菩薩の実践
慈悲行。
すなわち菩提心を元手に進む修行は諸々の功徳と果報を正しく生じしめる。
ここにその心得。
またその具体的かつ実践的修行法を記すこととする。
菩提心の称賛。
諸々の功徳と果報とを生じしめる。かの偉大なる宝。すなわち菩提心は。殊勝なる心を以て一切衆生を安らかに引き上げる。不死の霊薬である。
偉大なる宝は諸々の功徳と行いの果報として遥かなる実践の果てに生ずるものである。この偉大なる宝は過去世からの膨大な慈悲行の果てに生ずるものであり。それはおいそれと手に入るものではなく。また欲しても容易く手に入るものでもない。よってこの殊勝なる心。すなわち菩提心を。得にも得難き山の如し財宝だと捉え。その宝なる心を決して離さず大切に保管せよ。
菩提心が如何に得難いものかを理解することが修行の始まりである。諸々の菩提行は菩提心を基盤として進みゆく。汝に限りない幸福を与える全ての因は菩提心であり。菩提心なくして修行は完成し得ない。よってこの殊勝なる心。すなわち菩提心を甚だ堅固に保ち。決して捨て去ることなく正しく修行せよ。
菩提の基盤を理解した汝は次に教学に励むがよい。
教学。
すなわち諸々の功徳の果報を知り。諸々のカルマの法則を学び。諸々の世界の在り方を学び。如何にしてこの世から救われるのか。また如何にしてこの世が苦であるか。また如何にしてこの世の全ては動いているのか。あらゆる聖典聖者の御言葉を学ぶがよい。
そこには正しき生き方が記載され。正しき言葉が記載され。正しき諸々の行いが記載されている。汝もまたその聖典に書かれている通りに修行と実生活に励むがよい。
菩提の真髄を解き明かしたる聖典。
すなわち入菩提行論は菩薩の宝である。
かの聖典に説かれている通り菩薩の実践基準に従い菩提の道を歩むがよい。
そこには菩薩行の全てが記されている。
あれほど優れた経典はこの世に存在せず。
あれほどまでに的確に菩薩の行いを文章化したものもない。
よって汝は入菩提行論を座右の書と定め。諸々の教学に励むがよい。
教学を修めた汝は次に思索の実践に入るがよい。
思索とは。
諸々の苦しみの生起を探り。諸々の苦しみの在り方を探り。諸々の苦しみを滅する道を探り。諸々の苦しみのありとあらゆる行く末を模索することである。
何を以て苦とするか。人は何処から生まれ何処にゆくか。何処に苦しみのない場所があろうか。苦しみから逃げる道はあるのか。この世は如何に苦しみで満ちているか。身体を得た目的は何か。人生の意味は何か。この言葉の意味は何か。諸々の思索により汝の心は正しく真理に向かうだろう。
目的は何か。
汝自身の幸福か。それとも衆生の救済か。はたまた霊的果報の獲得か。如何にしてそれらを得られるか。そのことを深く熟考せよ。
無頓着に考えを捨て去れば。汝は過去世からの習性に流され。あたかも動物のように煩悩を貪り。無知であり。不和であり。怒りを生じ。他者を嫌悪し。憎悪し。動物的習性と彷徨いの餓鬼の如く。あらゆるものを貪り。また地獄の住人達のように。心は殺伐とする。当然のことながら。それらの行く先は悪趣であり破滅である。過去世からの習性を頼りとするならば。必ず悲惨な結末が待ち受けるだろう。そのことを深く熟考せよ。
思索を修めた汝は次に瞑想の実践をせよ。
瞑想とは。
慈悲の獲得と実践である。
ただ座るだけが瞑想ではなく。ただ静まるだけが瞑想ではない。瞑想には形ある瞑想と形なき瞑想がある。形なき瞑想は形ある瞑想の果てに生ずるものであり。修行の初めから形なき瞑想に入ることは不可能である。もし汝が形なき瞑想に自らが入っていると思うのなら。それは無思考という概念を瞑想しているに過ぎない。本物の無思考は潜在意識の遥か果てに無限の空間と無限の意識を携えてやってくる。それは汝が考え得る無思考とは随分と違うものである。
よって汝は形ある瞑想に入らなければならない。修行が進むまでは絶えず形ある瞑想を実践せよ。それが汝の心に多大な果報を生み出す。そしてその要因となるものが菩提心と慈悲である。
慈悲とは哀れみである。
この世は苦で満ちている。
よってこの世の全てに慈悲を向けよ。
さすれば汝の心は容易く慈悲の幸福に浸かるだろう。
哀れみは心を清浄とする。
他者を敬い哀れみなさい。
他者の幸福を願い喜びなさい。
他者の苦しみを自分の苦しみとしなさい。
他者の不幸を共に悲しみなさい。
他者の願いを叶えるバンヤン樹となりなさい。
他者の苦しみを背負って立ちなさい。
他者に余すとこなく幸福を与えなさい。
自らの楽を喜ばす。
他者の幸福だけを想い考えなさい。
自分と他者の価値を逆転させなさい。
自他転換は大乗の秘宝です。
自分のことはどうでもいい。
ただあなたが幸せになってください。
このような姿勢を取れるように日々慈悲行の実践に励みなさい。
全ての苦しみは私へ。
全ての幸福はあなたへ。
私はただあなたの為に仕えましょう。
私はただあなたの幸福の為に瞑想しましょう。
私はただあなたの幸福だけを願っています。
私の全てをあなたに捧げる。
あなたの幸福が全て。
私のことはどうでもいいのです。
世界の全てが幸福でありますように。
世界の全てが平安でありますように。
世界中の人々が一人残らず幸福に浸かれますように。
誰一人として見捨てることがありませんように。
如何なる者も救われますように。
決して衆生を見捨てることなく。
全ての者が等しく慈愛の光に包まれますように。
世界中の人々に幸福あれ。
世界中の人々の苦しみを取り除きたい。
我が功徳を用いて全ての厄災を滅ぼしたい。
凍える者には暖かい毛布を。
飢える者にはお腹一杯の食物を。
嘆く者には心からの安らぎを。
悲しむ者には慈愛の御手を。
如何なる者にも与え尽くしたい。
如何なる者も見捨てること叶わず。
誰一人として見捨てられず。
私はただ全ての者を愛し哀れむ。
一切衆生幸福に栄えよ。
一切衆生安らかに救われよ。
汝仏陀の子なり。
救われよ。
救われよ。
慈悲の輝きに救われよ。
心開けば仏陀がおわす。
仏陀の至福に酔いしれよ。
仏陀の栄光を讃えよ。
全ては仏陀の現れである。
全ては仏陀である。
仏陀を讃えよ。
仏陀を讃えよ。
限りない慈悲の御方を讃えよ。
限りなき智慧の御方を讃えよ。
仏陀が救済の長である。
仏陀が一切衆生の救い主である。
仏陀に全てを差し出せ。
仏陀を心から信じよ。
仏陀に限りなき敬愛の心を持て。
仏陀への愛が全てである。
仏陀こそ真に完成された唯一の御方である。
仏陀を讃えよ。
そこに全ての真実があるのだから。。。
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