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★児童・生徒指導58★生徒指導提要から考える その11(生徒指導の基盤)

今回も「生徒指導提要」を読んで、考察をしてみたいと思います。あくまでも、読んで感じたことや考えたことなどの、個人の一見解です。また、読み進めながら書いていくため、全体像を見通した内容になっていなかったり、解釈の仕方が変わっていったりする可能性もあります。

今回は「生徒指導の基盤」の部分を読み、考えをまとめていきます。ここでは、「教職員集団の同僚性」「生徒指導マネジメント」「家庭や地域の参画の3つの重要性について説明されています。その中でも、「教職員集団の同僚性」に焦点を当てていきたいと思います。

「教職員集団の同僚性」については、まず、

(1) 教職員の受容的・支持的・相互扶助的な人間関係
 組織的・効果的な生徒指導を行うには、教職員が気軽に話ができる、生徒指導実践について困ったときに、同僚教職員やスタッフに相談に乗ってもらえる、改善策や打開策を親身に考えてもらえる、具体的な助言や助力をしてもらえる等、受容的・支持的・相互扶助的人間関係が形成され、組織として一体的な動きをとれるかどうかが鍵となります。また、職能開発という点からも、教職員が絶えず自らの生徒指導実践を振り返り、教職員同士で相互に意見を交わし、学び合うことのできる同僚関係が不可欠です。

文部科学省「生徒指導提要」P29

と述べられています。

働き方改革がさけばれる学校現場ですが、生徒指導のためには教職員のコミュニケーションも欠かせない要素であると感じます。子どもたちのことに関する気付きや違和感を教員同士で共有し合うということは、「課題予防的生徒指導」の観点からも重要です。「学級の子どもたちのことは担任がどうにかする」という雰囲気もありますが、複雑化する子どもたちの課題に適切に応じていくためには、担任ひとりではなく複数の目や頭が必要になります。自分自身、「〇〇さんがこんなことを言っていた」という同僚からの話に7よって、その子を気に掛けておくことができたことがありました。大半は些細なことであるかもしれませんが、そのような教員同士のやりとりによって大きなトラブルを防ぐことができる場合もあるのではないでしょうか。

また、情報提供だけではなく、教員同士で指導の仕方を振り返る時間をとることができると、教員のひとりひとりの生徒指導の在り方はよりよいものになっていきます。学習指導について議論し合う場面は授業研究などで行われますが、生徒指導の在り方や指導の仕方について議論し合う機会は少ないのではないでしょうか。私自身、自分の子どもたちへの向き合い方について何かを指摘されると、緊張や恥ずかしさを感じ、自信を失ってしまうような感覚があります。単なる「ダメ出し」ではなく、「受容的・支持的・相互扶助的人間関係」に基づいた、指導の質の向上を目指すためのやりとりとして、生徒指導に関する議論も行われるべきであると思います。まずは、日頃から「あの声掛けは~だから、とても効果的だと思ったよ」「〇〇さんへの聞き取りはどんなふうに聞いていったのですか?参考にさせてもらいたいので」など、互いを尊重し合いながらコミュニケーションを増やしていくことが大切だと思います。

次に、

(2) 教職員のメンタルヘルスの維持とセルフ・モニタリング 生徒指導を実践する上で、教職員のメンタルヘルスの維持は重要です。生徒指導では、未経験の課題性の高い対応を迫られることがあります。自分の不安や困り感を同僚に開示できない、素直に助けてほしいといえない、努力しているが解決の糸口がみつからない、自己の実践に肯定的評価がなされない等により、強い不安感、焦燥感、閉塞感、孤立感を抱き、心理的ストレスの高い状態が継続することがあります。この状態が、常態化するとバーンアウト(燃え尽き症候群)のリスクが高まります。 それに対して、受容的・支持的・相互扶助的な同僚性がある職場であれば、バーンアウ トの軽減効果が期待されます。

文部科学省「生徒指導提要」P29,30

と説明されています。

上で述べたことともつながりますが、やはり重要なのは教員同士のコミュニケーションになると思います。

特に初任や若手の先生は当然ですが、初めて扱うような事例に直面することがあります。自分の考える通りに応じてみて、うまくいかなかったという経験をし、振り返りをすることで、自分の生徒指導の在り方が明確になっていったり、技術を向上させることができます。ただし、日常の子どもたちの課題やトラブルなど全てにひとりだけで向き合う必要はないと思います。子どもたちの課題やトラブルなどは多種多様であり、緊急度も大小様々です。それらに対して、まだ経験値の少ない先生たちがひとりで応じていくのは、相当な労力を要することでもあります。経験は、時間が進んでいくことで自然と蓄積されていくものです。「自分で対応できた」「ひとりで解決に導くことができた」という実感も大切なことではありますが、疲労困憊の状態に陥ることなく、今、笑顔で目の前の子どもたちに向き合うことも重要であると思います。そのためには、経験を積んできた先輩の同僚が、若手の先生(若手の先生だけとは限りませんが)に「不安感、焦燥感、閉塞感、孤立感」を必要以上に抱かせることがないようにサポートをする必要が出てくるのだと思います。

子どもたちには、「思いやりをもって」「助け合って」「コミュニケーションをとって」「協力し合って」などと言うのに、ときに同僚同士で思いやり、協力し合うことを忘れてしまうときがあります。自分のことで精いっぱいになり、助けを求めたくてもとても話しかけられる雰囲気ではないことを感じ、ひとりで抱え込み…。助けを求められても、つい余裕のなさを態度に表してしまったり、ぶっきらぼうになってしまったり。私自身、周りの人に助けを求めることが苦手であり、自分のことで常に精いっぱいになってしまうことが多かったと思います。そんな自分でも、人に恵まれ、助けの手を差し伸べてもらい、気に掛けてもらいながら、徐々に成長してきたのだと感じます。このような記事を書いておきながら、自分が周りの同僚にできたことは本当に少ないなと感じます。

先生方はもっと、互いに仲間であることに意識的になってもよいと感じます。子どもと教師は敵同士ではなく、仲間。教師と教師も敵同士ではなく、仲間。教師と保護者も敵同士ではなく、仲間。コミュニケーションをとり、関わっていけば、だんだんと「目指したい同じ目的がある」ということが分かっていくのではないでしょうか。仲間として、手をとりあえる関係性でありたいと思います。


ここまでお読みいただきありがとうございました。