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選んだそこが居場所になる(『SOTUS』感想②)

「SPECIAL SCENE」の効用

『SOTUS S』には、各話の終わりに「SPECIAL SCENE」が付いています。
「何この萌えが具現化されたオマケ! 嬉しいしめちゃくちゃ萌えるけれども!!」と思って見ていたのですが、EP12の4/4で唐突に悟りました…壮大な伏線であった、と……。
コングポップが万感の思いを込めて歌い出したとき、私の脳裏にも、無印とSで描かれてきたこと、そして「SPECIAL SCENE」の日々が、走馬灯のように鮮やかによみがえりました。
……二人の愛と絆の軌跡を見せてくれていたんですね😢
大丈夫だよ、愛がこんなにあるから乗り越えられるよ、と…。

このシーン、回想の映像が入らないところもすごいなと思いました。素人考えでは入れたくなってしまいそうなところを、グッとこらえての敢えての演出なのかなと思います。その分、視聴者の脳裏にはクッキリと過去の日々がよみがえる、と……。
コングがただ一人のためだけに歌っていて、その優しい歌声と歌詞も相まって、胸がいっぱいになる大好きなシーンの一つです。

青春を描く

『SOTUS』は、タイトルが示すとおり大学生活と切っても切り離せない物語です。
けれど、大学は時期が来たら出て行かなければなりません。不安だし、心細くもなる。それは彼らが絆を感じているから――大学とお互いの存在に。
……彼らが大学を愛している気持ちが好きです。相手の存在が大学生活とイコールなのも好きです。長い人生の貴重な学生時代を、尊い一瞬の煌めきとして描いているのも大好きです。

Sのラストで、トードとアーティットは部署に残ることを選択しますが、そこがとてもグッときました。
アーティットの美点は大学時代から変わらなくて、何事にも全力で取り組むから、そこがホームになるんですよね。大学を自分の居場所として愛して大切にしたように、ちゃんと会社も彼の居場所になっている。こういうところが、本当に尊敬するし見習いたいし仕事頑張らなきゃ、と思わせてくれました。

そして、アーティットが前向きに努力ができる人だと誰よりも知っているからこその、EP12 4/4のコングのスピーチが……泣けるんです……😢
「大学だろうと会社だろうとどこでも、全力を尽くせる、自分らしくいられれば幸せになれる」。最上級のエールで、はなむけの言葉だなと思いました。

物語の舞台が大学から会社へと移っても根底にあるテーマは変わらなくて、二人の恋愛だけでなく、人と人とのつながりを、大切な場所を、作っていく物語でもあるのだなと思います。

二人の未来

Sのラストで、とうとうコングポップも卒業します。
大学を巡りながら思い出を振り返るシーンでは、彼らの4年間が終わった……と胸がいっぱいになります。

前出の「SPECIAL SCENE」には、きっと別の意図も含まれていたんですね。
二人の愛と絆の日々を見せると同時に、平和で閉じたコミュニティである大学と、時に予測不能な荒波が押し寄せてくる社会人生活とを、おそらく対比で見せていた。

……二人が出会って、思い出をたくさん重ねた大学を離れることは切ない。この先、二人が同じコミュニティに属することは、もうないかもしれません。
けれど、この二人ならば、誰とどこにいて何をしようと、そこを自分の場所にしていける。別々の居場所を持ったとしても、帰る場所は永遠に同じ……。
絶対に大丈夫なんだ、と、幸せな気持ちで見終えることができました。

変わるもの、変わらないもの、真心を贈り合って人との絆を育てていくこと、誰かを大事にする努力をし続けること……。
尊いものがたくさん詰まった、本当に素敵な物語です✨


★2020年8月視聴、原作未読
★画像 cr.GMMTV(YouTube)

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