見出し画像

【随想】小説『希望の糸』東野圭吾

久しぶりに小説を読んだ。
希望の糸。
東野圭吾もだいぶ久しぶりだ。
読んでいて、徐々にその語り口を思い出した。
無駄のない、あざとさのない、嫌味のない、
押し付けがましさのない文章。
たんたんと事実と会話を積み重ねていく。
悪く言えば、無味乾燥。
だがそれでも、人の複雑な感情の機微を活写する。
そういえば、思い出した。
ミステリーなど、書く作家ではなかった。
人間心理を書くための材料として、
事件と科学があるのであった。
東野圭吾の作品、特に加賀シリーズは、東京を舞台に自分にとっては見知った地域を描いてくれるので、視覚的なイメージを膨らませやすい。
どの作品を読んでも、
文字によるレトリックや詩情に頼るのではなく、
純粋なストーリーの中から自然と湧き起こる感情を大事にしているように感じる。
やはり今でも涙なしには読めなかった。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?