君たちはどう生きるか 観に行った感想(ネタバレ有)

この間の日曜日夕方、池袋の映画館で「君たちはどう生きるか」を観た。

視聴者スペック:
2001年生まれ22歳会社員。
ジブリ映画を劇場で見るのは人生で3回目
(1度目は「崖の上のポニョ」、次は「借りぐらしのアリエッティ」。宮崎駿監督の映画ではないが……)
宮崎駿が監督を務める映画は全て見たことがある。一番好きなジブリ映画は「天空の城ラピュタ」。


以下ネタバレ


感想:
「これは木ではなく墓石と同じ石で作られている、悪意があります」などなど、全く説明をする気のないセリフ回しに逆に感動した。
よくTwitter(もうXになってしまったが)で聞くものの例えに「型を知らない人間が、知ったように好き勝手やるのは『型破り』とはいわない、『型なし』というんだ」というのがある。ジブリを散々見て育ってきた身として、これはまさに「型破り」な作品だと感じた。表現や演出は粗がなく流石「世界のジブリ」「日本のアニメーション」ながら、世界観が拙く新規性に乏しいようで、ただし若年の創り手には生み出せやしないイカれ具合。芸術家が往年に尖りまくった作品を輩出することは往々にしてあるが、まさか宮崎駿でそれを体験できるとは思わなかった。しかも世界観やキャラデザ、動き、しつらい、すべてあまりにも完璧な宮崎駿の世界なので、「これはもしや精巧な贋作か?」とソワソワしてしまうほど。
なにより、ジブリ映画で心から「気味が悪い」「怖い」と違和感を感じたのは初めてだった。いや、もしかしたら……「ハウルの動く城」「千と千尋の神隠し」…‥もっと昔、「風の谷のナウシカ」「となりのトトロ」「もののけ姫」すべて一貫して、異形で気味の悪いものを描いていたことに、気づくべきだったのか。
ならば今回なぜこんなに救われない気がするのだろう。おそらくだけれど、今回の作品は圧倒的に「対話」が少なかったのではないかと思う。
主人公と、年長者との語らい。同期との語らい。父や母との語らい。そういうの、全然なかった。
これまでは、なんとなく設定がわけわかんなくても「国を守る」「元の世界に帰る」「愛する人を守る」などなどでっけえ主人公の大義があって、魅力のあるヒーローやヒロインがいて、すんなり物語を楽しめたけれども、今回は(他のレビューでも触れられているが)かなり主人公の意志がぼやけている。また、彼が語り合う異世界のキャラクターたちは基本的に話が若干通じないというかズレていて「対話」になっていない。というか観客があんまり理解できていない。私たちが拠り所にできるような、感情同士の接点とそこから散る火花がすごく少ない。眞人が「なつこかあさん!」と叫んだ時くらいかもしれない。
だから、こんなにも「おぞましい」のかもしれない。ペリカンやインコの大群。魚のはらわた。食物連鎖の提示。血の滴る厨房。世界の崩壊……。迫り来る異様な画に耐え得るものがなかった。ひたすらに怖かった。小さい時にもしこの映画を見たら普通にトラウマもんでしょ。

はじめこの映画を見た時は、職業天命説的で不安定でなんとなく先行きの暗いこの世界と「人生」というものを地下世界(異世界?地獄?)に投影しながら、それを理想だと、なのにお前は元の戦時中の世界に戻るのか?と揶揄する超アンチ映画ぢゃん!と思った(というかそういう面もあると思う)。
でも思い返せば思い返すほど、ジブリ映画の中でも随一で気味が悪く、訳がわからない、でもこれまで浴びてきた作品群をジブリたらしめる要素がふんだんにあしらわれている、変な作品だったなぁと感じる。観客への説明義務は確かにないけどさ、作品には。

このストーリーなら時代背景は戦時中じゃなくてもまかり通ったな、とも感じたけれども、そこを戦時中に設定するのが「らしさ」かもしれない、とも感じた。

皆さんはどう考えられましたか。

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