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最初読み続けられなくて読むのをやめた小説を映像で見たら良すぎて見てる途中だけど感動した声が多かった理由が私なりにわかったので書く

小説が出たとき、私はまだ高校生だった。

たしか3年生で、受験勉強をしないといけないと思いながらも読書熱が高まっていた。

テスト前ほど掃除やゲームに何故か熱が入ってしまうのは皆あるあるだと思う。私はそこに読書が加わる。

そこで塾の先生に「おすすめの本を教えてくれ」と聞いたときに返ってきたのが、当時出たばかりで話題だった『マチネの終わりに』だった。

先生は感動したと言っていたが、私は新書に対して斜に構えた考えを持っている。

「どこかで見たことあるような本か王道ストーリーが多いなか、何故新書を良かったって言ってるんだろう、だったら古いのに永遠に最先端で言葉の密度が違う文豪の本のがよくないか?」と思っていた。

まあ書物の好みも食べ物の好みも人それぞれなように私は文豪の小説のが合っていたという話だ。

数年経って『マチネの終わりに』を思い出し、書店で購入し読んだが3ページで閉じた。

当時太宰治を読み漁り、一文目で惹き付けられ沼に引きずり込まれる快感と太宰の魅力に陶酔しいた。

だからあの優しい柔らかい音楽を奏でるような大人の恋はあまりにもぬるく感じた。

ジェットコースターハイになっていて「あと3回連続して乗りたい!」と言ってるところに子供向けメリーゴーランドに乗せられて楽しめるか?

その時の私は頑張ったが楽しめなかった。

そしてそのまま本棚で積読した。



そして何年か経ち、アマゾンプライムを入れた。

今まで見てみたいけど映画館面倒くさいなとか映画館で見るほど興味はないなとか思っていた映画やアニメを片っ端からウォッチリストに入れていたとき、映画『マチネの終わりに』に気づいた。

「あのときおすすめされて買ったけど読んでるうちに読み続けられなくて読むのやめた本だ」

とりあえずウォッチリストに入れて放置した。

「いつかみたくなる日が来るでしょう。その時まで熟成させておこう」

映像版積読、パート2。

そして今日が再生日となった。

福山雅治さんかっこいいなから始まり、ギターの音色が緩やかに、だが熱さをもって響く音にギターってこんな弾き方もできるんだなあ(ギターといえばJ-POPや童謡を歌ってる人たちのイメージしかない)と思っていた。原作ではヴァイオリニストだったはずだが福山雅治さんに合わせて改変したのだろうか。

映画を見て3分もいかないうちに「適役だなあ…」とホワァ……とギターを奏でる福山雅治さんを眺めていたが、この映画(小説)の魅力にガツンと頭を殴られた。

「過去って変えられない、変えられるのは未来だけって言うけど、未来が過去を変えてるよね」

「庭の石は、昔おままごとをするのに使ってた思い出深い石だけど、おばあちゃんが転んだ先にその石があったせいで亡くなってしまった。過去の良い思い出が、今じゃおばあちゃんに致命傷を与えた石になってしまった。良い思い出だけでは、なくなってしまった。あなたはそれを悩んでるんだよね」

こんな喋り方はしてないが、私はとにかくこのシーンで雷に打たれたような衝撃だった。

私が最近薄々思っていた、感じていたことを言語化して綺麗に纏めてくれた。

本当に衝撃だった。

現代でも、私の思っていたことを言語化して見せてくれる作家がいた_______!!

女性の主人公が福山雅治さん演じるギタリストの演奏に救われたように、私もこの作品に少しずつ救われているのを感じる。

メインの二人が話す言葉が全部メモに残しておきたいくらい共感できる。

「洋子さんが天に行ったら、僕も追いかけます。自害したなら、僕も自害します」

今日私が「人に裏切られたり、私は相手を信用していて相手も同じくらい私を信用してくれていると思っていたのに、自分が思っていた信用値が相手と釣り合わなくて傷ついた事があった」と気づいた私には刺さりすぎる言葉でした。

私もこんな存在に出会いたかった。

こころの処方箋。

久しぶりに心に軟膏塗ってる気分です。

まだここまでしか見てないけど、繊細で人の機微に敏感で几帳面で真面目で何度も人との付き合い方で傷ついた事がある擦り傷かすり傷切り傷だらけの優しい性格の作家なんだろうなと、勝手に推察しました。

もう新書とは言えないけど、最近の本に希望を持てました。ラストまで見るのが楽しみです。

見終わったら、本棚から小説を引っ張り出そうと思います。

久しぶりに軟膏みたいな小説に出会えました。

皆様も良い読書・映画ライフを🍀🎬

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