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\公務員が一般社団法人を設立するには⑦/

前回は、「設立後にすべきこと」についての説明を行いました。
今回は、「公務員による設立の留意点」について解説します。

お役立ち情報『公務員は副業できるのか』とも重複しますが、そもそも地方公務員が何を禁止されているかについて復習しておきましょう。

地方公務員法では、次のとおり「営利企業への従事等」が制限されています。

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(営利企業への従事等の制限)
第三十八条 職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下この項及び次条第一項において「営利企業」という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。ただし、非常勤職員(短時間勤務の職を占める職員及び第二十二条の二第一項第二号に掲げる職員を除く。)については、この限りでない。
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要約すると、任命権者の許可を受けなければ、
①「営利企業」の役員になること
②「営利企業」を自ら営むこと
③「営利・非営利」に関わらず、報酬を得ること
をしてはいけない、とされています。

つまり、「非営利団体」を営むことに関しては、許可は不要ということとなります。

ただし、その活動内容にも注意すべきことがあります。
関連条文を見ていきましょう。

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(信用失墜行為の禁止)
第三十三条 職員は、その職の信用を傷つけ、又は職員の職全体の不名誉となるような行為をしてはならない。
(秘密を守る義務)
第三十四条 職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする。
(職務に専念する義務)
第三十五条 職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。
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ここにあるとおり、①信用失墜行為の禁止、②守秘義務、③職務専念義務に違反しないよう注意することが必要です。
各自治体の職員倫理条例において言及されていることも多いですが、①信用失墜行為の禁止に関して特に気を付けるべきことは、「利害関係者との関係」です。

これらに抵触しないように注意すべきことは次のとおりです。

①法人の活動において、職務上の利害関係者から便宜を受けないようにする。
②職務上知りえた秘密を、法人の活動に利用しない。
③職務(勤務時間)中に、法人の活動を行わない。

いずれも当たり前のことですが、「李下に冠を正さず」の気持ちで細心の注意を払うことが必要です。

次回は、本稿を総括しつつ、これらのルールに抵触しないよう当法人が行っている工夫を解説します。

〈公務員が一般社団法人を設立するには⑧に続く〉

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