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\公務員が一般社団法人を設立するには⑧/

今回は、これまでの議論を総括し、当法人が行っている工夫点を紹介します。

本稿では、はじめに「法人化によるメリット」を確認しました。

個人事業と比べ、メリットもデメリットもありますが、そもそも公務員の場合「法人でないとできないこと」がある、というお話をしました。
例えば、リタワークスのビジネスモデルは、企業からの報酬をいったん受け取り、リタワーカーが指定する団体等に寄付するというものです。
つまり、企業からの報酬をいったん受け取ること自体が、副業禁止規定に抵触するおそれがあることから、個人事業としては実施できないこととなります。

このような事情で法人化が必要と判断された方のため、続いて「法人の種類と違い」を説明しました。

ここでは、非営利法人として「一般社団法人」と「NPO法人」を比較しました。
最も大きな違いとしては、2人で設立できる「一般社団法人」に対し、「NPO法人」は10人必要という点です。
すでに任意団体で活動を行っている場合を除き、10人集めるには時間が掛かると思われますので、すぐに何かしたい場合は「一般社団法人」を選択することが多いと思われます。

そこで、次に「一般社団法人の設立手続き」を見ていきました。

大きく分けると、定款作成、公証人の認証、設立手続き調査、設立登記の4つです。
詳しくは『公務員が一般社団法人を設立するには③~⑤』を見ていただきたいのですが、実際に設立した感想としては、難しい手続きではなかったと感じています。
例えば定款作成については、公証人の方に案を送ると丁寧に添削いただけますし、設立登記も誤りがあれば登記官の方に補正指導いただけます。

次に、「設立後にすべき手続き」を見ていきました。

ここでは、収益事業を行う一般社団法人であり、かつ無報酬の一人理事という前提で説明を行いました。
具体的には、定款・社員名簿・議事録を備え置くことと、設立時貸借対照表を作成すること、税務署・県税事務所・市役所に必要な届出を行うことなどです。
詳しくは『公務員が一般社団法人を設立するには⑥』を見ていただければと思います。

ここまでの説明により、一般社団法人を設立する流れをイメージできるようになったと思います。

そこで最後に、公務員による設立という観点で、注意点を述べました。

気を付けるべきことは、次の3つです。

①法人の活動において、職務上の利害関係者から便宜を受けないようにする。
②職務上知りえた秘密を、法人の活動に利用しない。
③職務(勤務時間)中に、法人の活動を行わない。

これらを遵守して行う「非営利団体」としての活動は、私的活動であり地方公務員法では何ら制限されないはずです。
ただし、この場合でも、自治体によっては許可制とするケースもあるようなので、念のため所属先の人事課に確認する方が良いでしょう。

当法人についても、次のような手順で法人設立を行いました。

①人事課に「非営利団体を設立し、勤務時間外に活動することの可否」を確認
②所属に「非営利団体を設立し、勤務時間外に活動する旨」を報告
③設立手続き
④全部事項証明書と定款の写しを所属に提出(所属経由で人事課にも提出)

また、次のとおり工夫も行っています。

①理事報酬について、法人HPおよび社員総会の議事録に「無報酬」と明記
②法人HPに「所属する官公庁向けの提案資料作成など、内部情報の漏洩等の不適正事案につながる恐れがある場合、受注できない」旨を明記
③法人電話を設置しない(勤務時間中に対応できないように)。

このように細心の注意を払い、「李下に冠を正さず」の気持ちで活動に取り組むことが肝要と考えています。

以上で、『公務員が一般社団法人を設立するには』の解説を終わります。

本稿を通じ、一般社団法人の設立が意外に簡単だということを知っていただき、やりたいことの実現に繋げていただければ幸いです。

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