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2022年9月の記事一覧

【随想】CMレビュー④『すき家/LEGO/GUCCI』

【随想】CMレビュー④『すき家/LEGO/GUCCI』

石原さとみがただただおいしそうに「すきやき牛丼」を食べるCM。
1カット長回しの力技。CMに余計な言葉は要らない。
人がおいしそうに食べている表情と「幸せ」のひと言さえあればいい。
最初は店の外からのロングショット。
ふと見かけたお客がこんなにおいしそうに食べて居たらつい店の中まで足を運んでしまうのでは?
という気持ちを込めたクローズアップ演出でしょうか。
それにしても、ガラス窓はどうやってすり抜

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【随想】小説『希望の糸』東野圭吾

【随想】小説『希望の糸』東野圭吾

久しぶりに小説を読んだ。
希望の糸。
東野圭吾もだいぶ久しぶりだ。
読んでいて、徐々にその語り口を思い出した。
無駄のない、あざとさのない、嫌味のない、
押し付けがましさのない文章。
たんたんと事実と会話を積み重ねていく。
悪く言えば、無味乾燥。
だがそれでも、人の複雑な感情の機微を活写する。
そういえば、思い出した。
ミステリーなど、書く作家ではなかった。
人間心理を書くための材料として、
事件

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【随想】気になる個人アニメ作家三選①

【随想】気になる個人アニメ作家三選①


ニヘイサリナ

異国情緒。なんだか藤田嗣治を思わせますね。
抑制された線と色。
ふいに訪れる唐突な展開と機敏なモーション。
繰り返される静と動の明らかなる猟奇性に、
知覚と感性がかき乱されること間違いありません。
公式HPには、他にも色んな作品が載っていますが、『Rabbit’s Blood』が一番最初にショックを受けた作品でした。

山田遼志

『ハンター』という作品が一番分かりやすいですね。

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【随想】CMレビュー③『早稲田アカデミー/Burberry/西武園ゆうえんち/松屋』

【随想】CMレビュー③『早稲田アカデミー/Burberry/西武園ゆうえんち/松屋』

これは何度見ても泣けるCMですね。
普通はCMとして押しつけがましくなるのを、
このCMはすんなりと受け入れられる出色な出来です。
短編映画を観たような満足感が得られます。
同じ出来事も、見る人によって全然違っていること。
冒頭30秒でママ視点、次の50秒で息子視点での伏線回収。そしてラスト10秒でママと息子の未来への期待。
無駄なく描き切る圧巻の90秒を堪能あれ。

なんとも美しく、今までに見た

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【随想】CMレビュー②           『ホームズ/サントリー/SCSK/STAGE:0』

【随想】CMレビュー② 『ホームズ/サントリー/SCSK/STAGE:0』

たまらないですね。
CMの中に謎が隠されているなんて。
2周も3周もして、まんまと広告の餌食になりました。
CMはどんどんこういうコンテンツになっていくんだろうなぁ。
きてます、きてます。

4:3の画角で、チャップリンを模したモノクロのサイレント映画のWEB広告なんて、つい見てしまいましたね。
しかも、クイズ形式。
マリックのCMと同じで、ムービーの中に謎解きの要素があります。
エガちゃんCMお

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【随想】CMレビュー①『cognavi/モスバーガー/サントリー/大和ハウス』

【随想】CMレビュー①『cognavi/モスバーガー/サントリー/大和ハウス』

「惑わされるな、人の主観に。」
人事担当には刺さりそうなメッセージですね。
アムロが「スキルを見るんだ」と言うと、
バーチャルリアリティがプログラム(システムエンジニアのスキル)に置き換わっていく演出が良いですね。

色遣いといい、世界観がとてもいいですね。
ただいったいどういうストーリーのか、さっぱり分かりませんでした。
商品のシズルを一切出さないのは、攻めていますね。
本編に隠されたパスコード

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【随想】映画『マリグナント』ジェームズ・ワン

※ネタバレアリス

マリグナントを見た。
さすが、ジェームズワン。
「ミスリード」と「灯台下暗し」の達人だ。
よく監督のやりたいことは処女作にすべてあるといわれるが、視聴者が誤った解決に至るまでしっかりと感情移入させる「ミスリード」も、時間をかけて間違った認識を植え付けて(洗脳)からの「灯台下暗し」による解放のカタルシスも、まるでSAWを見ているかのようだった。
マディソンが捕まった時、「本当に私

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【随想】映画『NOPE/ノープ』ジョーダン・ピール

【随想】映画『NOPE/ノープ』ジョーダン・ピール

※ネタバレアリス

期待値を上げすぎた。
もちろん面白いには面白かったのだが
「空飛ぶルンバ」の物語だったとは!
1番良かったのはチンパンジーの冒頭。
あのシークエンスが1番で、そこを後半で超えてくるところがなかった。
正直ここだけで監督の才能をすべて見せつけられた感じだ。
ジョーダンピールが初めてで、メタファーについて一切想像を巡らさず、フラットに見たのがまずかったのだろうか。
生物なのに、概念

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