2022年12月の記事一覧
【随想】小説『タイタンの妖女』 カート ヴォネガット ジュニア
語ることが難しい小説だ。
読後感もなんとも言えない。
遠く遠くマラカイコンスタントと一緒に
旅をしてきたような気持ち。
なんとなく予想できる展開と、
そもそも予言された通りに進む物語に、
途中逸脱や偶然性を求めている自分がいた。
ランジャタイやヨネダ2000の漫才には
予測不可能性があるから楽しい。
この小説は、とても理知的なのだろう。
皮肉やユーモアの部分については、
あまりちゃんと理解できてい
【随想】小説『名も無き世界のエンドロール』行成 薫
『名も無き世界のエンドロール』を読み終わった。
書評にあるように「企み」という言葉が相応しい小説。
登場人物も企むのだが、作者をもまた、読者に向かって企んでいる。
拠り所のない名もなき登場人物たちの、何気ない日常が活写される。
記憶を断片的に思い起こすように、時間軸はまっすぐ進まない。
それはまるで、ビデオカメラで撮影されたホームビデオを、ランダムにテープチェンジしながら眺みるようだ。
主人公の一