機のうち、「本業への不満」が、最も人材流出リスクを高めると結論されているものです。
当たり前といえば当たり前ですが、逆に言うと、ポジティブ動機やその他の動機で副業を始める層は、人材流出リスクが高くないということになります。

次に、「上司のマネジメント行動の変化」を見てみましょう。
行動の変化としては、副業に対してアドバイスしたり評価したりするなどの肯定的な態度に変化する場合と、コミュニケーションが減ったり責任のある仕事を任せなくしたりするなどの否定的な態度に変化する場合の2つがあります。

もうお気付きと思いますが、人材流出リスクを高めるのは、後者の否定的な態度に変化した場合です。

以上の分析結果を踏まえ、企業が取るべき対応は次のとおりになると思います。

・「本業に不満を持っている層」の離職も防ぎたいなら、副業を容認しない。
・副業を容認した場合の人材流出リスクを低減するためには、管理職が部下の副業を肯定的に捉えられるようマネジメント教育する。

以上で、人材流出リスクの要因についての説明を終わります。

次回は、企業が取るべき対応を深堀しながら、これまでの議論を総括します。

〈副業は人材流出リスクを高めるか⑨に続く〉

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