この一大コンテンツに前知識ゼロで小説から入ってみた。(小説『魔道祖師』雑記)
タイドラマを知る前から『陳情令』の評判はずっと聞いていました。が、「全50話」という響きに尻込みして手を出せずじまい。
このたび原作の翻訳小説が発売されたのを機に、やっとその一端に触れることができました!
私にとっては全50話のドラマより2段組×分厚い4巻の小説の方がハードルが低かったのですが、これだけメディアミックスされている人気作に敢えて原作小説から入る層は果たしてどのくらいいるのでしょうか⁉😂
結果
読み終えて考えた結果、このコンテンツに興味がある場合は、やはりドラマ版『陳情令』から入るのが推奨されるのでは…?という結論に達しました。笑
とてもおもしろくて夢中で一気読みしたのですが、この世界観やストーリーを美しい映像・音楽・役者陣で堪能できるところに、更なる付加価値があるのでは?と想像します。
(『陳情令』を見ていないのですべて一個人の空想ですが…)
小説『魔道祖師』の好きなところ
『魔道祖師』には、魅力的な登場人物、主人公二人を取り巻く陰謀や戦い、正義と悪の衝突など、たくさんの要素があります。
でもやはりこの物語の中心は、二人の愛なのだと思います。
恋愛感情を自覚しないうちからずっと引力みたいに惹かれ合っていた幼なじみ二人の永い愛の物語で、それこそが主題なのだと。
1巻を読み終えた辺りでは、めっちゃ古代中華アクションファンタジーだな⁉ラブはどこ⁉と思っていたはずなのに、その後二人が辿る過酷な運命も見てきたはずなのに、それでもすべて読み終えると、不思議と、15歳の頃からの変わらない二人が――笑顔で藍湛にじゃれつく魏嬰と、美しい無表情でそれを受け入れる藍湛の姿が――思い浮かびます。
藍湛のことを大好きな魏嬰がかわいいし、藍湛の見た目も好きなところも最高にいい。
藍湛が笑う描写は数えるほどしかないけれど、その笑顔は絶対に魏嬰によってもたらされるものだし、それを見て心底嬉しそうな魏嬰、という描写が大好きです。
優しさと信念ゆえに引き返せない道を進むしかなかった魏無羨の運命、止められなかった藍忘機の悔恨……と、つらく悲しい出来事もいくつもあります。
でも、それよりも愛の描写が勝っていて、そんなところが多くの人を惹きつけるのかなと思いました。
ドラマ『陳情令』を想像してみる
さて、これが実写映像化されているということで…。
映像で見てみたいシーンはたくさんあります!
まず何より「忘羨」が聴きたい!
2巻の表紙にもなっている、雲夢の邂逅での楼台から花が降るシーンが見たい。
屈託なく笑う魏嬰も見たいし、誰にも気づかれないくらい密やかに微笑む藍湛も見たいです。
何より、一番印象的で大好きなのは、木から落ちる魏嬰を藍湛が受け止めるシーンと、クライマックスで重ねて描写される棺から飛び下りるシーンです。
落ちることなどちっとも怖くはなかった。これまでの長い歳月の中で、数えきれないほど落ちてきたからだ。けれど、何度繰り返しても地面に落ちる痛みは変わらなかった。(4巻P.33より)
二人の関係を象徴するこのシーンは果たして映像化されているでしょうか?
おもしろいと分かっている作品が、評判のいい映像作品としても見られるなんて、とても贅沢なことですね!
余談
既に何百回も言われていると思いますが、『魔道祖師』は日本のとある小説シリーズと、設定の一部に共通点があります。
設定が近いので、二人が辿る運命や顛末にも自ずと似てくる部分があるのですが、同じ状況になっても描写される感情は全然違ったり、このシーンは敢えて書かずにすっ飛ばすんだ⁉という驚きがあったり。
みんな違ってみんないい……と興味深く読み進めていてある時はたと気づいたのですが、そもそもキャラクターが違うし、書かれた時代も国も異なるのだから当たり前ですね!
そんな単純なことに改めて気づかされたりして、なかなか出来ない読書体験でした。
★2021年8月読了
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