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\副業は人材流出リスクを高めるか⑦/

前回までは、「副業はどのくらい広がってきているか」を見てきましたが、今回は「企業が副業を禁止する理由」と「実際起きたデメリット」について見ていきます。

今回も、パーソル総合研究所が行った「副業の事態・意識に関する定量調査」からの引用になります。

まずは、「企業が副業を禁止する理由」を見ていきましょう。

2021調査によると、企業が副業を禁止する理由は次のとおりです。
1位 自社の業務に専念してもらいたいから49.7%
2位 疲労による業務効率の低下が懸念されるから42.1%
3位 従業員の過重労働につながるから39.7%
4位 情報漏洩のリスクがあるから29.5%
5位 労務管理等の事務管理が煩雑になるから20.4%
6位 ノウハウ等の流出につながるから16.4%
7位 従業員間の業務量の調整が困難だから13.7%
8位 競業となるリスクがあるから12.6%
9位 自社への忠誠心の低下が懸念されるから12.4%
10位 従業員間の公平性を確保できないから11.5%
11位 周りの従業員のモチベーション低下につながるから10.4%
12位 人材の流出につながるから10.4%
13位 風評リスクがあるから3.8%

分類すると、「副業者の業務の質低下(1、2)」「副業者の健康配慮(3)」「ノウハウ流出等のリスク(4,6、8、13)」「管理の煩雑さ(5、7)」「人材流出リスク(9、12)」「周りの従業員への配慮(10、11)」となります。

これらの懸念と「実際に起きた問題」と突合してみましょう。

2018調査によると、「実際に起きたデメリット」という質問に対する企業の回答は次のとおりです。

1位 業務管理が煩雑になった41.5%
2位 従業員が疲労によって業務効率が低下した38.4%
3位 従業員間の公平性を確保できなくなった37.1%
4位 人材の流出があった35.8%
5位 風評被害があった35.2%
5位 競業があった35.2%
5位 従業員の過重労働につながった35.2%
5位 周りの従業員のモチベーション低下につながった35.2%
9~13位 省略
14位 あてはまるものはない29.6%

7割程度の企業が、何かしらのデメリットがあったと感じているようです。
では、いくつかの懸念と実際を比較してみましょう。

「疲労による業務効率の低下」懸念:42.1%、実際:38.4%
「従業員の過重労働につながるから」懸念:39.7%、実際35.2%
「情報漏洩のリスクがあるから」懸念:29.5%、実際:33.3%

これらは、懸念している企業の割合と、実際に発生したと感じている企業の割合が同程度です。
一方、次の項目は、懸念と比較すると発生度合いが高くなっています。

「労務管理等の事務管理が煩雑になるから」懸念:20.4%、実際:41.5%
「人材の流出につながるから」懸念:10.4%、実際:35.8%

このことが示唆しているのは、副業を容認することで、企業が想像しているよりも労務管理が複雑になり、人材が流出する可能性が高いということです。

副業は、人材流出リスクを高める可能性があるといえそうですね。
では、企業はどのように対応することで、人材流出リスクを下げることができるのでしょうか。
次回は、「人材流出リスクの要因」について見ていきます。

〈副業は人材流出リスクを高めるか⑧に続く〉


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