Louis

2020年初夏に『Theory of Love』『SOTUS』をきっかけにタイドラマを…

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2020年初夏に『Theory of Love』『SOTUS』をきっかけにタイドラマを見始めました。 そのほか海外ドラマや映画、小説などの感想を、一部ですが雑多に。

最近の記事

しなやかに恋をする(『BAD BUDDY』感想)

ずっと初夏の風が吹いているような、爽やかな見心地の作品でした。 全編にわたりほぼ二人の関係だけに焦点が絞られていて、爽やかに軽やかに二人だけを追う感じ。 Yシリーズのヒット作をたくさん送り出してきたGMMならではというのか、Aof監督の進化系なのか、また一歩、Yシリーズというものが変化したような気がします。 「歓迎されない・阻まれるもの」だったのが、「受け入れてもらえるもの」になり、そして今作では「周りがどうであれ変わらないもの」になるーーしかもそれが肩肘張って逆風の中で貫

    • 恋の終わり(『I Promised You the Moon』感想)

      率直に言って前作『I Told Sunset About You』とは別物でした。 主役は同じ人物だけれど、それ以外がまったく違う。見心地が違う。 ITSAYを期待して見たら戸惑いしかないと思います。けれど、意図して別物にしたのだなとも感じたので、違う作品としておもしろく見ました。 移りゆくもの同じ1時間×5話構成でITSAYが推薦入試から一般入試までの短い時間を切り取ったのに対し、IPYTMは1話で1年を描き、飛ぶように時間が過ぎていきます。当然テーマも見どころもまったく

      • 殺人者の生まれるところ(『Remember You』感想)

        人生って誰のものなのでしょうか。 育ててくれた人がいて、その人がいなかったら今の自分はないとして、でもそれって、今生きているのはその人のおかげなのでしょうか。 人生はただ一人、自分だけのものなのではないでしょうか? 上質なサスペンス次々に殺人事件が起こり、凄惨で暴力的なシーンも数多くありますが、それらに耐性がある方には是非おすすめしたい、とてもよくできたサスペンスでした! 主人公であるタンワとアーイのペアが因縁の殺人犯・パトムカーンの真実を追う話でありながら、数話ごとに別

        • また次の一歩を(『tick,tick...BOOM!』感想)

          2006年の日本公演を見てからずっと大好きな作品が、NETFLIXで実写映画化されました! ミュージカル『RENT』の作者であるジョナサン・ラーソンが、まだ何者でもなかった頃――夢と現実の狭間で葛藤する30歳前夜を描き出した自伝的ミュージカルです。 後の『RENT』へ繋がっていく世界観やテーマでありながら、『RENT』がエンタメとして昇華されているのに対して、こちらはもっと粗削りでリアル。生々しい感情がストレートに胸に届く作品です。 夢を追う 舞台は1990年のニューヨ

        しなやかに恋をする(『BAD BUDDY』感想)

        • 恋の終わり(『I Promised You the Moon』感想)

        • 殺人者の生まれるところ(『Remember You』感想)

        • また次の一歩を(『tick,tick...BOOM!』感想)

          “推し”という重力(『推し、燃ゆ』感想)

          私はオタクですが、推しを持ったことはありません。ジャンル全体や作品そのものにはまる性質が強いためです。 けれどタイ沼に出会って変化がありました。作品だけでなく俳優さん自身にも興味を引かれ、そちらにも時間を費やしています。 そんな今だからこそ、この作品が理解できるのではと思いました。 ……この小説は、やはり“推し”がいる人にこそ届く作品だと思います。 自分を生かすもの推しが炎上するって、一体どんなセンセーショナルな事件が起こったのだろう? そう思ってページを開くと、1行目

          “推し”という重力(『推し、燃ゆ』感想)

          神様がくれたアディショナルタイム(『The Shipper』感想)

          簡単に言うとこういうストーリーですが、これだけでは語りきれない魅力がたくさん! 一方的に妄想していた相手の体に入ってしまったことで彼の本当の姿を知ったり、思いもよらない人に好かれたり――という入れ替わりものの王道はしっかり押さえつつ、友情、恋愛、兄弟愛、親子愛などたくさんの愛、そして「Shipper=カプ推し」についても深く表現されている、大好きな作品です。 パンがつないだ時間この物語の主人公はキムの体に入ったパンで、キムの登場シーンは過去回想がほとんどです。 それにもか

          神様がくれたアディショナルタイム(『The Shipper』感想)

          この一大コンテンツに前知識ゼロで小説から入ってみた。(小説『魔道祖師』雑記)

          タイドラマを知る前から『陳情令』の評判はずっと聞いていました。が、「全50話」という響きに尻込みして手を出せずじまい。 このたび原作の翻訳小説が発売されたのを機に、やっとその一端に触れることができました! 私にとっては全50話のドラマより2段組×分厚い4巻の小説の方がハードルが低かったのですが、これだけメディアミックスされている人気作に敢えて原作小説から入る層は果たしてどのくらいいるのでしょうか⁉😂 結果読み終えて考えた結果、このコンテンツに興味がある場合は、やはりドラマ

          この一大コンテンツに前知識ゼロで小説から入ってみた。(小説『魔道祖師』雑記)

          息を呑む映像美と剥き出しの感情と。(『I Told Sunset About You』感想)

          この作品を賛美する言葉は、きっとたくさんあると思います。 青春の爽やかさも、エモーショナルな感情も、エロティックな淫靡さも、温かな笑いも、絵画のような美しさも、存在感のある音楽も――すべてを一皿に載せて一続きに流れるように表現している、私はそんな作品だと感じました。 美しさの中に息づく生身の感情全5話で正味6時間半……基本、美しい画面しかありません! どのシーンも、構図、光の陰影、家具や小物の配置、洋服の色に至るまですべてに神経が張り巡らされていて、どこをどう切り取っても

          息を呑む映像美と剥き出しの感情と。(『I Told Sunset About You』感想)

          アイドルグループがはらむ闇(『THE DEBUT』感想)

          “アイドル”には求められる姿がある。 清廉潔白、ファンが恋人で、笑顔いっぱいのキラキラした眩しい存在。 ではそれが偽りだった時、それは裏切りなのか? 騙したのか? それとも信じたほうが悪いのか? ――断罪する権利はあるのか? あるとしたら誰に? アイドルグループの闇を描いた怪作日本語タイトルは『デビュータイム ~アイドルへの道〜』。 憧れのアイドルグループ“New Type”に加入し、選抜入りを果たしたファーン。しかし彼女は間もなく謎の死を遂げます。世間には心臓発作として

          アイドルグループがはらむ闇(『THE DEBUT』感想)

          『3 Will Be Free』一言感想

          設定がすごく好みで見始めた本作。 スピーディーで予測のつかない展開、魅力的な登場人物、多層的なテーマの提示、次々変わるロケーション……などなど、見どころがたくさんでした! その中でもラストについて、メモ程度ですが感想を。 三角形のかたちThree will be free. 自由を求めて生きる三人が、最後に何を手にするのか。 本作はずっと理想的な三角関係を見せてくれていたのですが、最後の最後で感じたのは、正三角形の三角関係は存在するのだろうか…?ということでした。 Sh

          『3 Will Be Free』一言感想

          キャラ萌えすると別次元(『SOTUS』感想③)

          特別にキャラ萌えしてなくても大好きな作品はごまんとありますが(というよりそれが大多数ですが)、キャラ萌えすると別次元になりますよね。……という話🤪 コングポップ初見時の1話から、ひたすらコングポップが好きすぎました…。かっこよすぎた…🤦 今でこそ「コングはヤバい」という意見を耳にして冷静に言動を認識できるようになりましたが、それでもやっぱりとても好き🤩 最初から…アーティットと恋人になった後も、ずっとブレないんですよね。育ちが良くて、愛されて育ったのが根底にあるがゆえの真っ

          キャラ萌えすると別次元(『SOTUS』感想③)

          選んだそこが居場所になる(『SOTUS』感想②)

          「SPECIAL SCENE」の効用『SOTUS S』には、各話の終わりに「SPECIAL SCENE」が付いています。 「何この萌えが具現化されたオマケ! 嬉しいしめちゃくちゃ萌えるけれども!!」と思って見ていたのですが、EP12の4/4で唐突に悟りました…壮大な伏線であった、と……。 コングポップが万感の思いを込めて歌い出したとき、私の脳裏にも、無印とSで描かれてきたこと、そして「SPECIAL SCENE」の日々が、走馬灯のように鮮やかによみがえりました。 ……二人の愛

          選んだそこが居場所になる(『SOTUS』感想②)

          最終回で滝のように号泣した話(『トッケビ』感想)

          それなりに長く生きてきて、頭がいい感じに固くなっている自覚があります。 「死ねない人間の話」「生まれ変わりもの」と思い込んで見始めて、頭の中で勝手に類型化していました。――「最終的にトッケビが愛を知って死ぬ話」なのだろう、と。 ……でもこの物語は、「死ねない人間の話」ではなく、「人でないもの」――「トッケビの話」だったんですね。それこそタイトルがすべてを表していた。 雷に打たれるようにそれに気づいた瞬間から、涙が止まらなくなりました。最終回の70分間、ずっと泣き続けていたよ

          最終回で滝のように号泣した話(『トッケビ』感想)

          誠意は愛だ(『Theory of Love』感想)

          「誠意」という言葉は、身近なようでいて、口に出したり書いたりすることはそう多くないのではないかと思います。 意味も難しくないのに、なぜか使う頻度の少ない言葉。 それを、タイドラマやタイ俳優さんたちに触れて、大事なキーワードの一つだなと感じるようになりました。 一番最初に出会ったのが、『Theory of Love』のクライマックスシーンです。 KhaiがThirdに、3年間ずっと与えてくれた誠意こそ愛だ、と伝えます。 近しい間柄、気の置けない関係であればあるほど、素の自

          誠意は愛だ(『Theory of Love』感想)

          3年生と1年生で出会ったからこその物語(『SOTUS』感想①)

          『SOTUS』の好きなところ抱えきれないほどたくさんありますが、一つ挙げるとするなら、これです。 作品の根底にあるSOTUS制度の真髄が、とても深く刺さりました。 そしてそれを象徴するものとして、アーティットとコングポップの心の動きが丁寧に描かれていて、そこが本当に大好きです。 SOTUSとは「Seniority(敬意)」「Order(秩序)」「Tradition(伝統)」「Unity(団結)」「Spirit(精神)」の頭文字。 ラップノーン(「SOTUS制度」)と呼ばれ

          3年生と1年生で出会ったからこその物語(『SOTUS』感想①)