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これこそ、コメディだ!『隣の席の中二病が、俺のことを『闇を生きる者よ』と呼んでくる』感想

中二病。

やっかいな事象です。

主に、中学二年生くらいにかかるとされ。

自分がどこか特別な存在ではないかと空想してしまう事とされています。

その結果。

どこか大人びた行動を取ったり。

不相応な格好をしたりと。

その言動は、様々です。

かくいう、私もそれになってしまったことがあります。

オリジナルの呪文を創作したり。

自分は、どこかの国の貴族の末裔だと信じたり。
(生粋の日本人であるにもかかわらず)

ホント。

ある意味、痛い記憶しかありません。

まったく、良い思い出です。(遠い目)

とはならず。

ただただ、恥ずかしい。

そんな思い出です。(涙目)


さて。

本日、ご紹介するライトノベルは、海山蒼介先生の『隣の席の中二病が、俺のことを『闇を生きる者よ』と呼んでくる』(2022年12月刊行)です。

うっ、右腕がうずく……! 呪文を唱えなくては……!



あらすじをどうぞ

今回もまた、「BOOK☆WALKER」さんより、あらすじを引用させていただきます。

もしや、お前も俺と同じ……殺し屋だというのか!?
第27回スニーカー大賞特別賞

秘密の任務を請け負って高校に潜入した暗殺者・黒木猫丸は驚愕した。
「待っていたぞ、私と同じ闇の世界の住人よ!」
謎の少女が他の人間とは一線を画するオーラで呼びかけてきて――
お前が俺の標的(ターゲット)“紅竜(レッドドラゴン)”なのか!? 
(※いえ、ただの中二病です)

寝言で猫丸の名を呼ぶのも、手作りのお弁当をお裾分けしてくるのも、普段は不敵で仰々しいくせに時折無邪気な笑顔を見せてくるのも、俺を油断させるためだとでもいうのだろうか……!

一方、紅音も勘違いしていた。
「私と同じ中二病の同志と巡り合えるなんて……」
(※いえ、本物の暗殺者です)

中二病と暗殺者。なにもかも違うのに「闇の住人」同士は惹かれあう!

隣の席の中二病が、俺のことを『闇を生きる者よ』と呼んでくる(角川スニーカー文庫) - ライトノベル(ラノベ)│電子書籍無料試し読み・まとめ買いならBOOK☆WALKER (bookwalker.jp)

というわけで。

本日のテーマは、「中二病」にまつわるコメディとなっております。


簡単にまとめると

この作品。

前にコメディじゃないと散々書いた作品(※)とは違い。

ちゃんとしたコメディとなっております。

※コメディじゃないと書いた感想については、以下を参照。

その内容といたしましては。

暗殺者である主人公、黒木猫丸は義理の父親から、ある依頼を受けます。

それは「紅竜(レッドドラゴン)」と呼ばれた殺し屋の抹殺。

そんな殺し屋が、とある高校にいることが分かります。

かくして猫丸は、殺し屋を隠滅するべく、転入生として学校に潜入します。

しかし、そんな初日。

自称で「紅竜(レッドドラゴン)」を名乗る中二病の女の子、竜姫紅音が現れて――。

といった、内容となっています。


この作品の魅力

なんといっても、中二病の女の子と、暗殺者である男の子との、会話のすれ違いです。

紅音が、自称で「紅竜(レッドドラゴン)」と名乗ってしまったがために。

猫丸は、本気で少女を殺し屋だと信じてしまいます

それも冷や汗を流して。

さらに、紅音が適当に発したニックネームも。

猫丸の暗殺者のコードネームであったり。

紅音が適当に授業で発した英訳も。

猫丸の手に掛かれば、侮辱した言葉に超変換されたりと。

お笑い芸人、アンジャッシュのコントを見ているかのような。

すれ違っているのに。

みごとに会話がかみ合っている構成になっています。

それが何より面白く。

また、真剣に中二病の言動を分析しようとする猫丸の行動に。

注目しつつも、笑ってしまう。

そんな作品となっております。


欠点について

ラストについてなのですが。

この作品。

キャラクターがそれなりに完成されているためか。

怒濤の展開がありません。

その結果。

「まだまだ冒険は始まったばかりだ!」

といった感じの終わり方となっているため。

少し、尻切れトンボとなってしまっています。

ですが、コメディであるため。

すれ違いに、集中していると考えると。

妥当な終わり方なのかもしれませんね。


最後に

久しぶりに、笑える作品に出会えたと思います。

ライトノベルは、様々なテーマがあるのですが。

笑える作品は、少ないと思います。

それは。

文章だけで笑わせるのは。

難しいということの現れなのかもしれませんね。

そう考えると、本作ですが。

中々にめずらしい、笑える作品となっているため。

是非とも、オススメさせていただきます。


最後まで、ご覧いただきありがとうございます。

この作品に、ご興味がありましたら、是非、手に取ってみてください。

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