シナモンパン

毎週、シリーズものと読み切り作品を、1つずつは更新していく予定です。 気ままに書くので…

シナモンパン

毎週、シリーズものと読み切り作品を、1つずつは更新していく予定です。 気ままに書くので、皆さんも気ままに楽しんでください。 今のところは全作品無料で公開する予定ですが、気が向いたらお金をせびるようになるかもしれません。 僕の気が変わる前に最新話まで追いつくことをお勧めします。

最近の記事

学会遠征編ショート版 第48話 癒し

羽田脱出  もう日本語が通じる場所だ。恐れることは何もない。まずはスーツケースを回収しに行った。あのベルトコンベアを見るのは少し好きだったりする。あのスーツケース1周したな、と回転寿司屋の人気のないネタを見守るような気分になれるからだ。僕のスーツケースにはシマエナガのストラップ"シマシマ"がついている。大切な我が子だ。コンベアが4,5週ほどしたのを見届けたところで息子がやってきた。いつみてもかわいいシマエナガだと思っていたら、全身黒ずんでいた。飛行機の中でごみなどが付いたの

    • 学会遠征編ショート版 第47話 ただいま

      飛行機  3連続シートのいちばん窓側のシートなので、移動するにも一苦労である。トイレも我慢しようかと思ったが、これから寝ていきたいというのにおねしょの心配をしながら5時間耐えるというのはさすがに困難だ。トイレには適宜行くことにした。ついでに広い場所に出れば大きく伸びもできるので、筋肉的にもありがたい。ゆっくり寝ようとした。  当然ながら寝られなかった。体中から緊張をほどいて、副交感神経を優位にさせようと思えば思うほど逆に睡眠からは遠ざかっていった。目がぱっちりするわけではな

      • 学会遠征編 7日目 敗走

        はじめに この記事は学会遠征編 6日目 タイの学会|シナモンパン (note.com)の続きです。まだ読んでいない方はこちらも確認してみてください。シリーズ化しているので、最初から読むと話が分かりやすいかと思います。以下常体 学会遠征編 1日目 徳島への移動日|シナモンパン (note.com) 学会遠征編 2日目 徳島の学会と鳴門の渦|シナモンパン (note.com) 学会遠征編 3日目 徳島観光|シナモンパン (note.com) 学会遠征編 4日目 淡路島観光と明

        • 学会遠征編ショート版 第46話 さらばバンコク

          搭乗  18時を過ぎたあたりで国際線の搭乗手続きを始めた。帰りもJALなので、スマホでチェックインした。もう荷物の預け入れも慣れたものである。しばらくスーツケースとはお別れだ。荷物を再三確認し、預け入れた。じゃあな、しましま。スーツケースにつけたシマエナガのストラップ"しましま"がまた僕を呼んでくれることだろう。搭乗までもうしばし待たなければいけない。まずはとりあえず明日の予定の確認からだ。明日は昼にクゥちゃんと会う。そのための手土産はもう用意してある。命のあるものがいいと

        学会遠征編ショート版 第48話 癒し

          学会遠征編ショート版 第45話 エアポートレールリンク

          乗車、そして空港へ  なんとか駅までたどり着くことができた。時刻は既に13時を超え、最も暑い時間帯になろうとしている。そんな過酷な状況下で地下の涼しいエリアに行けるのはなんとありがたいことか。ここでごはんでも食べておきたいところだ。それなりにレストランはあったが、韓国料理屋や中国料理屋など、タイ要素にかける店ばかりだったのでスルーすることにした。空港まで行けば何かしらあるだろう。そこでトイレに寄ろうとしたら、男女のオブジェクトも洩れそうな見た目をしていて面白かった。妙にリア

          学会遠征編ショート版 第45話 エアポートレールリンク

          学会遠征編ショート版 第44話 バンコク散歩道

          スーツケースへの労り  一昨日バッポン通りまで歩いたので、その道まではよく知った景色である。他に気づいたこととしては、歩行者信号の音だろうか。日本では2種類の鳥の鳴き声だが、こちらは縦方向も横方向も同じ音で、青信号の時間が少なくなるとテンポが速くなるというような、焦燥感を掻き立てる音となっていた。また、日本の信号は片方の道が赤になってからもう片方が青になるまでに若干間があるが、タイではそんなゆとりはなかった。すぐに通行可になるため、見切り発車も込みで車のフライングが早い早い

          学会遠征編ショート版 第44話 バンコク散歩道

          学会遠征編ショート版 第43話 チェックアウト

          ホテルからの旅立ち  CRAZY、奴はもう日本行きの飛行機に乗ってしまったことだろう。  2024年3月19日火曜日、時刻は午前9時。今日は少しゆっくり起きた。僕は大学の学会出張でバンコクまで来ているが、取り決めの都合上、学会開催日の翌日の便に乗らないといけない。そこで今日は飛行機に乗るのだが、帰りの時間は現地時刻で22:05の他は朝一番の便しか直行便はなかった。僕はその夜の便で帰るのだが、CRAZYはなぜか朝に帰るようである。一緒に予約する段階では同じく夜で予約していたは

          学会遠征編ショート版 第43話 チェックアウト

          学会遠征編 6日目 タイの学会

          前回のあらすじ  昨日(学会遠征編 5日目 バンコク上陸|シナモンパン (note.com))に、タイのバンコクに上陸した。人生初海外で湧き上がる中、まずは1日CRAZYと一緒に観光した。熱帯の蒸し暑い気候や金ぴかの寺院、汚い川にスパイシーな料理など、日本しか知らない自分にはどれも刺激的で目新しいものばかりであった。 朝食  前日の夜に朝食は買っておいた。今日は出発が朝の7:30なのでそんなに時間がないからである。ホテルに朝食を付けたとしても、開始時間が7時では十分に食

          学会遠征編 6日目 タイの学会

          学会遠征編ショート版 第42話 倍増

          明日の作戦  ひとつ思惑通りにうまくいったことがある。それは飲料水のサービスだ。この部屋にはデフォルトで飲料水が500ml×4本あるのだが、これはちゃんと掃除のたびに補充するようだ。これが本当にサービスとして機能しているのかを試すために、実は朝に1本だけ冷蔵庫に隠しておいたのだ。連泊する部屋の冷蔵庫など、まともな清掃員ならのぞかないことだろう。仮に除かれたとしても水1本以外には何も入れていないので良かったが、こちらもちゃんと無事だった。つまり、よく冷えた水が1本と机の上に4

          学会遠征編ショート版 第42話 倍増

          学会遠征編ショート版 第41話 ベトナム料理

          帰り道の苦難  日が暗くなってきて、次第に暗くなる道をただひたすらに突き進んだ。ホテルへの帰り道はそんなに曲がらずに行ける。また5km歩くことになったのだ。脚は自動操縦モードに移行したので、意識がなくなっても目的地まではたどり着ける。しかし、今はただ、ただただ水が欲しい。できる限りコンビニのありそうなルートを探して帰ることにした。できればその道中で現金も補充したい。そう思ったが、銀行はもう軒並み閉まっているので街中のATMに頼ってみた。多少の手数料は構わない。200バーツだ

          学会遠征編ショート版 第41話 ベトナム料理

          学会遠征編ショート版 第40話 喧嘩

          He is the craziest.  まあ5kmならと思い、歩いて向かうことにした。もちろん蒸し暑さは夕方になっても加減を知らず、カッターシャツが体に張り付いてくる。お互い学会のついでで来ているのでノートパソコンなどの荷物もリュックに背負って移動しているというのが、余計に徒歩移動の難易度を加速させる。CRAZYはケニア人ということもあってか、暑さにはめっぽう強い。僕も小中高とサッカーを続けてきた身として真夏の暑さには十分慣れているつもりではいたが、あまり得意ではない。代

          学会遠征編ショート版 第40話 喧嘩

          学会遠征編ショート版 第39話 トゥクトゥク

          エメラルド寺院を求めて  無事全員の発表が終わったので、これにてこの会はお開きだ。夕食を共に過ごすパーティーなどは無いので、現地で解散である。荷物を揃えて帰ろうとしたとき、僕に1人話しかけてくる人がいた。その人は日本の学生で、我々の教授のことを知っている人だった。学会ではこういう出会いがある。違う大学の研究室だろうと、研究テーマが似通っているので学会の場ではよく会う人となるかもしれないのだ。残念ながらその人はこの3月で卒業なのでこれで最後だが、徳島で会った人たちはこれから先

          学会遠征編ショート版 第39話 トゥクトゥク

          学会遠征編ショート版 第38話 タイでの発表本番

          発表の順番  やってきてしまった。自分の発表である。あれだけ緊張してないと言っておきながらも、いざ発表者の席に座ると迫力は全然違う。これからしばらくは英語しか通じないのか。そういった緊張感である。だがしかし、これは高揚感と捉えてもいい。昔の自分にこれができただろうか。今やろうとしていることを挑戦する気になれただろうか。自分のレベルアップには最適なイベントである。そう思って前向きに立ち向かうことにしたが、さっそくトラブルが起きた。USBの認識に時間がかかったのである。直前が休

          学会遠征編ショート版 第38話 タイでの発表本番

          学会遠征編ショート版 第37話 バンコクのホテルビュッフェ

          昼食  12時を回り、昼食の時間となり、参加者は2Fに招待された。どうやら、こういう1ホテル貸し切りタイプの学会は昼食までついてくるらしいのだ。軽食用に持ってきたパンはこれにて役立たずとなる。もっと先に知りたかったという後悔とは裏腹に、お高いホテルのランチがタダで食べられるというハッピーイベントに胸を躍らせていた。CRAZYは昼食があることを知っていたらしい。さすが、ドクターなだけあって国際学会については十分慣れているようだが、それならそれで教えてくれてもよかったじゃないか

          学会遠征編ショート版 第37話 バンコクのホテルビュッフェ

          学会遠征編ショート版 第36話 国際学会の始まり

          前回のあらすじ  昨日(学会遠征編 5日目 バンコク上陸|シナモンパン (note.com))に、タイのバンコクに上陸した。人生初海外で湧き上がる中、まずは1日CRAZYと一緒に観光した。熱帯の蒸し暑い気候や金ぴかの寺院、汚い川にスパイシーな料理など、日本しか知らない自分にはどれも刺激的で目新しいものばかりであった。 朝食  前日の夜に朝食は買っておいた。今日は出発が朝の7:30なのでそんなに時間がないからである。ホテルに朝食を付けたとしても、開始時間が7時では十分に食

          学会遠征編ショート版 第36話 国際学会の始まり

          学会遠征編 5日目 バンコク上陸

          前半のあらすじ  名古屋市在住の大学院生が学会発表のために出張へ。発表は2本あり、1つは徳島、もう1つはバンコクで行われるが、その2つの学会の開催日が近かったのと、中部国際空港でうまく飛行機の予約が取れなかったことを理由に、途中で帰らず連続で行くことにした。前半では徳島に行き、徳島大学にて無事発表を終えることができた。また、少しできた時間を使って徳島県観光したり、ヤケクソで淡路島に行ったりと旅行を満喫してきた。そんな今は関西空港にてバンコク行きの便を待ち構えている状態。人生

          学会遠征編 5日目 バンコク上陸