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2022年12月の記事一覧

【随想】小説『タイタンの妖女』 	カート ヴォネガット ジュニア

【随想】小説『タイタンの妖女』 カート ヴォネガット ジュニア

語ることが難しい小説だ。
読後感もなんとも言えない。
遠く遠くマラカイコンスタントと一緒に
旅をしてきたような気持ち。
なんとなく予想できる展開と、
そもそも予言された通りに進む物語に、
途中逸脱や偶然性を求めている自分がいた。
ランジャタイやヨネダ2000の漫才には
予測不可能性があるから楽しい。
この小説は、とても理知的なのだろう。
皮肉やユーモアの部分については、
あまりちゃんと理解できてい

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【随想】小説『楽園のカンヴァス』原田 マハ

【随想】小説『楽園のカンヴァス』原田 マハ

楽園のカンヴァス、読み終わりました。
アート小説(そんなジャンルはあるのか)は初めて。
ダヴィンチ・コードは、映画で観たのだっけな。
なかなか最初はとっつきにくく、1章ごとにゆっくりと読み進めた。
アンリ・ルソーにまつわるお話。
アンリ・ルソーの絵で好きなのは、《カーニバルの夜》と《フットボールをする人々》。
《カーニバルの夜》は、なんだか絵葉書かなんかを買ったような記憶がある。
この物語にその2

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【随想】小説『名も無き世界のエンドロール』行成 薫

【随想】小説『名も無き世界のエンドロール』行成 薫

『名も無き世界のエンドロール』を読み終わった。
書評にあるように「企み」という言葉が相応しい小説。
登場人物も企むのだが、作者をもまた、読者に向かって企んでいる。
拠り所のない名もなき登場人物たちの、何気ない日常が活写される。
記憶を断片的に思い起こすように、時間軸はまっすぐ進まない。
それはまるで、ビデオカメラで撮影されたホームビデオを、ランダムにテープチェンジしながら眺みるようだ。
主人公の一

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【随想】小説『羊と鋼の森』宮下奈都

【随想】小説『羊と鋼の森』宮下奈都

羊と鋼の森を読んだ。
本屋大賞受賞作という。
今までどんな作品が本屋大賞を獲ってきたのだろう。

2004 『博士の愛した数式』小川 洋子
2005 『夜のピクニック』恩田 陸
2006 『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』リリー・フランキー
2007 『一瞬の風になれ』佐藤 多佳子
2008 『ゴールデンスランバー』伊坂幸太郎
2009 『告白』湊かなえ
2010 『天地明察』冲方丁
2

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