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【随想】小説『羊と鋼の森』宮下奈都

羊と鋼の森を読んだ。
本屋大賞受賞作という。
今までどんな作品が本屋大賞を獲ってきたのだろう。

2004 『博士の愛した数式』小川 洋子
2005 『夜のピクニック』恩田 陸
2006 『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』リリー・フランキー
2007 『一瞬の風になれ』佐藤 多佳子
2008 『ゴールデンスランバー』伊坂幸太郎
2009 『告白』湊かなえ
2010 『天地明察』冲方丁
2011 『謎解きはディナーのあとで』東川篤哉
2012 『舟を編む』三浦しをん
2013 『海賊とよばれた男』百田尚樹
2014 『村上海賊の娘』和田竜
2015 『鹿の王』上橋菜穂子
2016 『羊と鋼の森』宮下奈都
2017 『蜜蜂と遠雷』恩田陸
2018 『かがみの孤城』辻村深月
2019 『そして、バトンは渡された』瀬尾まいこ
2020 『流浪の月』凪良ゆう
2021 『52ヘルツのクジラたち』町田 そのこ
2022 『同志少女よ、敵を撃て』逢坂冬馬

最近ほどあまり知らない。
2016年の受賞らしい。
なかなかマニアックな本が大賞を獲るんだなと思った。
本好きが決める賞らしいといえばらしい。
ピアノの調律師の成長を追う物語。
サスペンスもミステリーもない。
ただ淡々と、調律師の自己成長のエピソードが、積み上げられていく。
その文章は、軽やかで読みやすく、透明だ。
鋭利な言葉も、乱暴な言葉も出てこない。
丁寧に、優しい言葉が紡がれていく。
物語にも、登場人物にも、
あまり感情の浮き沈みが描かれないけれど、
主人公の思考流れが、とてもピュアに瑞々しく描かれる。
映像化は難しいだろうな。
星座と鍵盤の関係。羊で作られたピアノ。440ヘルツ。平均律と純正律。
まるで真善美を描こうとしているようだ。
また、ピアノの奥深さを、物語を通して知ることができた。
この本を読んだ後は、もう以前のようにはピアノは聞けない。
録音されたものでは、まず物足りないだろう。
読後に、耳が良くなる小説。
羊と鋼の森を散策してみては。


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