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\副業は人材流出リスクを高めるか⑤/

前回までは、「副業が広がったきっかけ」として、近年の国の動きを確認しました。

今回からは、「副業はどのくらい広がってきているか」について見ていきます。

主に、2021年8月にパーソル総合研究所が行った「第二回 副業の事態・意識に関する定量調査(以下「2021調査」)」からの引用になります。

2021調査によると、企業の副業容認率は55.0%と、2018年の第一回調査(以下「2018調査」)時の51.2%より3.8pt上昇しています。
そのうち「全面容認」として割合は23.7%と、前回の14.4%よりも9.3pt増加しています。
企業視点では、副業を容認する方向になっていることが分かります。

なぜそうなっているかを理解するため、副業容認理由を見ていきましょう。

2021調査の結果は次のとおりです。
1位「従業員の収入補填のため」34.3%
2位「禁止するべきものではないので」26.9%
3位「個人の自由なので」26.2%

単年度の順位も大切ですが、さらに要因を探るためには、2018調査との比較も必要です。
そこで、2018調査と2021調査を比較し、増加率が高い理由と、減少率が高い理由を見ていきましょう。

増加率が大きい理由は次の3つです。

1位「禁止するべきものではないので」+5.6ポイント(21.3⇒26.9)
2位「優秀な人材の確保(採用活動)のため」+3.5ポイント(13.6⇒16.5)
3位「優秀な人材の定着(離職率の低下)のため」+3.3ポイント(15.7⇒18.9)

1位の「禁止するべきものではないので」が増加しているのは、前回まで見てきた国の動きも影響しているのでしょう。

さらに特筆すべきは、2位と3位の優秀な人材の「確保」「定着」です。
これは、優秀な人材が仕事を選ぶ際は「副業できるか」を重視している、というイメージを企業が持っていることの表れといえるでしょう。

次に、減少率が大きい3つの理由を見ていきます。

1位「企業イメージの向上のため」-6.1ポイント(11.3⇒5.2)
2位「社会貢献のため」-5.9ポイント(11.3⇒5.5)
3位「転職や再就職の支援のため」-4.2ポイント(10.0⇒5.8)

1位2位を見ると、2018には社会的価値を高めるための手段として見られることが多かったことが分かります。

これらの結果から、副業を容認する理由は「社会的価値(社会貢献)」から「経済的価値(人材確保・定着)」に変化してきたといえそうですね。

次回は、「副業はどのくらい広がってきているか」を従業員側の視点から見ていきます。

〈副業は人材流出リスクを高めるか⑥に続く〉

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