蒲郡の海は緑色
寄せては返す波の花
泡立ち弾けては
再び運ばれてくる
潮の香り
小さなカニたちが
岸壁の隙間から顔を出しては
僕と目が合えばそそくさと
逃げていく
挨拶もせずに
なんともまあ失礼な奴らだこと
次に見つけたら
捕まえてやらなければ
気が済まない
貝殻の破片が
積み重なって出来た
砂浜を歩くと
サクサクと小気味良い音がする
海鳥たちが空を旋回しながら
観光客が投げる餌を目当てに
飛び交いぎゃーぎゃーと
騒がしい
思い出の中の蒲郡の海は
青というよりは緑色で
観光客よりも
フナムシたちの数のが多くて
潮騒の中にちゃんと自然が
残っていて
僕の好奇心は岩場や
岸壁の隙間に向けられていた
服の裾をびしょびしょに
濡らしては親に怒られて
でも楽しかった感覚は
間違い無くて
今も僕は蒲郡の海を見ると
心惹かれあの頃の蒲郡を懐かしく思う