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学会遠征編ショート版 第45話 エアポートレールリンク

乗車、そして空港へ

 なんとか駅までたどり着くことができた。時刻は既に13時を超え、最も暑い時間帯になろうとしている。そんな過酷な状況下で地下の涼しいエリアに行けるのはなんとありがたいことか。ここでごはんでも食べておきたいところだ。それなりにレストランはあったが、韓国料理屋や中国料理屋など、タイ要素にかける店ばかりだったのでスルーすることにした。空港まで行けば何かしらあるだろう。そこでトイレに寄ろうとしたら、男女のオブジェクトも洩れそうな見た目をしていて面白かった。妙にリアルである。それと、念の為駅員さんに空港までの生き方を確認した。そうしたら、線が違うから上へ行けと言われた。そう、この地下鉄はブルーラインという線のスクンビット駅。南北に走る線で、僕が使用せず節約した電車の駅である。空港に行くには、エアポートレールリンクのマッカサン駅から乗る必要がある。一昨日もここで乗り換えたのを思い出した。こうしてまた地上に躍り出た。近くの駅とはいえ意外と歩いたが、マッカサン駅には着くことができた。もう乗り方はマスターしたので大丈夫だ。券売機に35バーツを入れれば空港まで行けるコインが出てくる。これを切符としてゲートを通過するのだ。この線は空中を走るので、街を一望しながら乗ることができる。なんというか、ここにきて、やっと帰るのか。行きと同じ景色だな、と寂しい気持ちがしてきた。次第に都会のビル街だった風景が住宅街、農耕地帯へと変わっていく。蒸し暑くて汗の絶えない国だったが、そこで出会う人々は明るく友好的な人が多く、そして寺院などの景色は言葉では表せないほど美しく、写真の容量が気になるほど撮って歩き回っていた。対称に、川は汚かったな…いや、長良川がきれいすぎるだけだ。日本でも平野を流れる河川はここまでと言わなくとも臭くて汚い。それと、CRAZYはちゃんと飛行機人れたのだろうか。時間は間に合ったとしても、出入国の審査でまた引っかかっているかもしれない。万が一空港で再会してしまったら思いっきり笑ってやろう、など思いながら電車は高速で前進し続けた。
 コインは改札に吸い込まれた。記念に持って帰りたい気もしたが、システム上仕方のないことだ。再びスワンナプーム空港に着いた。時刻は14時過ぎごろ。飛行機の離陸予定まで9時間以上ある。本当はもっと観光できたはずだが、お金も残りHPも少ないので大事を取ってこの選択を取った。間違ってはいないと思う。少し遅めの昼食をとりたいものだ。いろいろ探し回った。ここまで来てベトナム料理も食べた人に対して「別にタイ料理じゃなくてもいいだろ」と突っ込むのもわかるが、最後の名残惜しさでもう一度タイ料理を食べたいと思ったので、それっぽい店がないか練り歩いたのだ。隅から隅まで歩いたところ、1つよさげなところがあった。クレカも使えるらしい。そこに入ってゆっくりした。またエビチャーハン。あれは本当においしかったので、ここでもそれを注文した。あとは甘みとしてパフェもだ。普段はスイーツを注文することはないが、今日は特別疲れているのだろう。ブルーベリーが身に染みた。
 もうすることがない。疲れたので座れるところを探し、少しだけ休むことにした。スリに合わないよう、スーツケースは鍵をして、リュックとウエストポーチを抱え込むようにして昼寝した。

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