ゆうきちゃん

創作活動をします。 日々のつぶやきもあります。 新卒一年目

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最近の記事

お父さん

東京に働きに出てすっかり時間が経った。 家族はみな、まだ学生である我が弟以外は律儀に歳を取り、だけどまだまだ労働人口に属して、就労の義務を果たしている。 そのうえ私と父は関西にいるほかの家族から離れ、それぞれ単身東京に住み、それぞれ働いている。父は単身赴任。私はただの一人暮らし。 だから、なんてことのない日曜のお昼に、待ち合わせて一緒にご飯を食べよう、と、急に家族めいたことを私と父はよく行う。 きっと関西では私と父以外のみんなで食卓を囲んでいるだろうから、その支部として

    • 映画『カラオケ行こ!』感想

      Twitterを見ていると、原作ファンからも熱い支持を受けているなあとわかる表題の件。 さきほどふと一点思い出したことがあったので綴る。手放しの賞賛というより、「そういやあのシーンって……」とぼんやり感想垂れ流しかつ、映画版のネタバレなので、注意してください。 さとみくんが狂児に向かってブチ切れる、原作でいうと起承転結の「転」のトリガーとなるようなワンシーンがある。 終始狂児の前で無感情を貫いてきたさとみくんがはじめて怒りを露わにする印象的なシーンなのだが、原作版と映画

      • 頭にはバカでかいリボン

        を、つけて出社すると情緒が安定すると気がついた。 オフィカジOK、もはや管理職ですらフレアのおしゃれジーンズを履いて手ぶらで出社する会社だから、新卒の髪についたバカでかいリボンくらいどうってことない。 黒いベロア生地の、可愛いリボンがついた髪留め。サイズは人が「これくらいがちょうど良いだろう」と思うより一回り大きい。それが可愛い。 ドラミちゃんはお兄ちゃんであるドラえもんとお揃いで猫の耳がないけれど、その代わりリボンがドラミちゃんの平衡感覚を保つ補助装置だと小耳に挟んだこ

        • 嵐を聴いて

          2023年秋。 テレビを点けても観たい番組なんてなくて、気力もなかった。寝ても寝てもいつも眠たいし、お腹周りの肉が気になってきたのに運動をする余裕もない。仕事しかしていない気がする。 お金だって、週に5日も働いているのに、少し吹けば消えてしまうほどのものしかないから、質素に静かに過ごしている。為替のせいで海外旅行も夢のまた夢、それどころか国内にいても物価高に日々じりじりと生活が圧迫されているのを感じるときがあって、新手の拷問かと冗談っぽく思っても……わりと笑えない。周りを見渡

          マッチングアプリで出会った人と秒で別れラブロマンスが嫌いになった

          多分もう別れた。 こちらから「あなた、私と会う気ないよね」とLINEを感情のまま送りつけたら、SNSはブロックをされ、LINEも既読がつかなくなった。 いや、私が捨てる方じゃないんかい、お前が私をブロックすな!とムカついて、一方で「言いすぎてしまった」と覆水盆に返らず、後悔先に立たず、口から出た言葉はもう引っ込められず、それが虚しくて泣きたくなって今どうしようもないまま、涙は一瞬だけ浮かんだがすぐに引っ込んだ。 とにかく虚脱感に襲われている。明日出勤したくない。 というか早

          マッチングアプリで出会った人と秒で別れラブロマンスが嫌いになった

          【日記】マッチングアプリではじめて人と会った

          今日、マッチングアプリで初めて出会った男性とカフェ巡りをした。 終わってみて数えると我々は今日4軒ものカフェをはしごしており、一緒に過ごした5時間の間ずっと喋り倒していた。 字面だけ見ても面白い。 正直申し上げると私はこれまで恋人がいたことがなく、恋愛に関する勘であったり経験則からくるアプローチの仕方、積極性、タイミング、伝え方等々全くやり方がわからない。恋愛脳がない。というかなんか恥ずかしくてブレーキがかかってしまう。 だから今日は相手からさらりと述べられる素敵なお誘い

          【日記】マッチングアプリではじめて人と会った

          【創作短編】海で一服

          「今回の取り組み以降もぜひ、御社とご一緒させていただきたく思いますので」  引き続き何卒よろしくお願いします、と言い放った先輩は、隣に並んで座る弊社側の僕から見ても「頼りになる取引先の若手社員」だった。笑うと僕から見える左頬にえくぼができて、ニカっと効果音が聞こえてきそうなほど爽やかだ。  これまで先輩の企画提案に耳を傾けていた、目の前に座る初老の男性もそのように感じたらしく、満足げにうなずきながら「こちらこそ、よろしゅうお願いします」と賛同の意を口から漏らした。その隣に座

          【創作短編】海で一服

          【短編創作小説】21世紀の後輩

          「田中ァ!今日、行くぞ」  机同士を仕切っているパーテーションを飛び越えて、部長の声は耳に良く刺さる。俺は少し首を斜め右に伸ばして、モニター越しに部長を見る。今回の「田中」は俺のことか、と瞬時に判断し、作業の手を止めて回転椅子から勢いよく立ち上がった。 「はい!もう行かれますか」  よく空調の利いたオフィス、複数の部署が島になって点在するこのフロアのなかで、うちの部長の声はひときわでかい。声をかけられた際に頭の中で思い描いていたように、今日も彼は目玉をぎょろぎょろとさせ

          【短編創作小説】21世紀の後輩

          私はフェミニストじゃないけれど

          DJ SODAさんの事件や現場の動画をTwitter(X)で見て、私はすごく心が痛かった。 でも、なぜこんなに胸が、心が痛いのか、私は表現し切れるかどうかわからないけれど、きっと言語化する必要があると思って、以下に記す。 今は拙くても、いつか私がもっと卓越な言葉で今の思いをなぞる際の習作だと思えばいい。 大人になってから、「女性であること」に絶望をすることが何度かあった。名前を言えばまず舐められることのない大学を出て、一度も女であることを振りかざし媚びることをせず過ごしてい

          私はフェミニストじゃないけれど

          母の味・フレンチトースト

          私がうんと小さい子供だったころ。 うちのオカンがつくる朝ごはんといえば、1/2のバタートーストと市販の4個セットになっているヨーグルトを1つ、だった。 共働きで、毎朝いつも家はあわただしかった。営業仕事で朝から機嫌のよろしくない父。冷凍食品をかたっぱしから弁当に詰め込む母。なかなか起きてこずバスの時間ギリギリに起きる私。 偏食ぎみだった幼少期の私はいつもバタートーストの真ん中だけを食べ、耳を残して学校に行った。3時間目にはお腹を空かしていて、それが当たり前だと思っていた。

          母の味・フレンチトースト

          君たちはどう生きるか 観に行った感想(ネタバレ有)

          この間の日曜日夕方、池袋の映画館で「君たちはどう生きるか」を観た。 視聴者スペック: 2001年生まれ22歳会社員。 ジブリ映画を劇場で見るのは人生で3回目 (1度目は「崖の上のポニョ」、次は「借りぐらしのアリエッティ」。宮崎駿監督の映画ではないが……) 宮崎駿が監督を務める映画は全て見たことがある。一番好きなジブリ映画は「天空の城ラピュタ」。 以下ネタバレ 感想: 「これは木ではなく墓石と同じ石で作られている、悪意があります」などなど、全く説明をする気のないセリフ回し

          君たちはどう生きるか 観に行った感想(ネタバレ有)

          オトンとパチンコに行った

          オトンとパチンコに行った。 私が「ゴルフをやってみたい」と言うので、オトンはクソ暑い昼下がりに打ちっぱなしに連れて行ってくれた。 私は初心者のくせに130球バカスカ打ち、近くのパン屋で2人お茶したあとだった。 なんとなくまだ時間を潰したいなあと後ろ髪を引かれながらも駅に向かっていたときに、オトンはふと 「パチンコするか!」と言い、 そのまま吸い込まれるように道路脇そばにあったパチンコ屋に入っていったのだった。 パチンコ経験0の私は、なんなら「パチンコするか!」と言われるま

          オトンとパチンコに行った

          月曜AM2時、メガネのレンズが片方取れた

          そんなとき、社会人はこの事態をどう対処するかなんて、教わることはまずないだろう。 つまり私は途方に暮れている。 だからnoteを書いている。 まずはメガネを何度も掛け直して、自分の視界がやはり右側だけぼやぼやしているのを確認した。レンズは手の内にあったので、確実に取れちまっているわけだけど、もしかしたら私の目の調子が悪いのかなって思いたいから。 でもあいにくそのおかげで「やっぱり右レンズだけポロッと取れちゃってる」っていう事実をしみじみと身に染み渡らせてしまった。 ちなみ

          月曜AM2時、メガネのレンズが片方取れた

          私は本を読む

          中学一年生の冬、まだ12歳の時に私は親の転勤で県を跨いで転校した。クソ寒い北陸から、西へ。 当時、私はひと夏で3キロも太り、おでこに吹き出物が数え切れないほどできていた。性格も、かなり悪かったと思う。自分に自信がないのに、人をとにかくバカにしていた。 だから転校先では痛い目を見た。人間関係がうまくいかず、とにかく面倒なことばかり起きた。どう立ち回るべきかもわからず、鈍臭く居座り続けていた。 人生で一番本を読んでいたのはその時だったと思う。 もはや、それは厨二病にかかった者

          「朝ごはん食べ忘れた」を真似したら

          大学生の間は実家暮らしだった。 学部には地方から引っ越してきて一人暮らしをしている子も多く、そしてほとんどの子が口を揃えて 「一人暮らしは痩せる」 と言っていた。 いわく、何もかも面倒くさくなってなんにも食わぬまま日が暮れ、朝が来て、大学に来てはじめて学食を食べたり、バイト先の賄いを食べたりするらしい。 いつでも食卓にはパンやらお菓子やらが載っていて、朝昼晩3食しっかり炭水化物をドーーーン!と摂取し、 母の口癖は 「美味しそうなパン屋があったからパン買ってきた✌️」 だった

          「朝ごはん食べ忘れた」を真似したら

          新入社員にとって一番こわいのは残業でも呑み会でもなく「訊けないこと」なのでは

          と、思ったのでここに記そうと思う。 こんばんは。ゆーきちゃんです。 配属されて一週間がたった。配属御籤は中吉といったところで、一人前になるまではしばらく必死こいて働いていこうかなという所感だ。正直嬉しい。でも同時に気が重い。 ところで、明日は月曜日なわけだけど、この一週間の総括をしたいと思う。 たいしたことは書けないんだけど、もしこのnoteを読む中間管理職の人がいたとして、その人になんとなく届けばいいかなって思った。 この一週間はとにかく空気を読んで職場の仕事を覚え

          新入社員にとって一番こわいのは残業でも呑み会でもなく「訊けないこと」なのでは