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世界遺産サンティアゴ巡礼路854kmを歩く -再開、今の一歩その瞬間に感じるモノが全て / 22日目-



●これまでの道のり
1日目 初日31km / 2日目 猛烈な筋肉痛 / 3日目 大自然の中で一人大泣き / 4日目 足の痛みと色眼鏡の妄想 / 5日目 痛恨のエクストラステージ / 6日目 後半、雨の中での迷い / 7日目 旅仲間との出会い / 8日目 誰かの玉ねぎを使うこズルい自分 / 9日目 心身追い込まれる中での不思議な感覚 / 10日目 タフな作家さんと歩きッコ / 11日目 仲間とゆっくり歩く日 / 12日目 作家さんの○歳の誕生日 / 13日目 アクシデント!出発点に戻る! / 14日目 初めてのヒッチハイク / 15日目 作家さんと歩きくらべ / 16日目 毎日歩くという日常 / 17日目 作家さんのいない日 / 18日目 電池切れで体調崩す / 19日目 体調不良で歩く中での自問 / 20日目 身にしみる人の優しさ / 21日目 歩かずに体を休める

2014/3/13 El Burgo Ranero 〜 サンティアゴまで残り 350.7km

朝起きると万全じゃないけどほどほどに良い。

お腹も大丈夫になってきた。

いろいろ気にかけて助けてくれたおじいと一緒に写真を撮り、お礼を言いハグをしてお別れする。

とても素敵なおじいだった。

ここで体を休めることができて助かった。

 

9時スタート。

うん、歩けるな。

休憩は普段より多いが、ほどよいペースで歩けている。

自転車で通り過ぎていく巡礼者が今日は多い。

追い抜き際に、「Buen Camino!(よい巡礼を)」 と言って声をかけてくれる。

こちらもかけ返す。

 

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14時頃に19km地点の街が目前になった。

またお腹がゴロゴロしてきた。

街に着きすぐカフェを探し駆け込む。

またお腹を下した。

でもスッキリしたので次の街までまた歩く。

 

後6km。

歩いているとどうしても先のことを考える。

次の街まで、目的地まではどれくらいか。

着いて早く体を休めたいとか。

人生をすべて味わい尽くすという事は楽ちんな時や楽しい時だけを味わうことではない。

苦しいことや辛いことが目の前にあるときはそれを味わうことも必要だ。

今まではそうしてこなかった。

逃げたり、ズルしたり、目をつむっていたり、気持ちはどっかに飛んでいたり。

歩くこと、一歩一歩大事に歩くこと、それを心がけた。

でも、すぐにどれくらい進んだろうかなんて浮かんでくる。

言うは易し行うは難し。

それでも今目の前で起きていることを味わうことに何度でも意識を向き直して最後まで歩いていこうと思った。

この路を歩く意味を考えているが、後どれくらい歩いたら何を感じるか、歩き終わったらどう感じるか、何年後かに意味が分かるのかも、なんて考えたりしてた。

でも、今の一歩、その瞬間に感じるモノが全てなんだと思った。

その積み重ねが最後のゴールの重みになるのだろう。

あと何キロとそちらに意識を取られてはその積み重ねも薄っぺらになってしまいかねない。

 

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夕方に今日の目的地の街についた。

小さな街だ。

アルベルゲを探す。

事前情報だと二軒ある。

一軒目は街のすぐ入り口で見つかったが開いていない。

もう一軒を探すと、街の外れにあった。

ベルを鳴らす。

返事がない。

押しても引いてもドアは開かない。

おぉ、開いてない。

ドアの前に座り込み、タブレットを開きいて情報を確認する。

次の街までは5km。

もしそこが開いていなければまたプラス9km。

うー、歩くか。

歩くしかないな。

でもとりあえず水を補充したい。

カフェを探しに行こう。

そう思った矢先、建物の上から女性の声がした。

「ALBERGUE?」と声をかけてくれた。

イェス、イェスっす!!

いた!良かった!

どうやらベルには気付かなかったようだ。

でも外に座り込んでいるのによく気づいてくれた。

宿では他に巡礼者の姿は無く、久しぶりに一人の宿泊だった。

 

今日歩いた距離 25km

今日までの合計距離 528.7km

サンティアゴまで残り 325.7km