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\副業は人材流出リスクを高めるか③/

前回、「働き方改革実行計画」の説明において、「③副業・兼業を通じた創業・新事業の創出、人材確保」の実績として「兼業・副業を通じた創業・新事業創出に関する調査事業研究会」について触れました。

今回は、平成29年3月に中小企業庁が開催した同研究会における提言書『兼業・副業を通じた創業・新事業創出に関する調査事業研究会提言~パラレルキャリア・ジャパンを目指して~』を見ていきます。

なお、今回も「副業が広がったきっかけ」の理解を深めるための解説となります。
「人材流出リスク」への言及はもう少し先になりますが、お付き合いください。

さて、提言書では、現状、課題、メリット、デメリット、今後の方向性、課題克服に向けた施策等が述べられています。
本稿では、結論として「課題克服に向けた施策」がどのように提言されているかを見ていきます。

大きく分けると
(1)兼業・副業の正確な理解の促進
(2)兼業・副業に意欲のある企業・従業員への支援
(3)制度的課題の打破
の3点です。

(1)については、1)事例集や企業表彰等による社会的気運の醸成と、2)公務員の兼業・副業解禁の検討の2つが提言されています。

1)については、実際に兼業・副業を通じて創業・新事業を創出した個人の活動や企業の取組を事例集等で強力に情報発信することと、中小企業庁が実施する「創業・事業承継支援事業」の中で、兼業・副業による創業者や、兼業・副業を促進している事業者を表彰することが提案されています。

2)については、検討会において、「まずは公務員が率先して兼業・副業を解禁するべき」という意見があったことから、例えば、期限や部門を区切った上で、兼業・副業を試行的に解禁し、公務員の兼業・副業のモデルケースとして分析することが提案されています。

筆者もこの重要性を強く感じています。
兼業・副業に限らず、テレワークの導入や時間外勤務削減についても、「先ず隗より始めよ」の姿勢がやや不足しているように思われます。
まずは公務員自らが実践することで、課題を知り、その上で民間部門に働きかけていくことが必要になるでしょう。

話は逸れましたが、次回は、引き続き提言書の内容を見ていくこととし、(2)兼業・副業に意欲のある企業・従業員への支援と、(3)制度的課題の打破について説明いたします。

〈副業は人材流出リスクを高めるか④に続く〉

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