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無くならないとわからないもの

いつも
細かく連絡をくれる

日常を
共有して
気持ちを
伝える

仕事が終わって
いつもなら
すぐに
連絡がとれる時間

珍しく
レスが無い

何かしているのかな

しばらく放置

いつもなら
忙しくても
忙しいからごめん

一言くれる

おかしいな


思いつつ
連絡を再度入れる
でも
返事がない

数時間経過しても
既読にも
ならない

こんなことは
付き合って以来
無いこと

まさかね

何かあった?

もし
彼に何かあっても
既婚の私には
連絡は来ない

人に話せぬ関係だもの

心配で
電話をかける

でない

自分の心臓が
早く動き出す

まさかね

私の兄弟が
まだ学生だったころ
親友と遊ぶ約束をしていて

待ち合わせに行っても
来ない

おかしいから
電話して

私に頼んできた
携帯を皆持っていた
時代じゃないから

連絡をしても
連絡がつかない

しばらくして
兄弟が
ぼけっとしながら
帰ってきた

あいつな
死んでしまったわ

って。
ご家族から
事故に遭ったと聞き
お見舞いを持って
病院に駆けつけ会ったのは
管だらけ
包帯だらけの
親友だったと。

無駄になった
華やかな
花束を
私に投げて
兄弟は
その日から
痩せていった

あのときの
兄弟の
ぽかんとした
空虚な声が
耳に残っている

嫌なことが
フラッシュバックして

手が震える

寝てるだけ
携帯の充電が切れているだけ

そう言い聞かせながらも

最後の連絡は
ちょうど帰宅時間だな
なんて
嫌なことを考える

心臓に向かう血液が
ぷつぷつと
泡立つような
暗い感触が
身体に走る

事故のニュースなんて
入ってないから

そう言い聞かせながら
寝てしまおう

そう思っても
意識は彼のことから
離れない

数時間後に
彼から
連絡がついたとき

ほっとしたけど

なんだか
むかついた

こっちは
死ぬほど心配して
死ぬほど愛していることを
痛感して
いたというのに

気絶するように
眠ってた
じゃないよ、バカ

馬と鹿が
小躍りして
陽気なボックス踏んでるくらい
バカ

って思った

むかつくから
今度
いかせるとき
ひどく
言葉攻め
するとしよう


これ、ご褒美かな

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