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空中滑走

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眠っていた散文ほか、ふと浮かんだ短文など
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2024年9月の記事一覧

『群衆』…心象散文

『群衆』…心象散文

1.
街を歩いている。何かの群れが流れてゆく。顔のようなものがついているようだが、なんだかよくわからない。
彼らは両手に四角い箱を抱えていて、その中の一人がわたしを見つけると、カクカクした微妙な笑みを浮かべながら、進行方向から逸れて、こちらへとやってくる。

 『サァ、アナタ、アナタモコノ箱ヲオ持チナサイ。コノ箱サエアレバ安心デス。素晴ラシイコトダ…。アァ、イイデスヨ、コレハ…。サァ、アナタモ早ク

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